慈愚挫愚 弐 ~真天地~/-真天地開闢集団-ジグザグ
1. 真天地
2. さくら さくら
3. Promise
4. メイドカフェに行きたくて
5. 忘却の彼方
6. ジゴクニオチロ
7. 夢に出てきた島田
8. 復讐は正義
9. 兎girl
10. あいのかたち
11. きちゅねのよめいり
12. 傷と嘘
13. キーウィの故郷
-真天地開闢集団-ジグザグの第二完全音源集。
全国流通盤と、会場限定盤の2種類でのリリースとなりました。
本来であれば、どちらも3月に同時発売となる予定でしたが、ライブが延期や中止となった影響から会場限定盤が発表できず。
結果的に、6月になってオンラインショップでの販売を開始。
待たされた分ということではないのですが、ブックレットのページ数が増えていたり、「ジゴクニオチロ」が追加収録されていたりと、全国流通盤よりも豪華な仕様となっています。
音源集として先行リリースされていた「ペサ・シェルヴェルゼル」では、シリアスで正当派としての格好良さのある「復讐は正義」と、コミカルでポップな「きちゅねのよめいり」の両極端な2曲をリードトラックに据えていた彼ら。
本作では、そのどちらのベクトルでも掘り下げを行っており、シリアスもコミカルも、ジグザグらしい飄々とした姿勢で送り込んできた印象です。
7:3でシリアスが多いか、といったバランスなのだけれど、真面目なアルバムとなりすぎている感はなく。
インパクトを残し、まとまりもあり、ちょうどよい塩梅ではないでしょうか。
サウンド的には、メジャー感のあるビートロックが軸となってきた。
従来から武器としている和風アレンジも意識しつつ、爽快に疾走。
実質的なスタートとなる切ない歌モノ、「さくら さくら」で意表を突くと、待ち構えているキラーチューン、「Promise」で早くも突き抜けた感がありますね。
「忘却の彼方」では、男らしいロック調の歌唱にもチャレンジするなど、Vo&Gt.命様の引き出しが広がっていく様子も見て取れ、奇をてらったバンドとして注目を浴びつつも、着実に成長を遂げている姿には頼もしさを感じます。
ネタ曲としては、「夢に出てきた島田」の衝撃が物凄い。
ステップアップの過程での割り切りなのか、エグみのあるバンギャルネタは控えめになった気がしますが、それでもガツンと問答無用で殴りつけるようなパンチ力を出力してくるのだから、今の勢いは頷けるというもの。
会場限定盤にのみ収録された「ジゴクニオチロ」は、ドロドロとした洋楽テイストのあるヘヴィーチューンで、これまた、新しい扉を開いてきたなと感心します。
注目度が高まったタイミングで、一歩先を見据えた作品をドロップできる戦略眼はさすが。
内輪ノリから、もっと広い層を巻き込む方向へのシフトは、従来のファンからすれば寂しい部分はあるのかもしれませんが、本質は変わっていない安心感もあり、満足度が上回る進化になっていたのかと。
コロナ禍により活動が足踏みになってしまっているのは残念だけれど、ブレイクを決定づけた1枚と言えるでしょう。
<過去の-真天地開闢集団-ジグザグに関するレビュー>