V系やめるってよ/NAMELESS
1. SE〜蘇生〜
2. V系やめるってよ
3. まだバンドマンやってんの?
4. 罠
5. 大嫌い
6. 不倫
7. 感情ジェットコースター
8. もう一つの名前
9. 冷たい雨
10. 唇
11. 都合良い女
12. サンドバッグ
13. バイバイサヨナラ
14. それが欲深き人間なのです
ex-アヴァンチックのVo.NOAH、ex-NAZAREのGt.妖、ex-MAMIRETAのBa.かる。を中心に結成されたNAMELESSによる1stフルアルバム。
会場限定での販売だったにも関わらず、すぐさまソールドアウト。
100枚限定で通販による2nd Press盤も発表され、結成当初から勢いを示した形でしょう。
ストリーミング/ダウンロード販売にも対応していますが、公開されているのは9曲のみ。
残り5曲については、現時点ではCDのみとなっています。
まず目に入るのは、「V系やめるってよ」、「まだバンドマンやってんの?」といった挑戦的なタイトル。
NOAHさんのキャラクター的に、外からV系批判をしているのかと誤解したリスナーも少なくないのではないかと思われるのですが、実はそれがブラフになっているのですよ。
一度、V系シーンに絶望して離れるも、自分に正直になって再び戻ることを決めたNOAHさんの心情をそのまま吐き出したような「V系やめるってよ」には、苦悩の中にも彼の決意が。
バンド業界の内側に対して鋭くメスを入れる「まだバンドマンやってんの?」に至っては、攻撃的な言葉の裏に、当事者としてシーンの衰退を嘆く気持ちと、レジスタンス精神が垣間見え、彼らなりのV系愛の表明と言えなくもないのです。
音楽とはそもそもそういうものではありますが、聴く前のイメージだけで語ってはいけない作品だったな、と。
8弦ギターをふたり擁して展開されるサウンド面も圧巻。
クラシカルなフレーズを織り込み耽美的に仕上げたり、歌謡曲要素の強い楽曲では妖艶にアプローチしたりと、様式美はしっかりとなぞりつつもメタリックに重厚な音圧を響かせる演奏は、センス、テクニックともに申し分ありません。
音楽性としては非現実的なアレンジを重視して、歌詞の世界観は生々しさを感じさせるリアリティ追求型。
このギャップこそ、メインで作詞・作曲を担当するNOAHさんが仕掛けたオリジナリティといったところで、ラストに詰め込まれた疾走耽美メタルチューン「それが欲深き人間なのです」まで、手を変え品を変え、テンションを高く保ったまま突っ走っていました。
とにかく序盤の2曲のインパクトが大きすぎるだけに、後半にも明確な盛り上がりを作りたかった部分はあるでしょうか。
とはいえ、楽曲の粒は十分に大きく、聴き込むことでイメージに囚われない本来の姿が見えてくるというスルメ系の側面も。
メンバーの豪華さに恥じない、クオリティの高い1枚です。