陸重奏 / XANVALA | 安眠妨害水族館

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陸重奏/XANVALA

 

1. WARNING COLOURATION

2. 鮮やかな猛毒

3. ジセイ

4. CREEPER

5. 独善

6. 文明開花

7. 誰が為の幸福論

8. 鮮やかな猛毒(Instrumental)

9. ジセイ(Instrumental)

10. CREEPER(Instrumental)

11. 独善(Instrumental)

12. 文明開花(Instrumental)

13. 誰が為の幸福論(Instrumental)

 

 

SCALAとしてのデモ活動を経て、2020年に始動となったXANVALA。

本作は、瞬く間にソールドアウトとなったシングルをまとめた完売音源集となります。

 

ex-LIMのVo.巽、Gt.宗馬、ex-FixerのGt.Yuhma、Ba.70.、ex-シュヴァルツカインのDr. 知哉というメンバーにて結成された彼ら。

"乱れる事は美しい"というワードをコンセプトに設定しており、バンド名も"ざんばら髪"から取ったのだとか。

5人中3人が、CULAとしての活動も並行しており、音楽性のクロスオーヴァ―も気になるところですね。

 

本作は、「鮮やかな猛毒」、「CREEPER」、「文明開花」の3枚に収録された全曲を、インストヴァージョンも込みで1枚にパッケージしたもの。

1曲目にSE「WARNING COLOURATION」が追加され、更には、各シングル曲のMVを収録したDVDも付属されました。

ポスターやオフショットDVDなどがプラスされるスペシャルパッケージも、同時にリリース。

スペシャルパッケージ盤は8,000円、通常盤でも4,400円と、既存曲を集めた完売集としては強気の値段設定ですが、定価の段階で1枚2,000円、現在ではプレミアもついているだろうシングルを揃えるよりはお得と言えるでしょうか。

 

「WARNING COLOURATION」は、デジタルサウンドが駆使されたSE。

ライブでの登場シーンを思わせる構成で、これを織り込むことによって、発売順に並べただけの曲順も、イベントのために組んだこだわりのセットリストに早変わり。

いよいよ幕が開き、スポットライトに照らされたのは、始動時に公開され、XANVALAの期待感を高めることになった「鮮やかな猛毒」でした。

激しくてヘヴィーで、そのうえでキャッチー性に富んでいる佳曲。

序盤から飛ばしてくるな、と。

 

もともとはカップリング曲であった「ジセイ」は、更にハードさを強めて。

これがまた、そのままシングルにも出来そうなクオリティ。

あくまで巽さんの艶やかな歌声を全面的に推し出していくスタイルは踏襲しつつ、シャウトも交えた攻撃性を演出し、スラップ奏法でゴリゴリ押し切る「CREEPER」への繋ぎとしても機能しています。

遊び心が効いた「独善」での軽めのノリも、忘れてはいけない要素。

カップリングだからこその曲調なのかもしれませんが、完売集として2曲に1曲はカップリングに当たる状況。

ポップさで盛り上がる楽曲も、XANVALAの引き出しのひとつとして認識されやすくなれば、間違いなく音楽性は広がっていく。

ある種、このタイミングでの完売集のリリースまでが、戦略だったりするのかもしれません。

 

和風サウンドが入ってきて、性急なリズムとまさかの融合を果たす「文明開花」も面白い。

とにかくラウドで硬派なサウンドを好むのだろうという先入観があったのだけれど、こんな飛び道具も持っていたのか。

「誰が為の幸福論」で見せた歯切れの良い叫びにしても、そのメロディ運びが重視されている印象で、良い意味で聴けば聴くほどイメージが変わっていきました。

実質的なクロージングの楽曲としての収まりも良く、内在していたポテンシャルがここにきて顕在化したと言えるでしょう。

 

シングルだけ聴くのと、カップリング込みで聴くのとでは、バンド像が違って見えてくるから興味深い。

そのぐらいカップリング曲の自由度が高く、それを含めて聴くことで、王道的なサウンドの求心力も高まっていく相乗効果。

一部の楽曲はサブスクで聴けるとはいえ、ここにきて曲順通りに聴くことの重要性を再確認できましたよ。

やや値が張るのはもったいないのですが、今後、彼らの音楽に触れようとするのであれば、まずは聴くべきだろうな、という1枚です。