「連合通信・隔日版」の記事からのご紹介です。一刻も早い対策が求められている子どもの貧困について、『なくそう!子どもの貧困』全国ネットワークが政党アンケートを行ないました。その結果について伝える記事です。引用部分は青で表記します。
子どもの貧困率削減目標を
子どもの貧困ネットワーク 政党アンケート結果を公表
連合通信・隔日版 2010年7月3日付 No.8344 p7~8
子どもの貧困問題について、参議院選挙にのぞむ各政党の考えを明らかにしようと、教育や福祉に関わる幅広い個人でつくる「『なくそう! 子どもの貧困』全国ネットワーク」は7月1日、政党アンケートの結果を公表した。
昨年、子どもの貧困率が発表されたことを受け、同ネットでは①子どもとひとり親過程の貧困率削減目標や貧困解決のための計画を立てる②貧困の実態把握を行う③子どもの貧困削減を政府や地方自治体の責務とする法律を制定する――ことなどを求めている。
アンケートは、これらの課題について各政党の政策を尋ねたもの。6月末までに8党から回答をえた。
子どもやひとり親家庭の貧困問題について政府により対応が必要かどうか尋ねたところ、民主、自民、公明、共産、社民、たちあがれ、日本の各党が「必要」と回答。
とくに解決すべき課題としては、民主・公明党が教育格差の問題をあげ、共産党やたちあがれ日本は親世代である若者の非正規化の問題も指摘した。社民党も親の雇用・職業訓練支援をあげた。自民党も経済的困難の問題にふれている。
問題解決に向けた政策について与党・民主党は、子ども手当や授業料減免制度、奨学金制度の拡充を推進するとしている。
自民はパート・有期契約社員の正社員転換や均衡処遇、派遣労働者の待遇改善などにふれ、共産は雇用の安定、教育費の負担軽減、保育の拡充などをあげた。
社民は昨年4月に「子どもの貧困ゼロ」に向けた提言を発表。総合的な子ども政策の推進を掲げている。
子どもの貧困削減に向けた法律制定について「早急に必要」としたのは公明・共産両党のみ。自民党は「法律制定の有無を含めて検討が必要」、たちあがれ日本は「まず個々の政策で対応すべき。必要性を感じない」とした。民主党は「今後議論すべき課題」と述べるにとどまった。
早急に実態把握を
アンケート結果を受けて、同ネット共同代表の湯澤直美立教大学教授は「子どもの貧困率発表は画期的だったが、国際標準でいえば当たり前のこと」と指摘。削減目標を立てるためにまずは実態把握が必要であり、そのうえで削減に向けた戦略づくりや政策の進行状況を評価する約組みづくりが必要だとした。
子どもの貧困削減に向けた法律制定については、自治体に取り組む義務があることを明記すべき、と語った。
〈用語解説〉
子どもの貧困率
正確には子どもの相対的貧困率。相対的貧困率とは、全国民の所得の中央値の半分に満たない人の割合を示したものです。
昨年秋に政府が発表しおた子どもの相対的貧困率は14.2%。7人に1人の子ども(17歳以下)が貧困状態にあることが明らかになりました。
ひとり親家庭の相対的貧困率は54.3%にのぼり、子どもやひとり親家庭の貧困率削減が緊急の課題となっています。
このアンケートについては、asahi.comにも記事が掲載されました。こちらも引用してご紹介します。引用部分は青で表記します。
子どもの貧困対策 法制化 政党間で意識差
asahi.com 2010年7月5日
http://www.asahi.com/edu/kosodate/news/TKY201007050084.html
11日投開票の参議院選挙を前に、教育や福祉関係者らが参加する「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークが、子どもの貧困に対する取り組みなどを主要政党に尋ねたアンケート結果を発表した。
アンケートは6月、14団体に発送。子どもの貧困について何が課題だと考えているか、解決のための具体的な政策は何かなど7項目を聞いた。民主、自民、公明、共産、国民新、社民、たちあがれ日本、みんなの8党が回答した。
対策が必要という認識では各党が一致するものの、そのための法律については公明と共産が「早急に制定が必要」、社民が「早急に制定に取り組むことは重要だが多面的な施策が必要」、自民が「将来的に制定が必要」、たちあがれ日本が「必要性を感じない」と意見が分かれた。民主は「今後議論すべき課題だと考えます」として見解を明確にしなかった。
アンケートでは、昨秋発表された2007年時点の「相対的貧困率」が18歳未満で14.2%だったことに関連し、この割合を減らすために政府として具体的な数値目標を設定するべきかについても尋ねた。公明、共産、社民、たちあがれ日本は「設定するべきだ」と回答、自民は「目標は必要だが相対的貧困率という指標では適切とは言い難い」。民主はここでも「今後議論すべき課題だと考えます」と述べるにとどまった。
みんなは個別の質問には直接答えず、一括回答で「基礎年金や生活保護を統合した『ミニマムインカム』を創設すべきだ」などと政策を記した。国民新は「現在まで子どもの貧困問題についての取り組みはありません。選挙の公約にもありません。今後検討してゆきたい」と答えた。
ネットワークの共同代表・山野良一さんは「アンケートには『子どもの貧困に取り組む』と答えても、マニフェストを読むとはっきりとは書いていない例もある。各党は、この問題にどう取り組むのかグランドデザインを持ってほしい」と訴えている。(原田朱美)
さて。記事を読むだけでは比較しにくいので、記事からわかる各政党の主な考え方を箇条書きでまとめてみたいと思います。
民主党
・子どもやひとり親家庭の貧困問題についての政府の対応は必要
・とくに解決すべき問題は教育格差
・子どもの貧困削減に向けた法律制定は、今後議論すべき課題と考える
・子どもの相対的貧困率を減らすための政府の具体的な数値目標設定は、今後議論すべき課題と考える
自民党
・子どもやひとり親家庭の貧困問題についての政府の対応は必要
・とくに解決すべき問題は経済的困難
・子どもの貧困削減に向けた法律制定は、将来的には制定が必要
・子どもの相対的貧困率を減らすための政府の具体的な数値目標設定については、目標は必要だが相対的貧困率は指標として適切とは言いがたい
公明党
・子どもやひとり親家庭の貧困問題についての政府の対応は必要
・とくに解決すべき問題は教育格差
・子どもの貧困削減に向けた法律制定は、早急に必要
・子どもの相対的貧困率を減らすための政府の具体的な数値目標設定については、設定するべき
共産党
・子どもやひとり親家庭の貧困問題についての政府の対応は必要
・とくに解決すべき問題は親世代である若者の非正規化
・子どもの貧困削減に向けた法律制定は、早急に必要
・子どもの相対的貧困率を減らすための政府の具体的な数値目標設定については、設定するべき
社民党
・子どもやひとり親家庭の貧困問題についての政府の対応は必要
・とくに解決すべき問題は親の雇用・職業訓練支援
・子どもの貧困削減に向けた法律制定は、早急に取り組むことは重要だが、多面的な施策が必要
・子どもの相対的貧困率を減らすための政府の具体的な数値目標設定については、設定するべき
たちあがれ日本
・子どもやひとり親家庭の貧困問題についての政府の対応は必要
・とくに解決すべき問題は親世代である若者の非正規化
・子どもの貧困削減に向けた法律制定は、まずは個々の政策で対応すべき。必要性を感じない。
・子どもの相対的貧困率を減らすための政府の具体的な数値目標設定については、設定するべき
国民新党
アンケート項目には答えず、「現在まで子どもの貧困問題についての取り組みはありません。選挙の公約にもありません。今後検討してゆきたい」
みんなの党
アンケート項目には答えず、「基礎年金や生活保護を統合した『ミニマムインカム』を創設すべきだ」
ある程度、違いが見えてきたでしょうか?
参院選に当たって、どの党も”子どもの貧困なんて関係ない”などという人でなしなことは言えないでしょうが、アンケートへの答え方によってその党の本気度が見えてくるのではないかと思います。
もっと比較しやすい一覧表のようなものがネット上にないかと探したのですが、残念ながらそういったものは見つかりませんでした。これからでも関係者のみなさんがやってくださらないものかと期待します。
そして、それぞれ専門分野の情報を持っている方々には、ぜひこうした各政党の分野別の考え方の違いがわかるようなものをまとめていただいて、投票の参考とできるようにしていただけたらと思います。
2010年9月16日予定の判決日まで、こちらもご支援よろしくお願いします。
緊急報告「爪ケアを考える北九州の会」からのアピール
http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10310539150.html
2009年12月18日、第2回公判が行なわれました。「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様から新聞記事をご紹介していただきました。
毎日新聞の記事
http://fukuokaunion.blog7.fc2.com/blog-entry-5054.html
朝日新聞の記事
http://fukuokaunion.blog7.fc2.com/blog-entry-5058.html
当ブログでは、2010年6月24日に結審した際のasahi.comの記事をご紹介しています。
福岡爪ケア事件控訴審、6月24日結審(asahi.comより)
http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10572938282.html