ひとでなし / カラビンカ | 安眠妨害水族館

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ひとでなし/カラビンカ
 

1.通り魔行進曲
2.華に傷痕
3.雨、嘲う

カラビンカの会場限定シングル。
どこかレトロなアートワークは、紙ジャケットとマッチしています。
CDRなのが、少しもったいないような。

「通り魔行進曲」が、とてもツボ。
その名の通り、行進曲のリズムに乗せて、危ない歌詞をカラっと歌い上げます。
レトロで、歌謡曲的。
だけど、従来の哀愁系、昭和歌謡系のアプローチとは、少し視点が違う感じですね。
聴きやすいのに、アングラ臭がそこはかとなく漂う。
こういう音楽性があったのか、と驚かされた。

「華に傷痕」は、一転してドロドロと。
重苦しいミディアムナンバー。
轟音とまではいかないのだけれど、みっちり埋め尽くされたようなサウンドだな。
彼らの持ち味であろう怨念じみた歌詞を、こちらでは正攻法で表現したといったところ。
三拍子のリズムも、おどろおどろしい雰囲気作りに一役買っています。

ラストは、「雨、嘲う」。
こちらも、印象に残るのは歌詞ですな。
下品さのある単語も、なんとなくレトロな言葉に置き換えることで、昭和文学のような独特な世界観に。
楽曲としてのインパクトは、1曲目、2曲目に負けてしまうせいか、耳に残りにくい部分はありますが、しっかりカラビンカらしさを見せ付けているでしょう。

Vo.工藤 鬼六さんの歌声は、はっきりしていて聴き取りやすい。
そのうえで、感情の込め方も絶妙で、カラっと歌うところと、ぐちゃっと潰して歌うところ、割り切りが明確だな、と感心します。
ベースも、ふと気を抜くとぐわん!と迫ってくるようで、この手のバンドに期待したいところは、ひととおり押さえているのでは。

活動休止となってしまうのが、とても残念。
流通作品がドロップされれば、一気に知名度を上げそうなポテンシャルは、誰もが認めていたとは思うのですが。