我慾之幕/XANVALA
1. ヒトリ舞台
2. DROID
3. ratchet
4. トラジェディは擬態する
5. 眠る秒針
6. 終幕
XANVALAの1st EP。
「ヒトリ舞台」のMVが6パターン+αが収録されたDVDが付属しています。
当初は会場限定盤としてリリースされたものの、瞬く間に完売。
全国流通盤として、改めてドロップされました。
もっとも、こちらも300枚の限定生産。
もっか勢いを拡大中の彼らであれば、完売必至といったところでしょう。
軸はハイテンポのハードチューン。
その中で、一歩踏み込えるようなバラエティ性を武器としているのが、XANVALA流とでも言いましょうか。
本作は、特にメロディアスな方向に舵を切ってきたのかな。
リードトラックとなる「ヒトリ舞台」は、アグレッシブなサウンドにダンサブルなリズムをぶち込んで、硬派な印象とキャッチーなとっつきやすさを両立。
1曲目から、なんだか垢抜けた印象を与えています。
「DROID」は、その勢いを引き継いで、よりベタな展開に落とし込んだロックチューン。
早口でまくし立てるヘヴィーなパートと、ポップさすら感じさせるサビの疾走メロディとの相性は抜群で、実にライブ映えしそうな展開です。
序盤は、かなり聴きやすい楽曲を固めてきたな、と。
もしかすると路線変更も視野に入っているのか、なんて邪推していたのですが、ベースがうねるミディアムロック「ratchet」や、がっつりラウドに攻め立てる「トラジェディは擬態する」と続き、経験値を高めてきた王道の楽曲たちを惜しげもなく披露。
ただ"いつもどおり"の安心感を与えるのではなく、驚きを与えてから帰るべき音楽性に戻ってくることで、リスナーを盛り上げる構成に仕立てているのですよ。
異色というか、チャレンジというか。
意表を突いたお洒落さを持つ「眠る秒針」は、Vo.巽さんの艶っぽい歌声が映える大人びたナンバー。
ファルセットの織り込み方や、さらりと流して歌うようなスタイルが、どこか切なくどこか寂しいメロディや叙情的な歌詞とマッチしています。
クロージングとなる「終幕」も、お洒落な空気感をバンドとして昇華。
複雑性の高いリズムが中毒的な余韻を残し、新しい軸を打ち出した新鮮味をもって、作品を引き締めていました。
振り返ってみると、それぞれのパートで、現在、過去、未来を表現しているようにも見えますね。
なお、一部の楽曲については、「陸重奏」に収録されていた「鮮やかな猛毒」や「CREEPER」と主人公が同一なのだとか。
時間軸的には、「トラジェディは擬態する」→「ヒトリ舞台」→「終幕」となるようで、案外、上記の考察の裏付けになっていたりして。
サウンドに十分魅力があるバンドが、それ以上の濃密な作品を生み出すべく、ストイックに世界観を追求。
音源を発表するごとに成長が見て取れる1枚です。
<過去のXANVALAに関するレビュー>