サブカルチャー入門～もしもし渋谷～ / マイナス人生オーケストラ

サブカルチャー入門~もしもし渋谷~/マイナス人生オーケストラ

￥1,000

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1. 凸[inst.] 
2. ワールドイズノットマイン
3. 突
4. 少女、時々雨。-心中編-
5. サラバ重力
6. 死に損ないのサプカルチャー

GUITAROID.石原"零"ザムザさんが、トラブルにより突然の解雇。
このミニアルバムが、5人編成のマイナス人生オーケストラとしては、最後の音源となってしまいました。
本作には、"今、乗りにノって乗りすぎて今にもすっ転びそうなバンド、マイナス人生オーケストラ"というバンドのコピーがついていたようなのですが、ジャケットのイラストですっ転んでいる人が、リアルでもすっ転んでしまったという。

まぁ、ノリに乗っているのも本当のようで、初回プレス分は、各店舗で相次いで品切れ。
いよいよ、ブレイクを予感させる彼らの今回のテーマは、"サブカルチャー"。
実際にサブカルの聖地、ヴィレッジヴァンガードとのコラボしたグッズを販売してしまうなど、他のV系バンドがやらない方向で勝負しようとする姿勢や行動力には、感心の一言です。

前作では、似たようなパターンの楽曲が増えてきたなぁ、と危惧していた部分があったのだけれど、本作では、上手い具合に解消された印象。
実際、メインコンポーザーのVOCALOID.栗山"HaL"ヰヱスさんも、その辺は意識したようで、新しい一面を出すための作品と位置づけているようです。
メロディの乗せ方やサウンドの使い方は、やはりHaLさんらしいピコピコ＆セツナポップ感が満載なのだけれど、構成面や楽曲のバランスが工夫されていて、新鮮さもある。
バンドとしての成長がうかがえますね。
曲の最後に、次の曲に繋がる語りやSEが入るあたりは、コンセプト的なこだわりも見える。

インストの「凸」は、ダーク・ファンタジーのモノローグ的な、意外性のある空気感。
内容としては、"他人とは違う自分"を演じたがる、俗に言う"サブカル女"の面倒臭さに対する揶揄なのかな。

続く、「ワールドイズノットマイン」は、ボーカロイド市場で有名な「ワールドイズマイン」を参考に、タイトル先行でイメージを膨らませたのでしょうか。
もっとも、タイトル以外に、オマージュ的な要素はあまり見当たりませんけれど。
フルアルバムに収録された「改造人間にて」の過去の話とのことで、コロコロ変わる展開のひとつひとつに、引き込まれていきます。
変拍子のBメロから、突き抜けるように流れていくサビ、そして、ラストシーンに感じるカタルシス。
これは、かなり名曲だぞ、と鳥肌が立ちました。
ところで、各メンバーのコール＆プチソロがあるのですが、メンバー脱退により、このままの構成ではライブで使えないのか・・・
せっかくの新曲、しかもキラーチューンなのに、打ち込みを作り直さなければいけないのは、なんとも切ないですなぁ。

「突」は、タイトル的に、「凸」との関連性があるのかしら。
言葉遊び的な歌詞に、サイバー色の強いサウンド、サビのメロディ運びなど、どことなく、cali≠gariを彷彿させる。
ハードな曲ではあるけれど、メロディも耳に残るのはポイントが高い。
更に、配布CDのバージョン違いとなる「少女、時々雨。-心中編-」では、その美しいメロディに特化した楽曲構成に。
ボイスエフェクトにより、機械的なイメージがあるのだけれど、徐々に感情がこもり出すような展開が、歌詞とシンクロして、切なさが炸裂。
これまた、名曲ですよ。
しかしながら、なんでこの曲に、「負リークスたちのヲタ芸！」なんて合いの手が入るのか。
その辺がサブカルなのか。

「サラバ重力」は、とらえどころのない不思議な楽曲ですね。
激しかったり、歌モノ風になったり、主観と客観が不規則に並ぶ視点の交錯も、こういう曲だと一言で言い切れない感じ。
"わかりやすい曲ではなく、こういう難解な曲を愛好してこそ真のファン！"とか言い出したらサブカル女。
そこまで意識してコンセプチュアルに作られたのだとしたら、頭が下がる。
ラストはバラード、「死に損ないのサプカルチャー」。
ここでもまた、"サブカル女あるある"がはじまっていくので、本作は、サブカルをテーマと言いつつ、実態的には"vs サブカル女"という視点に重きを置いているのかな、とも思ったのですが、最後には、答えが見つかるような綺麗な終わり方。
むしろ、サブカル女こそが共感できる話になっているのかもしれない。

これまで、ジャケットにコストをかけてこなかった彼らとしては、気合いの入ったトールサイズジャケット。
それでいて、お値段は相変わらずのロープライスだから、嬉しいものだ。
ゴシップ性の強い解任劇まで話題に変えて、名前を売ってしまったのも、なんとなく彼ららしいです。

追加プレスも、随時行われるとのことですので、買い遅れたという人もご安心を。
サブカル女であれば、"売れる前から注目してたよ"という台詞を言いたいがために、CDを買っておくのもステータスですよ！

＜過去のマイナス人生オーケストラに関するレビュー＞
アイアム ア ロボット
未来予想図X
人間の証明
神様、ディスコにて堕天。