餓鬼に鳳凰/カラビンカ
1. 餓鬼に鳳凰
音源としては2年ぶり、新曲となると3年ぶりとなる待望のデジタルシングル。
活動を続けているうちに角がとれていくバンドは数多くあれど、彼らには当てはまらないな、と。
Vo&Gt.工藤鬼六による人間の醜悪を象徴的に切り取ったかのような歌詞は、やはり健在。
ともすれば生理的な嫌悪感を抱くリスナーもいるのだろうけれど、そのおぞましさ、生々しさには、社会の裏側を覗き見る快感が伴っていて、怖いもの見たさでついつい聴いてしまうのです。
土着的な不気味さを煽る怨念じみた歌い回しも、迫力を増した印象。
エキゾチックなギターのリフが官能的な空気感をもたらしつつ、下っ腹にずっしりと響く重低音の音圧がそれを真っ黒に塗りつぶしていて、歌詞の世界観をサウンドで見事に表現していますね。
負の感情がぶちまけられる轟音の洪水。
突き放すようなパフォーマンスに圧倒されてしまいました。
過去、ダウンロードカードでの音源は発表していましたが、フィジカルを持たない作品は初。
現体制での作品は、サブスクリプションサービスでも聴くことができるので、本作をきっかけとして、過去作品への導線を引く目的もあるのでしょう。
ディープな闇に潜ってみたいリスナーは、「残片」シリーズも併せて聴いてみてほしいところです。
<過去のカラビンカに関するレビュー>