生き継ぎ / nurié | 安眠妨害水族館

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生き継ぎ/nurié

 

1. 生き継ぎ

 

 

nuriéの会場限定シングル。

表題曲1曲が収録されています。

 

アートワークとして歌詞が使われている等、メッセージ性を重視するnuriéらしい楽曲。

ナイーブさと攻撃性が表裏一体となったリリックは、痛みを伴ってリスナーを刺激します。

歌うというよりも、語りかける、叫ぶといった部分もあって、感情をダイレクトに伝えるVo.大角龍太朗さんのヴォーカルスタイルが際立つ構成。

じっくりと向き合いたい1曲に仕上がっていました。

 

サウンドとしては、お洒落なギターリフに、鍵盤の音色が重なる、大人びたイントロからスタート。

ただし、そこはある種のブラフ的な要素もあって、すぐさま、衝動的でソリッドなサウンドで塗り潰されていきます。

その後も、動と静の緩急を巧みに織り交ぜ、お洒落な雰囲気と擦り切れるほどの激しさを両立。

不安定な感情を、楽曲の展開によって表現しているかのようですね。

 

ラップ調のフレーズも自然に取り入れ、サビでは言葉を詰め込んで駆け抜ける。

サビの雰囲気だけで捉えれば、前作の「透明に混ざる。」に近いのだけれど、より焦燥感を強めており、なんとも刹那的。

心地良く疾走する一方で、重苦しさが纏わりついているパラドクスは、amazarashiなんかが好きな層には刺さりそうだな。

V系バンドのセオリーは無視していますが、必ずしも明後日の方向で勝負しているわけではないのがポイント。

シーンをひっくり返してくれそうな、そんなポテンシャルを感じるのですよ。

 

なお、本作は500円での販売となっていますが、1stシングル「モノローグ」の帯を切り取ると無料配布されるという仕組みも併用。

だったら「モノローグ」も買ってみよう、と購買意欲を高める工夫となっていました。

まずは聴いてもらいたい、という意思をはっきりと示す彼ら。

スターダムを駆け上がる追体験をしたければ、今のうちに押さえておきたい作品です。

 

 

⇒ この作品を聴いた人はこんな作品もおススメ!

 

拝啓…詐欺的道化師音楽愛腐女子様方へ所詮戯戯レ言サレド純粋無垢ナ音楽 / ケミカルピクチャーズ

 

詳細なレビューは<こちら

お洒落なサウンドに、感情表現を爆発させるヴォーカリストの組み合わせと言えば、ケミカルピクチャーズが思い出される。

大人びたアレンジでまとめていても、良い意味ではみ出してくるVo.平一洋さんのエモーショナルな歌唱は、常にリスナーを虜にしてきました。

スタイリッシュな音楽の裏に潜む暑苦しさ。

本気で歌で誰かを救おうとする愚直なまでに純真な情熱。

斜に構えて聴いてみても、格好良いと認めざるを得ない音楽を、ケミカルピクチャーズ同様、nuriéにも感じるのです。

 

 

<過去のnuriéに関するレビュー>

モノローグ