事件 / ホタル | 安眠妨害水族館

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事件/ホタル

「事件」 「事件」
4,200円
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DISC 1

 

1. 社会に散った日

2. 事件「深層」

3. 魔が差す

4. レッド

5. 渇きと歓楽街

6. 素晴らしき日々

7. ルージュの警告

8. 数え歌

9. 花時雨

10. 泣き空

11. 落夏星

12. あなたへ

13. 事件「真相」

 

DISC 2

 

1. 社会に散った日 (オリジナル・カラオケ)

2. 事件「深層」 (オリジナル・カラオケ)

3. 魔が差す (オリジナル・カラオケ)

4. レッド (オリジナル・カラオケ)

5. 渇きと歓楽街 (オリジナル・カラオケ)

6. 素晴らしき日々 (オリジナル・カラオケ)

7. ルージュの警告 (オリジナル・カラオケ)

8. 数え歌 (オリジナル・カラオケ)

9. 花時雨 (オリジナル・カラオケ)

10. 泣き空 (オリジナル・カラオケ)

11. 落夏星 (オリジナル・カラオケ)

12. あなたへ (オリジナル・カラオケ)

13. 事件「真相」 (オリジナル・カラオケ)

 

 

実に16年ぶりとなる、ホタルの2ndフルアルバム。

SE2曲を含み、ほぼ全曲が書き下ろしとなる全13曲を収録しています。

 

アルバム全曲のカラオケバージョンが入ったボーナスディスクが付属する2枚組仕様。

それにより、やや高めの値段設定とはなってしまいますが、今のホタルの完全新作が聴けるのであれば、買わない手はないでしょう。

ライブ会場では、インタビュー冊子とのセット販売も行われており、より作品に没入することが可能。

知れば知るほど、深みにハマっていくアルバムと言えますね。

 

復活後のシングルとしてリリースされていた「社会に散った日」を、総括として1曲目に配置。

2曲目に導入SEが入るという珍しい構成ですが、クライマックスシーンの断片を冒頭に持ってきて、そこに向かう過程をモノローグから綴っていく小説のテクニックを、音楽に転用したと捉えるとわかりやすいかな。

CDを出す意味に改めて向き合ったようで、曲順には相当こだわった様子。

楽曲間でリンクする歌詞やフレーズを織り込み、単体で聴いただけではわからない仕掛けが、順番通りに聴くことで発見できるのですよ。

例えば「素晴らしき日々」は、ラストシーンで飛び降りた「渇きと歓楽街」の主人公のニュースからスタート。

コンセプトアルバムとまでは謳われてはいないものの、結果的に1本の映画のように繋がった感覚がありました。

 

昭和歌謡的なメロディをベースにするスタイルは、時を経ても変わらない。

ただし、懐はだいぶ広がったな、といったところでしょうか。

ジュリィーや慎一郎&杏太としての活動を踏まえて、引き出しが増えた印象。

「素晴らしき日々」は、Gt.杏太さんによるアコースティックアレンジでも十分に映えそうだし、「あなたへ」のようなバラードは、現役時代では作ることができなかったであろう"泣ける曲"としての直球っぷりを見せている。

懐メロコア的にマイナーコードで疾走する「花時雨」や、パンキッシュに盛り上がる「泣き空」についても、ジュリィーで得たものをホタルに還元していると捉えることもできそうです。

 

一方で、変わらない安心感を示したのが、ホタル解散以降、一線を退いていたBa.たかしさん、Dr.ガオさんの持ってきた楽曲。

「レッド」でのレトロ感や、「落夏星」のノスタルジックな耳ざわり。

ホタルである以上、こういうナンバーも聴きたいよね、というファン心理を見事に読み切っていて、絶妙なバランスを確保しているのです。

唯一、解散前に発表されていた「ルージュの警告」を、バンドアレンジでの完成形として収録したのも、好判断だったかと。

 

ブランクを感じさせない、Vo.慎一郎さんの歌声は、音源で聴いても表現力たっぷり。

ラストのインスト曲『事件「真相」』における語りまで、グッときてしまうほど。

ミックスバランスも現代的に調整されていて、ストレスをほとんど感じないのも効いていますよ。

正直なところ、1stアルバムであった「サラバ余の闇 されど世は病み」は、音質的なバラつきにより、彼らの良さが100%伝わるものではなかったと思っていたのだけれど、本作についてはムラが解消されており、自信を持って周囲に薦めることができる作品になりました。

 

復活バンドの新作アルバム。

過去曲のインパクトに負けて、あまり刺さらないことも多いのですが、ホタルの場合は、今が一番格好良いと断言できる。

社会の中で擦り切れそうなときに、寄り添ってくれるであろう1枚。

 

 

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辞するモラトリアム/彩冷える

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詳細なレビューは<こちら

復活バンドの完全新作という意味では、2019年は彩冷えるもフルアルバムをリリース。

当時の面影を残しつつ、今の彼らだからこそのサウンドを届けてくれています。

もっとも、彩冷えるは多くのメンバーが現役で活動していたのに対し、ホタルは社会人バンドとしての再結成。

ややスタンスは異なるのかもしれませんが、それぞれの生き様がしっかり音に反映されている、という点については、双方聴き比べて共通する感想なのではないかと。

 

 

<過去のホタル(hotaru)に関するレビュー>

社会に散った日(流通盤)

社会に散った日(スペシャルグッツ盤)


ヒトオト

西口改札ラプソディー
サラバ余の闇 されど世は病み
落陽ピカレスク
サクラチル
歌謡サスペンス激情