世迷歌~横浜編~@横浜Music Lab.濱書房(2018.2.12) | 安眠妨害水族館

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慎一郎&杏太の単独公演、「世迷歌~横浜編~」に行ってきました。

東京以外で初のワンマンということで、はじめて足を運ぶ横浜Music Lab.濱書房。

椅子が並べてあり、だいたい60席ぐらいだったのかな。

それぞれの椅子の上に特典となるライブ写真が封筒に入れられて置かれていました。

全5種類のうち、2枚が封入されているとのことです。

 

場数も増えてきて、立ち振る舞いもラフになってきた感があるというか。

当初は司会進行的な立ち位置だったはずの杏太さんの自由度が日に日に増していき、開始5分も経たないうちに慎一郎さんに毒を吐きまくるという、良い意味で緊張感をほぐすやり取りが見られました。

一応、1曲ごとにMCを挟むいつものスタイルではなく、通常のワンマンとしてセットリストは組まれていたようですが、ラジオ番組のようなゆるいMCは、この日も健在。

15曲で、2時間半以上という結果を見れば、なんだかんだでMCもたくさんしてくれたな、と。

これも彼らのワンマンの醍醐味だと思っているし、制作時間の都合上コメントCDでの補足がなかった中でもあって、ありがたかったです。

 

「同じ空」でスタートし、「涙日和」と「積み木」は立て続けに。

なんでも、慎一郎&杏太として作った楽曲をすべて披露する日にしたのだとか。

ホタルからのカヴァーは「社会に散った日」と「たからもの。」だけに留まって、こんなに曲数が増えていたのだなぁと、これまでの歩みを回想してしまった。

2015年に復活して、約3年。

ほぼ新曲だけでワンマンが出来るほどになったかと思うと、感慨深いものですよ。

 

演奏については、「同じ空」で杏太さんがコードを見失うなど、序盤はバタついていた印象。

本調子に持っていくまで時間がかかってしまったかな、という側面はあるのですが、カヴァーする意図もあってか、慎一郎さんのアクションが普段より大きかった気がします。

それが結果として奏功したのか、「残想」から「スターチス」までの流れが、とにかく凄まじかった。

慎一郎さんの感情のスイッチが入りっぱなしで、「メメントモリ」の叙情的なメロディを叫ぶように歌う姿には、涙腺が緩みそうになる。

「スターチス」まで来ると杏太さんもしっかり持ち直していて、コーラスワークで感動を増幅させていました。

早くもクライマックスみたいな空気感。

いや、これは濃厚だ。

 

「蛍火」は、ジュリィー時代の「秋茜」のアンサーソングなのですね。

アコースティック編成で聴くのは久しぶりだったけれど、憂いを帯びたミディアム調のアレンジに書き換えられており、冒頭での曲解説も相まって、より切なくグッとくる構成になっていたのでは。

「ハッピーバースデイ」や、「道化師」については、それぞれ職場の内輪ライブで披露したというエピソードも添えられて、なんだか得した気分。

特に「道化師」は、ヴィジュアル系らしいダークでアングラなナンバーだな、と思っていただけに、定年間際の会社の恩師がやりたかった曲構成を元に制作した社内ライブ用の楽曲だったとは驚きでした。

 

また、ボツになった企画として公開曲出しというアイディアがあったようなのだけれど、この辺りで杏太さんが自由っぷりを発揮。

突然、「承認」という慎一郎さんにも聞かせていない曲出し段階の楽曲を披露するという。

まだ未完成のナンバーではありますが、ありそうでなかったタイプの楽曲だったので、いつか完成版として演奏される日を楽しみにしていましょうか。

 

正真正銘の新曲は、終盤に演奏された「最後の夢」。

慎一郎さんがサビだけの段階で持ってきた楽曲が、杏太さんがAメロまで作っていた楽曲とコード進行が一致。

ドッキングしても違和感がなかったから、そこから膨らませて仕上げたという奇跡の1曲のようで、彼らが同じ方向を向いていることを端的に示していたのではないかと。

珍しく英詞も取り入れていて、構成としては「積み木」なんかと近い感じかな。

Aメロでは淡々と、サビで爆発させて。

ラストでは、慎一郎さんと杏太さんが別々のメロディを重ねて歌うスタイル。

慎一郎&杏太としてのオリジナル曲は、ツインボーカル的なアプローチが多くて面白いですね。

 

「いつか死ぬ僕らの死なない歌」と「たからもの。」での締めは、アンコールの必要もないぐらいの大団円。

ヌルっとやっているように見えて、実はドラマティックに感情を揺さぶられている慎一郎&杏太のライブは、こうして幕を閉じていきました。

杏太さんの話のスイッチが入りっぱなしで、ピータンの話をしている途中で強引に慎一郎さんがぶった切ったのがこの日のハイライト。

 

ちなみに、開演が15時だったため、長丁場のライブだったにも関わらず、終わったのは18時前。

普段の二部制のライブで、一部から埋まっていくことから早めの時間設定にしたそうで。

仕事がある日はともかく、休みの日である前提であれば、確かに夜の時間が確保されるのはありがたいです。

遠くから来た人も、終電や明日の予定を気にせずに帰れそう。

この辺り、社会人バンドだからこそのライブ改革だな、と思う一方で、3月11日に次のワンマンを行うことが告知され、そっちこそもっと早く言ってよ!という気持ちもないわけではない。

heidi.の義彦さんのゲスト参加も決まっているようで、なんとか予定調整したいものですけれど。

 

 

1. 同じ空

2. 涙日和

3. 積み木

4. 残想

5. メメントモリ

6. スターチス

7. 蛍火

8. ハッピーバースデイ

9. ハーメルン

10. 道化師

11. 社会に散った日

12. 3月の雪

13. 最後の夢

14. いつか死ぬ僕らの死なない歌

15. たからもの。