今宵、未来の為に歌おう。/nurié
1. 今宵、未来の為に歌おう。
nuriéによる配信収益音源化計画の第一弾としてリリースされたデジタルシングル。
計画が発表されたときは、何をやりたいのかピンとこなかったのが本音なのだが、配信ライブ等の収益を、音源制作に充当する計画ということでいいのかな。
音楽を売って、次の音楽を作る、というのは、本来であればロックバンドとしては当たり前のサイクル。
それが壊れてしまったコロナ禍において、彼らは早い段階から、正々堂々とコンテンツの有料化によって活動資金を賄おうと呼びかけたのです。
思想としては、自前のクラウドファンディングに近いですね。
結果として、本作を含む4曲の音源化を実現できたのであれば、お約束となりかけていた無料配信でお茶を濁さなくて良かったな、と。
発表された「今宵、未来の為に歌おう。」は、お洒落さとブラックな雰囲気が同居するメッセージソング。
ジャジーで大人びたサウンドに、フリースタイル由来のリリックが怒涛の勢いで叩きつけられます。
クールさを気取っても、暑苦しいぐらいに感情が爆発するさまが隠し切れないところは、なんともnuriéらしい。
途中の咳込みは、それを象徴していると思うのは、勘繰りすぎでしょうか。
3分半と尺は短めですが、その中に詰め込まれている熱量は、楽曲のインパクトを最大限に高めていました。
もともとの知名度が少ない若手バンドにとっては、生き残りが難しい配信時代。
彼らのメソッドは、そこに切り込んでいけるのか。
ヴィジュアル系の将来がnuriéにかかっている、というのは言い過ぎだとしても、彼らがこの状況下でシーンに爪痕を残すことができそうな若手バンドの筆頭であるのは間違いなく。
逆境を追い風にしてほしいな、と素直に応援したくなる1曲です。
<過去のnuriéに関するレビュー>