壊れてゆくカタチ / ピサロ | 安眠妨害水族館

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壊れてゆくカタチ/ピサロ

 

1. 壊れてゆくカタチ

 

ピサロの0thシングル。

3枚同時にリリースされたワンコインシングルの特典アーティスト写真を、2016年5月に開催された主催公演に持参することで配布されました。

 

収録されたのは、表題曲1曲のみ。

作詞はVo.虎歪さん、作曲はGt.楓さんが担当しています。

なお、虎歪さんは、現在はカイリと名義を変更して活動中。

メンバーチェンジではないので、ご留意を。

 

内容は、退廃的なミディアムバラード。

不穏な空気感を表現するSEから、ギターのアルペジオが入って、じっとりとした雰囲気を作り出す。

そのままサビまでシリアスに進行していくと、いよいよがっつりとバンドサウンドで届けられる美メロへ、という構成になっていますね。

 

2コーラス目に入ると、また静けさを纏う展開に。

もう一度、サビに入るかというタイミングで、先ほどはなかったBメロを用意しているのがニクい演出でしょう。

ここでガツン!というのを待っているのだけれど、なかなかに焦らされる。

ここでのドラムロールは、それをわかっているな、といった様相。

2回目に聴くサビは、更に印象的になっているという。

 

その後は、ひたすら盛り上がっていきます。

メロディ数がそこまで多くないミディアムナンバーにとって、6分近い尺は、ともすればダレてしまう長さ。

しかしながら、前述の構成の上手さもあって、クライマックスに進むにつれて奥行きが出てくるのだから面白い。

ドラマティックにしたのは正解だったのかと。

 

艶っぽい虎歪さんの歌声は、翳りが見え始める夕暮れ時の景色に良く似合う。

ジャケットは、まさにそんなアートワークで、表現したい世界観を、歌で、演奏で再現できていると言えるのかも。

王道的なサウンドではありませんし、そもそも入手困難。

ただし、このアーティスティックな香りに引き付けられるリスナーもいるのでは。

いつか再録してほしいな、と密かに思っている1枚です。

 

<過去のピサロに関するレビュー>

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