凡人歌集/団長
1. 凡人哀歌
2. 凸凹
3. 続くといいね
4. 希望の朝
5. 冗談じゃない
6. good night
NoGoDのVo.団長による、初のソロ作品。
ART POP ENTERTAINMENTのWEB SHOP限定リリースとなりました。
全曲の作詞作曲を団長自らが担当。
NoGoDからも、アコースティックギターでshinnoさん、パーカッションでKさんが参加しています。
帯にはMUCCの逹瑯さんから寄せられたコメントが掲載。
ソロ作品でありつつ、仲間意識が感じられる作品でもあるな、と感じますね。
NoGoDでの活動が最優先という意識があったため、当初はソロ作品を作る予定はなかったとのことですが、コロナ禍において、ステイホームが余儀なくされる中、音楽人は音楽を世に出すことこそ本分という心意気で制作を開始。
リスナーからハンドクラップ等の録音データを募って収録する等、こういう事態だからこそ出来ることにもこだわっており、積極的にリモート活動に取り組んできたノウハウも活きているといったところでしょう。
内容としては、リードトラックの「凡人哀歌」から、早くも度肝を抜かれます。
アコースティックギターでの弾き語りという形式を、ある種フルで活用した、しみったれたフォークソング。
硬質なメタルサウンドでは出せない湿っぽくて女々しい響きに、情念がこもった団長の歌声が重なって、なんとも哀愁を連れてくるのですよ。
バンドの音楽性からはまったく考えられないサウンドワークであるにも関わらず、団長のキャラなら違和感がない、というのも役得。
明確に違いを出してソロ作品の有効性を示す一方で、リスナーにあっさりと受け入れさせてしまうのですもの。
ハーモニカの陽気な音色で路上ライブのような軽妙さを出してくるのは「凸凹」。
じめじめ、暗い楽曲ばかりやるのではなく、明るさも出してバランスもとっていくのだよ、とアピールすると、優しい顔をしておいて、実は皮肉たっぷりという「続くといいね」に繋げていくから、あざといのですよね。
この流れだったら、前向きなメッセージソングだと推測してしまうのだけれど、表にも見えるし、裏にも見える、絶妙なラインの歌詞を書いてきたなと。
その次が、ストレートに切なさに特化した「希望の朝」なだけに、こっそりと毒を含んでいたのが、かえって痛快でした。
明るい曲調に、強いメッセージ性を落とし込んだのは「冗談じゃない」。
ノリにしても、節回しにしても、バンドアレンジでも似合いそうなのだけれど、逆輸入の予定はないのかな。
オーディエンスのハンドクラップをバックに、アカペラで歌い続ける場面は圧巻。
最後はショートチューンである「good night」で締めくくり、アコースティックという縛りがあるとはいえ、相応にバラエティが豊富なアルバムに仕上がっています。
バンドを立てる意識は忘れずも、決してバンドの楽曲のアコースティックヴァージョンでお茶を濁そうとはしない団長。
以前から制作していた楽曲もあるのでしょうが、未音源化の新曲ばかりで構成されている作品には、否が応でもテンションが上がります。
NoGoDとして動き出せば、こちらの活動は一旦休止になると思われるだけに、少し寂しい心境なのも事実。
バンドにはバンドの、ソロにはソロの良さがあるので、機会があれば、第二弾、第三弾を世に送り出してほしいものです。