残片 参/カラビンカ
1. 宵待草
2. 華に傷痕
3. 風船音頭
完売している過去の音源の楽曲を、現体制で再録する「残片」シリーズの第三弾。
第二弾はダウンロードカードでの販売でしたが、本作は再びCDR媒体でのリリースとなっています。
そもそも前体制での作品はすべて完売となっているカラビンカ。
中にはライブの定番曲もあり、単にレベルアップを示すツールというだけでなく、救済策としても機能しそうですね。
「宵待草」は、初期のシングルとして発表され、後にミニアルバム「三千世界に鴉鳴く」にて再録。
体制が変わって、改めてリレコーディングされたこの曲は、まさにカラビンカの代表曲と言えるのでしょう。
「とおりゃんせ」の節回しを意識したメロディが、怨念のように耳にこびりつく。
ド頭にサビよりも印象に残るフレーズを持ってこれた時点で、"勝負あり"でした。
コーラスワークが強固なものになった一方で、ザラついたギターの質感を残してくれたのも好印象。
ダークにドロドロと展開されるのは「華に傷痕」。
重苦しく、精神面からじわじわと蝕んでいく和製ホラー感が漂ってきます。
オリジナルのバージョンは、モノクロのブラウン管から流れてくるようなおどろおどろしさが味となっていましたが、こちらはカラーテレビで音像もくっきりと聞こえてくるイメージ。
もっとも、だからといって世界観が薄まったわけではなく、低音の蠢きに迫力が増しており、ヘヴィネスな方向に進化。
別の側面から魅力が見つかったといったところでしょうか。
最後は、「風船音頭」でわちゃわちゃと盛り上げる。
音源としては、これがもっともレア曲となるのかな。
もともとは、前任ベーシストの髙橋サヲリーナさんとの男女ツインボーカルがひとつの武器になっていたカラビンカ。
特にこの楽曲は二人の掛け合いが肝になっていた部分もあり、聴き比べの印象としては、もっとも変化を感じる楽曲と言えるかもしれません。
さて、すべて男声での掛け合いとなった新バージョン。
妙な暑苦しさがあり、これはこれで彼らの世界観とはマッチしているのかも。
古めの楽曲からのセレクトとなっており、より源流に近いカラビンカの音楽性を堪能できますな。
Vo&Gt.工藤鬼六さんにとっては思い入れが深い楽曲群とも言い換えられ、ライブでの経験がダイレクトに"進化"として反映されているかのよう。
オフィシャルショップでの通販にも対応しているので、今度こそ完売する前に手に入れておきたい1枚です。
<過去のカラビンカに関するレビュー>