真-Machine-心 / マイナス人生オーケストラ | 安眠妨害水族館

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真-Machine-心/マイナス人生オーケストラ

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1. 「未来デパート」へようこそ

2. 凡才テレビくん

3. 裸の有様

4. タイムマシーンを待ちながら

 

"ココロの旅"シリーズ第五弾。

マイナス人生オーケストラの解凍後初となるシングルです。

 

舞台は"未来デパート"。

あなたが膝をついたとき、無機質な優しい声がして、その扉は現れるという。

ラジオステッカー風の前フリを噛ませて、各楽曲の主人公3人の心がゆっくりと歪んでいく様を描いたコンセプト作品となりました。

"未来デパート"と名乗りながら、昭和レトロな香りがプンプンと漂ってくる導入は、1曲と捉えるには短すぎるものの、ワクワク感を増幅する効果があったのは間違いありません。

 

"テレビを買っていった 機械のように話題を集めて静かに生きる男"をテーマにした「凡才テレビくん」は、彼ららしいわちゃわちゃしたノリもありつつ、いつの間にか切ない物語にすり替わっているドラマティックなナンバー。

サビの後に、もうひとつサビがあるような構成が爽快。

爽快だけれど、どこか物悲しい。

某テレビ番組をパロったタイトルからして、"不幸"をコミカルに描いているようだが、耳にしてみれば美しく繊細なのだ。

これぞ、マイナス人生オーケストラの醍醐味といったところでしょう。

 

「裸の有様」も、タイトルから先行して歌詞が出来たイメージですが、これまた佳曲。

テーマは、"透明なマントを買っていった 人との接し方がわからず自滅した男"とのこと。

現代の闇に切り込んだ風刺的側面もありそうですね。

男に浴びせられる罵詈雑言をそのまま歌詞に取り入れ、激しいイメージが先行するのだけれど、実は展開が多くドラマ性にも溢れている。

サビはやはりメロディアスで、聴き込むほどに味わいが増す1曲です。

 

最後の「タイムマシーンを待ちながら」は、"機械の身体を買っていった 「もしも」に全てを賭けた女"のお話。

真心と書いて"Machine"と読ませる本作のタイトル、もっともリンクしているのが、この楽曲なのかな。

歌モノ要素に特化していて、終始切なく駆け抜ける。

ファンタジーを織り交ぜつつ、リアリティのある不幸話に仕立て上げる栗山"HaL"ヰヱスさんのセンスも、近未来的なサウンドに上手く融合し、これでもかというほどに切なさを押し出していました。

 

"ココロの旅"シリーズの中でも、もっともコンセプトが意識されているイメージ。

加えて、コンセプトでまとめなかったとしても印象に残っているであろう個の強さも持ちあわせて、シングルとしては最高のバランス感覚になっているのでは。

王道とかマンネリとか、そんなのどうでもいいよと吹き飛ばす、問答無用の名曲揃い。

ピコピコ強めのサウンドに乗せてマイナーコードで疾走する、彼らの正攻法だけで勝負した作品と言えるのです。

 

さて、来年にはフルアルバム「その心は。」のリリースも決定。

今度こそシリーズ最終章か、と思わせるタイトルですが、ここにきて更なる進化を遂げている彼らですから、期待が高まるのは必然。

ガツンとインパクトがあるものを持ってきてほしいものですな。

 

<過去のマイナス人生オーケストラに関するレビュー>

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