地球の転び方 / マイナス人生オーケストラ | 安眠妨害水族館

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地球の転び方/マイナス人生オーケストラ
 

1.地球の転び方
2.百年の孤独
3.ラバ、シーラカンスを妬む。
4.屑人間だもの。 (Bokenus Track)

マイナス人生オーケストラのセミナァ会場限定シングル。
従来の作品に比べれば、価格設定やパッケージは普遍化した感がありますが、それでも十分なコストパフォーマンス。

何と言っても、音質が向上したのが嬉しい。
もともと、チープなピコピコサウンドも味ではありましたが、生音と打ち込みのメリハリがはっきりしたことによって、時折混ざる叙情的な生音のフレーズが活きるようになりました。

作品の大局観としては、実験作といったところでしょうか。
表題曲である「地球の転び方」は、意表を突くロッカバラード。
サビでのキラキラしたシンセも印象的ですが、基本的には生音重視で勝負してきたのに驚かされた。
イントロで奏でられる、シンプルながら耳に残るギターのリフが耳に残る。
これが、ラストシーンでは感情的なフレーズに変わっていき、とてもドラマティックなのです。

そのうえで、歌詞の面ではマイナス節が全開。
負のオーラが充満していて、このギャップがいいのだよなぁ、と再実感させられる。

カップリングに収録されたのは、「百年の孤独」。
こちらは、音楽的にも、歌詞においても、彼らの王道。
だけど、1曲目との対比もあってか、打ち込み色を強めてきた。
ドラムについても、この曲に関しては打ち込みなのか、それとも、エフェクトで無機質に仕上げているのか、一転して機械的なサウンドになりました。
今までの作品であれば、特に気にならないはずなのだけれど、本作の中に紛れると、少し独特な雰囲気に聴こえるから面白いものだ。
作中の役割を考えれば、もっとシンプルな構成でも良かった気はしますが、これはこれで。

本編最後は、「ラバ、シーラカンスを妬む。」
次は、どういう曲を持ってくるかと思ったら、シャッフルナンバーときたか。
ジャジーなテイストで、大人びた雰囲気。
遊び心を入れて、幅を広げるアプローチはあったものの、本作においては、大真面目に新境地を目指してきたといったイメージ。
新たなコアを作り出すべく、しっかりと力を入れて作り上げてきましたな。

「屑人間だもの。」を、ボーナストラックに。
最後の最後に、良くも悪くも、従来の彼らそのままの音楽性をぶち込んでくるあたり、わかっていますね。
あまりに、変わってしまった印象を与えすぎても、困惑してしまう。
その辺の不安を払拭させつつ、作品は作品として完結させるという意味で、これをボーナストラック扱いで入れているのは、正解でしょう。

一皮剥けましたな。
まだ、熟成されているとは言えないけれど、うなぎのぼりの人気に、クオリティが負けないよう、確実に成長を見せている。
個人的には、ここに正当派のシングル的なナンバーが入っても良かったかな、とは思いますが、邪道な楽曲ばかりでインパクトを出してくる捻くれっぷりは、それもまた、マイナス人生オーケストラらしいのかな。
流通していないのがもったいない。
進化の予兆として、ライブに足を運んだ人は手にとってみてはいかがでしょうか。

<過去のマイナス人生オーケストラに関するレビュー>
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