- 神様、ディスコにて堕天。/マイナス人生オーケストラ
- ¥1,000
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1. ご逝去なう。
2. High-Technology Sub-Culture
3. 細胞愚005
4. kmsm[inst]
5. 僕の神様
6. 飛べなヰ女、 その後。(Bonus Track)
エイプリルフールで嘘をついて良いのは、午前中だけでしたっけ。
もう、すっかり夜分でございますので、通常の記事もアップしていきますよ。
bvexからアイドルデビューという強烈なエイプリルフールのネタも面白かった、マイナス人生オーケストラ。
6曲入りのシングルなのか、1,000円のミニアルバムなのか、非常にお財布に優しい新譜を紹介いたします。
18曲入り、2,000円という超ローコストな前作と比較すると、どうしてもインパクトには欠けますが、十分嬉しい価格設定です。
なんと、いまどき珍しい8cmサイズで、読み込めないパソコンの人もいるんじゃないかなぁ(笑)
抑えられるコストはとことん抑える。
マイナーバンドだからこそできるエコCDですね。
所謂、白塗りピコピコ系の彼ら。
このジャンル特有の、賑やかさ、楽しさっていうのは当然あるのですが、彼らならではの個性というのが、その裏に漂うブラックでダウナーな雰囲気。
バンド名に違わない、人生における負の要素を、ストーリーテリング風の歌詞の中に凝縮し、歌詞世界の住人の生きざまを抉るように描くのが上手い。
曲についても、マイナーコードを中心に構成されているので、切なかったり、悲しかったりの余韻が良く表現されていて、テクノが苦手、バンドサウンドが好きって人にも、受け入れやすいのではないかと思います。
中でも、もっともツボを刺激したのが、「僕の神様」。
某カルト宗教をテーマにしている、キワドい作品なのですが、宗教を批判するわけでもなく、肯定するわけでもなく、ただ、そこにのめり込んでしまった主人公たちの人生が、切々と綴られているのです。
とても共感できるはずもない状況なのに、気が付いたら感情移入し、共鳴してしまう世界観の在り方、ストーリーの紡ぎ方が秀逸。
この話術こそが、このバンドにしかできないストロングポイントなのでしょう。
打ち込み要素が強いけれど、テンポが早くメロディアスで、走馬灯のように切なさがこみ上げてくるサウンドのドラマ性も格好良い。
楽曲的には、これがもっともヴィジュアル系ライクかな。
ボーナストラックの「飛べなヰ女、 その後。」も、個性的ですね。
彼らにとっては異色となるミディアムテンポの歌謡曲調ロックですが、関西弁で語りかけるようなボーカルと、女声の語りとが絡み合って、ストーリー性を生みだす手法は、まさに真骨頂。
死んだ夫は、散々な言われようですけれども、しっかり愛されていたことも表現されていて、かえって切なさを掻き立てています。
繰り返しになるけれど、シナリオを組むのが上手いなぁ。
ところで、ジャンルが違うので気になるほどではありませんが、ボーカルの歌い方や声が、SOPHIAの松岡充さんを彷彿とさせます。
しっかり安定した歌唱力はありますが、この辺の歌い癖が好みを分けるかもしれません。
それ以外は、ピコピコ系にしては、という前提が置かれるものの、特に癖なく聴けるバンドでしょうか。
早くも次回作が決まったようで。
またまた6曲入りで1,000円とのことですから、気になった人は、とにかく手にとってみることをおススメいたします。