残片 弐/カラビンカ
1. ナナシの唄
2. 童貞ですこ
3. 畜生の理
4. 思春期~再構築~
カラビンカの再編シリーズ第二弾。
本作は、ダウンロードカードでのリリースとなっています。
前体制の楽曲を、現体制で。
過去の作品が手に入りにくい実情もあり、ライブで演奏される楽曲の救済策という位置づけがあったりするのかもしれません。
CDでないのは少し残念ですが、ダウンロードカードという形態だと、ジャケットや歌詞はカードに記載できてモノとしても残るし、ライブ会場でも販売できるため、今後はもっと広く普及していきそうですね。
まず、「ナナシの唄」から驚かされた。
ベースの低音がずっしりと響き、重苦しさが増した印象。
Vo&Gt.工藤鬼六さんの怨念めいた恨み節もパワーを増していて、土着的なおどろおどろしさを薄めることなく、純粋にレベルアップが図られています。
「童貞ですこ」、「畜生の理」は、1stミニアルバム「春を逝く人」から。
特に、「童貞ですこ」は1stプレスのみのボーナストラックだったため、ここでの再録はありがたいというリスナーも多いのでは。
バンド感が増した、という安易な言葉で表現するのは失礼なのだけれど、再録でありながら衝動性をバシバシ感じるテイクになっていて、より生々しさを感じます。
彼らの世界観は、生々しさにこそ映える。
ダンサブルな「童貞ですこ」ですらそうなのだから、もともと鬼気迫るスリリングさが売りであった「畜生の理」の化け方は半端なく、圧倒されてしまいましたよ。
唯一、現体制になってから音源化されていた「思春期」については、Dr.悠介さんによるリミックスバージョン。
インダストリアルな雰囲気に仕上げられており、まさか、こんなデジタルなカラビンカを聴く日が来るとは。
前述のとおり生々しさに打ちひしがれていたら、今度は真逆のアプローチで攻めてくるのだから面白いです。
しかし、この「思春期」。
これこそ生々しさがあって映える曲だろ、と思っていたのですが、なかなかどうして、このリミックスも格好良い。
発見というより、発明に近い衝撃でした。
ただ過去を懐かしむだけでなく、新たな視点が加わる再編。
前作同様、入手困難な作品を買い逃していたというリスナーだけでなく、ずっと聴いているコアなファンにも刺さるはず。
まだまだ現体制で聴きたい楽曲も残っているので、第三弾もあれば聴きたいものです。
<過去のカラビンカに関するレビュー>