Hane/Again e.p./Kαin
1. 羽根 -single version-
2. 月の葬列 -Original Version-
3. before the down(Interlude)
4. Again -single version-
5. NUMBER SIXXX. -Original Version-
2009年にリリース予定のまま発売延期されていた2枚のシングルを、2018年、1枚にまとめて発表したEP。
20Pのフルカラーブックレットに、Vo.YUKIYAさんのインタビューが付属した4Pジャケットが付属した豪華仕様となっています。
内容は、当時のレコーディング素材を、2018年にミックスとマスタリングを施して完成させたもの。
そのため、ブックレット内のメンバークレジットやアーティスト写真は、2007年~2010年当時のものが使用されています。
いくつかの楽曲はメンバーチェンジ後に再録され、結果的には先行して発表されていましたが、アレンジも変わっているので聴き比べをしても面白かったのではないかと。
もっとも、本作も、再録曲たちも、レア音源の部類に入ってしまうため、オフィシャル通販にて在庫が復活することを期待してこまめにチェックするしかないのですけれど。
「羽根」は、Gt.SHIGEさんがコンポーズした疾走チューン。
ダークさを帯びたビートロックを基調としつつ、鍵盤を取り入れることでの浮遊感であったり、幻想的な昇華であったりと、体に染みついた白系サウンドの存在感がオリジナリティを高めていました。
もともとは「羽根」のカップリングとして制作されていた「月の葬列」は、SHIGEさんがメインボーカルを担当。
作詞・作曲はYUKIYAさんによるものですが、さすがに親和性が高く、初期Blüeの雰囲気を漂わせているのもたまりません。
「before the down」は、2枚のシングルを繋ぐボーナストラックとして収録された、40秒程度のインストナンバー。
後付けで追加された楽曲ではありますが、こちらも当時のメンバーであったAKIHITO FUJIWARAさんが制作したものを採用しており、この辺りにもこだわりを感じるかと。
この緩衝材のおかげで、個の強いシングルが、ミニアルバムとしてまとまった感があり、さすがの采配ですね。
「Again」は、YUKIYA節が全開の王道的な1曲。
前半はSHIGEさんの個性が強く出ていただけに、後半戦、YUKIYAさんが満を持して本領発揮といったところでしょう。
歌詩にしても、メロディにしても、D≒SIRE以降、普遍的なスタイルとして貫いている感情表現が詰め込まれており、それをKαinとしてどう料理するか、というチャレンジが含まれていたように思います。
そのカップリングとして収録予定だった「NUMBER SIXXX.」は、Ba.ICHIROさんとの共作。
上モノが前面に押し出されたサイケで実験的なサウンドなのですが、プライベートバンド的な性質を帯びた今となっては、ここまでぶっ飛んでいてこそKαinらしい、と言えるのかもしれません。
クロージングっぽくない楽曲だったのが、かえって奏功したのでは。
近年は、大衆性をあまり意識せず、コアなファン向けの活動を展開している彼ら。
ただし、本作に関して言及すれば、過去にD≒SIREやJILS、その関連バンドを好きだった層にも強く刺さる内容で、かつ現在のKαinに繋がる要素も多分に含んでいました。
聴きたいと思ってすぐに購入できる環境にないことは惜しまれますが、オフィシャルのYouTubeチャンネルでリリックビデオが視聴できる楽曲もいくつかありますので、2009年からストップしていた時計の針を、再び進めるきっかけとして。
<過去のKαinに関するレビュー>