拝啓、二千二十年へ/nurié
1. 今宵、未来の為に歌おう。
2. 愛を歌わせろ人生
3. 晴天に吠える。
4. ラブラドール
5. 今晩だけのサーカス
6. モノローグ
7. クソ喰らえ。
8. 百鬼夜行
9. 人として人で在る様に
10. あの日の映画みたいに
11. ランナー
令和のスーパーロックバンドnuriéから届けられた、待望の1stフルアルバム。
"最悪"の1年だった2020年。
それでもnuriéには描いている希望がある。
その希望を、手紙として過去に届けるという意味で題された「拝啓、二千二十年へ」は、先行シングルのリード曲や、" 配信収益音源化計画 "としてデジタルリリースされていた楽曲たちを詰め込んだベスト盤的な内容。
象徴的な「今宵、未来の為に歌おう。」をトップに置いて、彼ららしいメッセージ性に溢れた作品に仕上がっています。
発表済みの楽曲が多いとはいえ、アルバムとして聴くと、改めて彼らの強みが見えてくるな、と。
オルタナロックやHIPHOP等からの影響を強く受けたサウンドに、等身大のメッセージに強い感情を乗せて吐き出す。
簡潔にまとめようとすると、同じような言葉に集約されてしまうので、同じような曲ばかりが並んでいるのではないかと錯覚しかけるのだけれど、彼らの本質がそこにあるというだけで、十分にバラエティ性があることを認識できるのです。
何を武器として、そこからどのように音楽性を広げようとしているか。
アルバム作品としてリスナーにも見えるように整理できたのは、入門書的な作品が出来たという客観的事実もさることながら、極めて重要だったのではないでしょうか。
新曲となるのは、「今晩だけのサーカス」と「あの日の映画みたいに」の2曲。
前者は、ファルセットを幻想的に使いこなして、お洒落に切ないファンタジーのような世界観を演出。
現実と幻想のせめぎ合いと言わんばかりの物語を、マスロック的なアプローチによって再現したnuriéの新境地的なナンバーです。
一方で、後者は地に足をつけて、着実に前に進んでいこうとする純朴さが眩しいロックチューン。
ラスト前にぴったりな歌モノとして、これまたnuriéのレパートリーに選択肢を増やしていました。
痛みを伴いながらも、爽やかな風を感じさせる、青春小説のような音楽。
感情を揺り動かすエモーショナルな歌詞を重要視するリスナーには、間違いなく刺さるであろう1枚です。
<過去のnuriéに関するレビュー>