- 世界を撃った男 case5 ピースメーカー/ケミカルピクチャーズ
- ¥2,100
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1. Walking Ashland
2. 溺れる魚
3. 素晴ラシキ忌々シサ
4. 世界を撃った男のテーマ-I love suG my life-
ex-KuRtのVo.てんてんさんを中心に結成された、ケミカルピクチャーズ。
ex-パンプキンヘッドのGt.ruiさんが加入し、5人体制になったところでリリースされた、5か月連続リリースのラストを飾る一枚です。
最近の流行りとも、昔ながらのV系ミュージックとも異なる音楽のアプローチが新鮮でアツい彼らですが、勢いだけじゃない、歌モノだけでもないってところを、ここで、再び見せつけてくれたのが、本作。
アメリカ人であるBa.Jimiさんの従来の型にハマらないセンスが、新しい血としてバンドにエネルギーを注いでいることを、アメリカンロックをベースにしたようなアグレッシブなアレンジに、バシバシと感じられます。
比較的、ハズレの少ないバンドではありますけれど、連続リリースの第一弾、第二弾のインパクトが強すぎて、第三弾、第四弾は少し物足りなかったというのが正直な感想。
しかし、第五弾にして、これはなかなかパッション溢れる良い作品ですよ。
PVが作成された、リードトラック「Walking Ashland」は、メジャー進行のアップテンポな楽曲。
古臭いアメリカンロックのテイストを、あえてヴィジュアル系の音楽として昇華させることで、ネオ・ロカビリーとでも言いましょうか、ノリに特化した、高揚感のある展開に仕上げています。
てんてんさんは、感情に任せて歌い上げるタイプのボーカルさんではありますが、あえてラフにぶっきらぼうに歌うような試みが当たっていて、表現の幅が広がったような印象。
「溺れる魚」は、一転してマイナーコードでの展開になりますが、メロディアスさとは裏腹、小手先のものになっていない感情の爆発がサビで見られます。
ツタツタリズムで、一気に盛り上げる演奏と、張り裂けそうな叫びを響かせるてんてんさんの荒々しいボーカルが格好良い。
綺麗に声を出すだけしか能がないのがボーカリストじゃないだろ、と言わんばかりの気迫が感じられますね。
サビで開けるタイプの楽曲は、肩透かしになるものも少なくないのですが、このドラマ性には文句の言いようがないゾクゾク感があるのです。
「素晴ラシキ忌々シサ」は、ストレートなロックンロールで、本作の中では、もっとも王道感があるナンバー。
激しくハードに、メロディアスに進んでいく1番と、ロカビリー調になって、雰囲気をガラッと変える2番の構図の違いが面白い。
相変わらずのサビのメロディは耳馴染み良く、変にマニアックにして、本来の良さを台無しにしていないところも高ポイント。
第一弾以降、インスト曲は1曲目に収録されていたのですが、今回はラストに。
シンプルながらも、しっかりとスマートに仕上げています。
そして、ボーナストラックとして収録されているのが、「Stand by me」のアコースティックバージョン。
音源化が待望されている代表曲を、こういう形で織り込んできました。
これまでのボーナストラックはおふざけ路線ばかりだったこともあり、これはテンションが上がる構成ですね。
正式にバンドバージョンでの再録も待たれますが、じんわりノスタルジックな空気に浸る素朴なメロディは、十分伝わるところ。
てんてんさんのスキルアップもはっきり見てとれますし、オマケで入れてくれる分には、アコースティックバージョンというのもナイスアイディアです。
それにしても、メンバーが固定しないのがもったいないというか、何というか。
特に、仕方のないこととはいえ、外国人であるJimiさんが、ビザの関係から帰国のために脱退してしまうのは、痛手すぎますよ。
長く続けられるメンバーが見つかってくれることを、切に望むバンドです。