月と太陽 / XANVALA | 安眠妨害水族館

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月と太陽/XANVALA

 

1. satellite rondo

2. デスパレート

3. Bamby

4. ジャノメ

5. 悪辣が君を襲う

6. IBADAH

7. 聖戰

8. ゆらゆら

9. Dearest

10. キネマ

11. XANADU

12. ΛLIVE

13. SCALA

 

 

XANVALAの1stフルアルバム。

完全限定1,000枚限定でリリースされました。

 

付属品なしのCD単体で4,000円+税の強気の価格設定。

コロナ禍以降のCD単価の高騰を象徴しているようでもありますが、どうせ高値で取引されるなら、活動資金に。

ソールドアウトさせて、後にプレミア化することまで見越した自信の表れと見ても良いのかもしれません。

 

耳にしてみて、なるほど、これは納得せざるを得ない。

SEを含むとはいえ、全13トラック。

ボリュームも、クオリティも申し分なく、確かにそれだけの価値を見出すリスナーが1,000人ぐらいいてもおかしくないのですよ。

ライト層向けにはサブスクリプションサービスでの配信の解禁しており、新規ファンを振るい落とす心配もないですし、財布を出す身としてこれが常態化してほしくはないという本音はありつつ、戦略的な価格設定ラインとしては絶妙と言えそうです。

 

さて、内容としては、これまで断片的にうかがわせてきた多面性が、アルバムになって本領を発揮したといったところ。

ハードに攻める攻撃性を軸に置き、サイバーなデジタルサウンドや、ダンサブルなリズム、王道から少し外れるアクセント的なアプローチもXANVALAの音楽として昇華。

1曲目から4曲目まで、すべての作曲者が異なることでも証明されていますが、メンバー全員が楽曲制作に関われることが大きな武器となっており、全曲がキラーチューンのような密度の濃さを実現していました。

 

1日の流れを意味する「月と太陽」というタイトル。

構成としても、朝から夜になり、再び朝になる時間の移り変わりを表現しているようで、曲順も含めてしっかりとデザインされていますね。

リードトラックとなるのは、それぞれ別のベクトルを持つキラーチューン「デスパレート」と「Dearest」。

ギラギラとしたシンセと、アグレッシブに突き進む生音がバチバチとせめぎ合う「デスパレート」は、彼らの表層的な激しさを。

疾走感のあるリズムと、エモーショナルなメロディやミクスチャー調のギミックが美しく調和した「Dearest」は、彼らの内面的な激しさを。

音楽性の振れ幅を、散漫なバラエティ性ではなく、背中合わせの関係性と置くことができたのは、この2曲が既存のシングル曲にも負けないインパクトを放って、起点になっていたからでしょう。

 

多彩さを売りにしたXANVALAサウンドは、まだまだ枯渇していない様子。

実際問題、これだけの作品が完売しないシーンなんておかしいでしょ、と思ってしまう1枚です。

 

<過去のXANVALAに関するレビュー>

Bamby

我慾之幕

陸重奏