インスタ映えない/生憎の雨。
1. インスタ映えない
「嘔吐」とともに2曲同時リリースとなった生憎の雨。によるデジタルシングル。
シングルとしてのリリースは同タイミングとなりましたが、MVの公開は「嘔吐」の1ヵ月後。
女性視点での楽曲のため、前作以上に公式キャラクターである雨見社さんが中心になっていますね。
作詞、作曲に加え、映像編集も魔喪さんが担当。
"第弐話"とのワーディングも登場するので、ストーリーとしての繋がりがあるのかもしれません。
さて、発表された楽曲は、「嘔吐」とはベクトルの異なる切ないバラード。
打ち込みによるサウンドですが、ストリングスやピアノの音色を使うことで、あたたかみを足している印象です。
昂りそうな感情を堪えて、淡々と歌っていくようなヴォーカリゼーションが絶妙で、暖色的なイメージの上モノと重なると、エモーショナルに聴こえるから面白いな、と。
対して、機械的に刻むだけのリズムは、冷たさを表現しているのでしょうか。
これによって、喪失感が助長されていると捉えることができ、実に効果的でした。
発表された2曲を聴くに、やはりデジタルな質感でモダンなEDMを再現しようとする意図が見受けられます。
一方で、歌モノによる感情表現を捨てるわけではないというのが、この「インスタ映えない」からも伝わってくるので、変わらない安心感にも包まれているのが上手いところ。
改めて表現力の成長を示しており、早い段階でバラードを送り込んできたのも納得ですよ。
数年もすれば死後になるであろう言葉を意図的に歌詞に書くことで、今のリアルを切り取っていると言える1曲。
<過去の生憎の雨。に関するレビュー>