慈愚挫愚 参 -夢幻- / -真天地開闢集団-ジグザグ | 安眠妨害水族館

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慈愚挫愚 参 -夢幻-/-真天地開闢集団-ジグザグ

 

1. -夢幻-

2. Aria

3. ラスデイ ラバー

4. タガタメ

5. 僕ノ旋律

6. 昴

7. 死神

8. いいこいいこして

9. コノハ [AL ver.]

10. Requiem

11. 燦然世界

12. ナニモシタクナイ

 

2022年に入ってすぐに届けられた、-真天地開闢集団-ジグザグによる3rdフルアルバム。

Live Blu-ray「慈愚挫愚 5周年記念禊~ハキュナマタタ~」との同時リリースとなりました。

 

前作あたりから、シリアスなロックナンバーを軸にして、時折、振り切ったポップチューンでギャップを狙っていくスタイルにシフトチェンジ。

これにより、見事にステップアップを果たした形で、次世代のシーンは彼らが一般層に対してどこまで爪痕を残せるかにかかっていると言っても過言ではないでしょう。

本作では、スリリングでハードな側面を特に強めて、ストレートに彼らの音楽をぶつけてきた印象。

SEである「-夢幻-」から続けざまにスタートする「Aria」が象徴的で、徐々に高まっていく高揚感と、洒脱なメロディラインは、従来とは異なるアプローチで、彼らのコンセプトである"救済"を表現していたのでは。

広いステージで演奏する彼らが目に浮かぶ生命賛歌に仕上がっていました。

 

その後の展開は、ポップなサウンドワークに徹したナンバーと、和の旋律を意識した楽曲を交互に織り交ぜて。
「ラスデイ ラバー」と「僕ノ旋律」は、キャッチーさを。
「タガタメ」と「昴」は、コンセプチュアルな世界観を。
どちらにも言えることは、コミカルな歌詞は極力削いで、あくまで正統派のロックバンドとしてのスタンスを貫いていること。
この流れがあることで、切れ味の鋭いキラーチューンである「死神」に込めたメッセージが、より刺さるのですよ。
"らしさ"を通しつつも、バランスを崩さず、誰もが納得する形でここまで持って来た構成力は見事です。
 
そのうえで、ずっと控えていたコミカル要素を、「いいこいいこして」に凝縮。
シリアスを徹底してきたからこそ、ギャップが活きる。
まさか、この楽曲にカタルシスを感じるとは。
ミニアルバムだとすれば、本編が終わって、ボーナストラックが再生される頃合い。
タイミングとしても絶妙でした。
 
だとすると、「コノハ」、「Requiem」、「燦然世界」は、贅沢すぎるアンコール。
いずれも、リード曲やシングル曲の位置づけで先行して発表されてきた楽曲たちで、勢いをつけてラストスパートをはかるには十分すぎるラインナップですね。
ラストに、コミカルに振り切った「ナニモシタクナイ」でクロージングするのも狙い通り。
"格好良いバンド"としての進化を決定づける一方で、インパクトを残す場面で、そこをハズした楽曲を織り込むことで、過剰に変化を意識させない演出になっています。
 
小細工なし、1タイプのみでのリリース。
快進撃は止められないな、と唸らされる1枚。

 

<過去の-真天地開闢集団-ジグザグに関するレビュー>

燦然世界

ハキュナマタタ

慈愚挫愚 弐 ~真天地~

ペサ・シェルヴェルゼル

はじめてのじぐざぐ