FEST VAINQUEUR / FEST VAINQUEUR | 安眠妨害水族館

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FEST VAINQUEUR/FEST VAINQUEUR
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1. UNLIMITED

2. TRAGIC THE MAIDEN

3. RAVE

4. APOCALYPSE

5. CORE BURST


ex-SINCREAのメンバーが、そのまま再集結して結成された、FEST VAINQUEUR。

フェスト ヴァンクールと読むようですが、最近、こういう長くて読みにくいバンド名も珍しい気もします。


本作は、始動直後に1,111枚限定で発売、即完売した同名の1stミニアルバムを、全曲リマスタリングし、曲順を入れ替え、更には「UNLIMITED」のPVまで付けて再リリースした2ndプレス盤。

初回盤は、既にプレミア価格になっていますし、元値もDVDの有無の違いがあるにも関わらず、300円程度しか変わらないため、その辺拘らなければ、2ndプレスを買う方がお得感があるのではないでしょうか。


SINCREAは、とにかくJanne Da Arcのフォロワーといったイメージで、ハードな曲、ポップな曲、バラードまで、すべてにおいてジャンヌっぽさを感じるバンドでした。

ジャンヌが活動していない現在においては、だからこそのニーズもあるのかもしれませんが、そこからどう、オリジナリティを出していくのかが課題。

新バンドになって、どこに重心を置こうとしているのかが、聴きどころでしょう。


まず、音楽性としては、バラエティを豊かにバランス感を意識していたSINCREAと比較して、ハードでヘビィな方向性に絞っている印象です。

Vo,HALさんの声質、歌い癖や、演奏面でも、やはり影響を受けているところも大きいため、ジャンヌ、ABCっぽさは見え隠れするものの、キラーチューンとして置かれている「UNLIMITED」など、きちんとオリジナルに昇華しつつあるなというのがわかる楽曲も出てきた。

最近の流行りであるラウド系に移行したというところに、前バンドの頃からのファンには、戸惑い、不安もあるかもしれませんが、現段階では、しっかりハマっているかと。


キーボードで雰囲気作りする手法も、今回は控えめになっており、あくまで4人の音だけでも勝負できるように、というメンバーの心意気も見てとれます。

上モノがなくなったことによって、リズムの単調さが目立つようにもなってしまいましたが、ゴリゴリのサウンドを意識しているため、音が薄くなった感がありませんね。

スキル面での課題は残るものの、最大限にできることをこなしていると評価できるでしょう。

ドラムにもう一工夫あれば、一気に引き締まると思うので、頑張ってほしいところ。


ラウド系に傾向しているとはいえ、ありがちなバンドのように、デスヴォイスを多用するわけでも、ワンフレーズで突き進むでもなく、メロディアスなのが大前提であるのも、個人的には好印象です。

まぁ、それも含めて、ジャンヌのハードな曲っぽいと言われてしまうとそれまでなんですけれど、変に気張って独自の方向性を模索するより、やりたいことを明確にしながら、徐々にオリジナリティを構築していくほうが、このバンドにとっては良いのかもしれない。

一度解散しているメンバーということもあり、今後どうなっていくかわかりませんが、可能であれば、もうちょっと活動を続けてもらって、成長を見届けたいというところですね。