安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

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バックヤードの水槽から・・・ブログとは異なる切り口でのライブレポ/V系CDレビュー



音楽活動もはじめました。Discography

imagine/アルルカン

 

DISC 1

1. -insomnia-

2. DAWN

3. AFTERMATH

4. 血ヲ通ワセロ、ソノ命全テニ。- imagine MIX -

5. Heaven or Hell~艶派手~

6. 回る球体 幼気な子 救いはみえない

7. 触れるひかり

8. ARTIST

9. SP4RK- imagine MIX -

10. 顰-SHIKAMI-

11. 消えていくオレンジの空へ- imagine MIX -

12. imagine

 

DISC 2

12th Anniversary Live「声息」(2025.10.26 at SHIBUYA CLUB QUATTRO) ライブ音源

1. 血ヲ通ワセロ、ソノ命全テニ。

2. omit

3. 墓穴

4. MONSTER

5. バール

6. 世界の端

7. 白紙の手紙 

8. SynonyM

9. 愚者の行進

10. 「 」 IN THE SHELL

11. 無花果

12. ARTIST

13. 「私」と“理解”

14. 像

15. SP4RK

16. ダメ人間

17. 世界の終わりと夜明け前

 

アルルカンによる7thアルバム。

 

バンド名を"ΛrlequiΩ"から、結成当初のアルルカンに戻した彼ら。

オリジナルアルバムとしては3年ぶり、6枚目となります。

20th「消えていくオレンジの空へ」から、23th「ARTIST」まで、4枚のシングルを収録。

初回限定版は、2025年に開催された12th Anniversary Live「声息」のライブCDを含む、豪華仕様となっていました。

 

2013年の結成から、既に干支が一周。

若手の代表格から中堅バンドへと立ち位置を変えて行く中で、丸くなるどころか更に尖ったサウンドを展開しているから痺れます。

前作「Acoustic Anthology」がアコースティックアルバムだった反動か、立ち塞がる壁をなぎ倒して突き進むかのような持ち前のエネルギッシュなスタイルは、より鮮明に。

ゴリゴリに攻めるサウンドに、切れ味の鋭いメロディ。

歌モノ枠となる楽曲についても、Vo.暁さんのエモーショナルな歌声が痛みを引き連れてくるので、外から内から、感情のナイフで切り刻まれる感覚を味わうことになるのですよ。

 

もっとも、序盤は作品派といった顔も覗かせているから面白い。

SE「-insomnia-」から、浮遊感のある「DAWN」への繋ぎで、じっくりと世界観を構築。

没入感を高めてから、リードトラックとなった「AFTERMATH」でカタルシスを生み出していく展開が巧妙でした。

そこから理論からパッションへと比重が高まっていくのだけれど、なかなかどうして隙は見当たらないですね。

シングルを中心にリズムを作っていく中盤の盛り上がりは必然で、「消えていくオレンジの空へ」で感傷的な気分を高めてから、カオティックなサウンドの中に光を見出す大団円が心地良い表題曲「imagine」で締めるラストシーンもドラマティック。

原点回帰はバンド名だけではない、ということなのか、1stアルバムにも引けを取らない衝動性は、とにもかくにもインパクトが絶大です。

 

価格はやや高くなってしまいますが、ファンであればDISC 2も必聴。

代表曲はもちろん、アルバムに未収録となったカップリング曲も押さえられた気が利いたセットリスト。

スタジオ作品よりもソリッドさが際立っている印象で、激しさもセンチメンタリズムも予想を軽く飛び越えてきます。

「imagine」のタイトルの通り、現在の彼らを想像するのであれば、むしろこちらのディスクのほうが適しているのでは。

 

挑戦の日々を作品として還元。

結論として、センスの良さに実力が裏付けされた形だな、と。

"最新作が最高傑作"を、ハイクオリティで更新してきた1枚です。

 

 

 

<過去のアルルカン(ΛrlequiΩ)に関するレビュー>

Acoustic Anthology

δυσ-τόπος ~Dystopia~

MONSTER

The laughing man

BLESS

価値観の違いは唯一の救いだった

Utopia

ニア・イコール
無花果
墓穴
ステラ
Eclipse
似非林檎-eseringo-
アルルカン

PARALYZE/東京花嫁

 

1. PARALYZE

2. 愚者ノ行進

3. 推し神様

4. 夢遊愛夢

5. 彼女 IN THE DISPLAY

6. 英雄伝説

7. bye bye

8. 地獄少女

9. 容疑者Aの花嫁

10. テロメアのオーケストラ

 

およそ1年9か月ぶりとなった東京花嫁のフルアルバム。

 

1年間の制作期間をかけて完成させた渾身の作品。

前作「羅×神×盤」はデジタルリリースのみだったため、CDとしては初のフルレンスとなります。

 

本作のコンセプトは、"心"の内。

大括りで言えばメンヘラ系の系譜に入ってくるテーマ設定ではあるのですが、ステレオタイプな切り取り方は避けて、より幅を持たせている印象ですね。

お約束とも言える偏愛や執着に触れないわけではないものの、それをメインに据えるのではなく、あくまで数多ある感情のひとつといったスタンス。

心の弱さだけでなく、躁に振れたときの無敵感まで描いているのは、なかなかに個性的でした。

 

音楽性も、様々な人間模様を反映させたのかバリエーションに富んでいます。

彼ららしい音楽、という概念すら先入観だと言わんばかりのラインナップになっていて、選り取り見取り。

ともすれば散漫ということにもなるのだけれど、どの楽曲を聴いてもヴィジュアル系の遺伝子はしっかりと感じ取れるので、案外まとまりもあるのですよ。

リスナーを最大化できそうな「PARALYZE」をリード曲に据える構成も上手いなと。

それぞれに深く刺さる楽曲を用意しつつ裾野が広がっており、俗っぽさをかなり強く出した「推し神様」ですら、世界観として受け入れやすかったのでは。

 

メインコンポーザーであるGt.Ri-kunの引き出しの多さも然ることながら、どんな楽曲にもハマってしまうVo.黒神 神威さんの歌声も大きな武器。

東京花嫁のど真ん中とは言えないまでも、出せるものを全部出したという意味で、集大成的ではあったのかと。

最後に配置された「テロメアのオーケストラ」は、「Merry Christmas Mr.Lawrence」を彷彿とさせる美しい旋律が切なさを駆り立て、王道や邪道といった理屈を吹き飛ばすパワーを生んでいました。

 

残念ながら、本作のリリースツアーを最後にGt.晴夜さんとDr.キラさんが脱退。

初期編成としては最後の作品となってしまいましたが、彼らの期待値が高まったことに変わりはないでしょう。

 

 

 

Damnation without relief/魔王

 

1. 審判の刻

2. 死の舞踏会 feat.珀弥

3. 麝香の香り feat.三島伊織

4. 歌劇呪歌のアリアより第一幕〜礎となる者達〜

5. 歌劇呪歌のアリアより第二幕〜葬送 feat.涙音〜

6. 歌劇呪歌のアリアより第三幕〜断頭台で見る夢〜

7. 悠久の刻

8. 魔界宮廷音楽〜死は軽やかに

9. Countess of Blood

10. 月の雫 feat.矢吹ノゾミ

11. Damnation without relief

 

2024年にリリースされた魔王による1stフルアルバム。

 

シンフォニックメタルを主体に、作詞・作曲を手掛ける魔王さんのソロプロジェクト。

"魔界ふるさと納税返礼品"として発表された本作は、ヴォーカル、ギター、ベース、プログラミングも自ら手掛ける彼にとって集大成的な1枚となっています。

 

大きな特徴となったのは、4人のゲストヴォーカリストが参加していること。

その参加形態もコーラスやデュエットという形ではなく、ほぼ1曲まるまる歌う形になっていて、魔王さん本人の歌唱が最初に飛び出すのは4曲目の「歌劇呪歌のアリアより第一幕〜礎となる者達〜」になってから。

ソロヴォーカリストの作品としてはかなり異例のアプローチと言えるのではないでしょうか。

 

もっとも、ギタリストあるいは作曲家としての矜持も併せ持つ魔王さん。

自分で歌うことに縛られず、楽曲ファーストの選択ができるのは、ある種の強みと言えるのかと。

珀弥さんが歌う「死の舞踏会」は、魔王さんとは違ったタイプのオペラティックな歌唱が断罪の物語の冒頭にはぴったり。

三島伊織さんを迎えての「麝香の香り」は、女声を活かした疾走感のあるナンバーに。

ともすれば重苦しくなってしまうシリアスな作品の中で、ひとひらの清涼剤となっています。

 

「歌劇呪歌のアリアより第二幕〜葬送~」は、劇中に挿入される台詞だったり儚げな歌声だったり、涙音さんの召喚により実現したであろう演出が至るところに。

矢吹ノゾミさんの「月の雫」もややハスキーな声質が個性的なキャラクターとなっていて、ラスト前の重要な楽曲をドラマティックに仕上げていますね。

 

もちろん、ゲストの歌声が活きるのは、メタルチューンをバリトンヴォイスで黒く彩る魔王さんが本作の世界観をしっかりと表現しているからこそ。

重厚かつ激しい楽曲において、地の底から甦ったかのような力強さを見せつけることで、儚さ、弱さ、淡い色彩とのコントラストも際立っていくのです。

ゲストヴォーカルを多用するスタイルのリスクとして、ともすればオムニバス的な空気感になってしまう懸念があるのですが、本作については、「歌劇呪歌のアリア」シリーズを筆頭に、視点が切り替わる1本の物語としてスムースに流れていくのがポイント。

最後に持って来た表題曲「Damnation without relief」は、ゆったりとしたテンポ感が意外ではあったものの、演奏の主張が徐々に強まって壮大なフィナーレを迎えるころには、これがなくては締まらないという説得力を纏っていました。

 

メタルと言えばハイトーンヴォイスという風潮に一石を投じるロートーンで生み出すゴシック感。

王道ではないだけに好みは分かれる部分もありそうですが、ヴィジュアル系の遺伝子が確かに感じられる1枚です。

 

 

<過去の魔王に関するレビュー>

鼓動

ヴォイニッチ手稿

夜闇のオペラ(無修正モノ)