残片/カラビンカ
1. 六月の通り雨
2. 通り魔行進曲
3. クチナシの花
カラビンカの再編シリーズ第一弾。
ライブ会場とオフィシャル通販での販売となっています。
既に入手不可となっている旧体制での音源から、現在でも演奏されている楽曲を再録。
3曲入りで1,000円というリーズナブルな価格で提供されました。
歌詞の掲載はなし。
オリジナルが配布CDで、ブックレット等がなかった「六月の通り雨」は、またも歌詞の可視化が見送られた形ですね。
「六月の通り雨」は、グループサウンズ系の軽快なサウンドで、サビのメロディはとてもキャッチー。
こういうタイプのレトロ感を出せるバンドが、現代のシーンではあまり出てこないこともあり、耳に残ります。
ただし、歌詞は相変わらず、生々しくおぞましい。
キャッチーだから、すぐさま人に薦められるかというと、躊躇してしまうこと請け合いです。
アレンジも変わっており、グルーブがとても気持ち良い。
間奏では、「タッチ」のオマージュが入ってきたり、遊び心が含まれているのもポイントでしょう。
続く「通り魔行進曲」も、構成から再編されています。
爽快な疾走感と、一方で漂うアングラ感とのアンバランスさが、絶妙な中毒性を高めるこの楽曲。
シンプルではあるのだけれど、後半に進むにつれて盛り上がる工夫が随所に施されていて、実際の尺よりもあっという間に思えてしまう。
CDを1回再生するにつき、3回ぐらい聴き直してもいいぐらいだな、と個人的には。
最後に放たれるのは、「クチナシの花」。
これぞ、カラビンカ節。
空間をイメージさせる音像は、邦ロックシーンに飛び出しても受け入れられそうな格好良さなのだけれど、やはり歌詞。
妙にリアリティがあって、感情移入する余地があるからこそ、吐き気がするほどにエグい。
ほかの2曲が、比較的とっつきやすいナンバーだったため、より濃厚に感じられます。
ライブの定番曲が収録されているので、当時の音源を持っていないファンへの救済策としてはもちろん、新規へアピールする入門書として良質。
現体制で生まれ変わったサウンドは、過去の作品を持っているリスナーにとっても、面白いものに仕上がっているかと。
"再編シリーズ"ということは、第二弾、第三弾もあったりするのかしら。
このクオリティであれば、是非、続けてもらいたい企画です。
<過去のカラビンカに関するレビュー>