拝啓…詐欺的道化師音楽愛腐女子様方へ所詮戯戯レ言サレド純粋無垢ナ音楽 / ケミカルピクチャーズ

1. Präparat

2. Black Box

3. I WannA GEtAway

4. Reincarnation

5. sPeakEr

CPSとしては、初のアルバム作品となる「拝啓…詐欺的道化師音楽愛腐女子様方へ所詮戯戯レ言サレド純粋無垢ナ音楽」。

1stシングルから2曲の再録、朱ィ（仮）時代に配布された曲のリアレンジ1曲、新曲2曲という構成のミニアルバムです。

ロカビリー、ファンクといった、古典的なアメリカンロックの手法を、V-ROCKに昇華させたような音楽性は相変わらずですが、よりシンプルに、スタイリッシュにまとめあげ、ラフさを控えめに磨き直したよう。

新曲だけでなく、再録曲においても、アダルティな雰囲気、余裕を感じるようになりました。

とにかく、Vo.平さんの歌唱力の進歩に驚かされた。

過去の作品に比べ、勢い、パッションといった側面よりも、渋さ、落ち着きが必要とされるラインナップに、しっかりと対応しています。

ジャジーなギターと、淡々としたリズムで進行する「Black Box」が、特に顕著。

張り裂けんばかりの感情を吐き出すボーカルスタイルから、一皮むけて、歌って聴かせるところと、メッセージとして叫ぶ部分とのメリハリをつけている。

こんなに綺麗に高音に抜ける歌い方もできるようになったんですね。

再録曲2曲については、アレンジを全体的に変化させていて、こざっぱりとした印象。

強引さ、荒々しさを解消し、耳触りがよくなっています。

「Reincarnation」については、サビの歌いだしのキーも変わっているので、違いがわかりやすいかと。

ただ、個人的には、前のバージョンの方が圧倒的に好きですね。

クオリティという意味では、すっきり聴こえたほうが、確かに良いのかもしれないけれど、平さんの本来の持ち味である、荒々しく感情をむき出しにして歌う、リスナーに訴える力。これが削がれてしまった気がしてならない。

上手く歌うだけのボーカリストなら数多くいますが、下手でも、荒々しくても、聴き手に届くメッセージは、平さんにしか歌えない才能だったはず。

普遍的なヴィジュアルサウンドにしてしまうことで、一般受けはするのかもしれませんが、個性は弱まってしまった気がします。

新境地である優しいバラード「sPeakEr」など、チャレンジ性のある楽曲が上手くハマっているだけに、もったいない。

1曲でいいから、心を抉るほどの衝撃と情熱に溢れたエモーショナルなナンバーが聴きたかったっていうのが本音です。

＜過去のケミカルピクチャーズに関するレビュー＞

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