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Ready Steady Go!

Season Concept
   ~ London Eye ~

ブラジル滞在最後の夜は、ひとりゆっくりと部屋で過ごす。

あれだけ毎日誰かしらに会うために出掛けていたが、日本の真裏、遠い南米の異国でひとり部屋にいるとしんみり感が自然とわいてくる。

この感覚もこれまでにヨーロッパの様々な国で、滞在中の最後の夜に感じてきた事だが、今回はいつもよりちょっぴりセンチメンタル感傷気味かも?

そういう哀愁に酔いしれるのも、いつのまにか得意技となっている気がする。

通常のホテルのチェックアウト時間は12時だが、明日のフライトは夜の11時過ぎのシカゴ行きで、日本までのロングフライトを考えると出来る限りチェックアウトを遅らせたい。

フロントデスクで交渉して、夕方5時までのOKをもらい、気分的には余裕も生まれ、安堵感に包まれる。

本来であれば街に出掛ける手もあるが、少しでも体力温存の為に、部屋に留まることに決める。

行きに比べて随分と荷物も増えて、旅支度も重労働だが、4時には完了させ、ベッドの上で物思いにふける。

5時ジャストにフロントでチェックアウト、搭乗時間まで6時間もあるが、このまま空港に向かうのがおそらく安全だと、

慣れたロンドンをはじめとするヨーロッパであれば、もう少し余裕もあるが、ここブラジルでは治安面を考え、日が沈む前の明るいうちにタクシーで空港に向かう事を選択した。

過去経験した苦い思い出のタクシー事情も考え、乗車前に料金交渉をしてから乗り込む。

言葉は通じないが、ルックスから信用出来そうなドライバーで、ひと安心。

時間に余裕がある時は得てしてこういうもので、さほど渋滞にも引っかからず、わずか45分ほどで空港に着いてしまう。

搭乗まで5時間以上あり、当然チェックインカウンターは別のエアラインが使用していて、2時間ほどどこかで暇をつぶさなくてはならないが、荷物の盗難などを考えると越し掛けて眠るわけにもいかず、気が抜けず緊張したまま、時間を過ごさなければならない。

とにかく退屈極まりない情況が続くわけで、ひとり孤独な時間とこの先もおお付き合いしなければならない。

何もすることなく待ち続ける事2時間10分、やっとカウンターが準備され搭乗手続き、そのまま長蛇の列のセキュリティーに並ばされ、30分以上掛かり、出国税関検査に再度並び、やっとスタンプをもらって一段落する。

エアラインのラウンジに駆け込み、1時間半ほど時間をつぶして、やっとやっと搭乗ですが、正直この時点ですでに疲れきっている身体が存在する。

狭い機内はほぼ満席で窮屈な空間であるが、リザーブしていたシートは、最後部の真ん中3列の右側通路側。

この3列のうち2列はクルーの人たち用に空席のままリザーブされている事を前回知ったわけで、ほぼ
ひとりで使用出来るラッキーシートであるのでした。

空席状態を知り移動を申し出る人もいたが、クルーの返答はもちろんノー。

いよいよ離陸で、2週間の夏のブラジル滞在にセイ・グッバイ。

2週間の滞在を振り返れば、知っている人、知らない人、大勢の人たちに出逢い、そしてお世話になり、今回もまた記憶に残る、いつまでも忘れることがない思いでとなった気がする。

I love Brazil 、Obrigado !


いよいよ仕事としての最終日、アポイントを入れていたブラジリアン・ビーチウエア・ブランド BEACH COUTUREのオーナー&デザイナーのVanda/ ヴァンダ のもとを訪ねる。

場所はホテルから歩いて20分ほどのサンパウロ中心地で、教えられていた住所は閑静な住宅街。

人通りもなく大きな門を見て一瞬気が引けるが、入口にいるセキュリティのガードマンに尋ねると住所は合っている。

数分確認の為に待たされるが、別のスタッフに案内され中に通される。

日本では想像出来ないくらいの御殿?で、芝生で覆われたプール付きの中庭を抜けた先のオフィースの部屋にVandaは待っていた。

初対面だが快く迎えてくれて1時間ほどの商談後、先週この中庭のプールサイドで行われた2010SSコレクションのキャットウォークショーの写真を見せられる。

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残念ながらブラジリアンモデル嬢のおみ足をナマでは見られなかったが、雰囲気は十分に感じられる。

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これまでにブラジルで数多くのビキニブランドを見て来たが、ラテン気質の大胆なカッティングデザインだと、日本市場での販売は難しかった。

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ヴァンダ自身もそこを十分に意識したヨーロッパスタイルのデザインを発表して、評判も上々とのこと。

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プリント柄もカワイくエレガントなデザイン、更にスタイルの良いモデル試着で一段と可憐さが

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輝くほどのまぶしいオレンジカラーは、ここブラジルのビーチが一番映えそうな気がする。

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シルク素材のプリントスカーフも、ビーチウエアとしての写真のようなコーディネート

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欲を言えば、モデル嬢の後ろに見えるサスペンダー使用のおじさまの位置でショーを観たかったかも、、、、

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イタリアやスペインのヌーディストビーチ&トップレスビーチを体験して来た私には、これくらいのシースルーでは驚きません。

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フィナーレのモデル嬢全員登場

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おまけとしてこの写真のモデル嬢のボトムは、最後まで読んでいただいた殿方への心ばかしの一足早いクリスマスプレゼント?

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今回も貴重な体験の連続、人もうらやむ贅沢なブラジル滞在も残すところ1日となりました。

Obrigado





ブラジル滞在も後半戦を迎え残り数日だが、美味しいブラジル料理にも食傷気味で、そろそろ日本食が恋しくなるジャパニーズ・フーズシック症候群かもしれない。

そんなわけで、今晩は仕事でお世話になっているクラウディアとプリシラのふたりのリクエストで、彼女たちがお薦めするサンパウロでナンバーワンと言われているらしい日本食レストランNAGAYAMAに出掛ける。

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店内に入ると確かに雰囲気、スタッフ、客層は良さそうに感じるが、果たしてお味は?

もちろん今晩のゲストの彼女たちのリクエスト通りというか、外国人が好む日本食の定番の刺身&天ぷらを中心としたメニューをオーダー。

海外で見かける外国人の特徴としてお刺身を食べる時、彼らは醤油を溢れんばかりに注ぎ、べちょべちょとなるくらい醤油漬けとして召し上がる。

これは白米ご飯だと味が物足りなく醤油をかけて食べるのと同じで、薄味好みの日本人に比べると、そこはやはり濃厚な味付けのラテン食文化が存在している。

更にすべての料理のボリュームも驚くほどで、隣りのテーブルの人たちが頼んでいた天ぷら盛り合わせを見て確認してからオーダーしたが、天ぷらは4人で一人前をシェアしてこと足りるジャイアントポーション。

久々の日本の味を堪能し心なしか癒されて、この後、食後のカフェへ移動。

昨日サラとやって来たオスカー・フレイレにある Santa Grao Cafeに再びやって来る。

深夜まで営業していて、もしかすると業界人御用達のスノッビッシュなひとたちのお気に入りなカフェなのかもしれません。

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カフェコンレッチをいただき、雰囲気に酔いしれ30分ほどを過ごした後、ホテルまで車で送ってもらう。

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今晩もブラジルの初夏の風の心地よさから長居をしてしまい、時計の針はすでに深夜1時。

明日?も午前中から仕事のアポイントで、30度を超す中、歩き回るスケジュールです。

Obrigado



今回のサンパウロ滞在中、散歩がてら滞在していたホテル近くのお気に入りの場所を地図を片手にぶらつく。

偶然出会すストリート光景にシャッターをきる事もあるが、決して観光気分ではなく、仕事の合間となれば、タイミングを逃してしまう事も数多くある。

当然一番最初に足を運んだのは、ファッションストリート/ オスカー・フレイレにある Galeria melissa/ ガレリア・メリッサで、早いもので5月に訪れてからすでに半年が経ち、エントランスのペインティングがピンクのバービーコレクションイメージへと変身していた。

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melissaのはす向かいにあるカフェ/ DOLCE DAL 1951はこじんまりとしているが、内装含めてオシャレな雰囲気で、ここでいただくカフェ・コンレッチは、気分的にもマイルドで美味しく感じる。

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そこから歩いてすぐの、コーナーを曲がった所にある近所のローカル人間御用達のカフェも、必ず立ち寄り一息入れる場所。

特別特徴があるわけではないごくごく普通の小さなカフェだが、ここで腰を下ろし、店の前を行き来する人たちを眺めている時間が愉しい。


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そして、シュラスコをはじめとする有名な牛肉料理がブラジルにはあるが、ここRODEIO / ロデオは味ももちろん、雰囲気ある老舗の高級レストランで知られている。残念ながら今回は外観の写真だけでご勘弁。

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そして高級ファッションストリートOscar Freire / オスカー・フレイレにあるSanto Grao cafe に、忙しさの合間をぬって デザイナー Sarah /サラをお茶に誘って、ひと時を共有する。

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最後に今回のメインイベント、通りに何気なく置かれたホウキの束は、カラフルな色目がブラジルの街に妙にマッチしていて、腰掛けて話していたふたりに断りなくシャッターを切ったが、お気に入りの1枚となったことは言うまでもない。

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高級ファッションストリート Oscar Freire近辺には、魅力的な驚きのお店が点在していて、ブラジル文化と歴史が詰まっている贅沢な場所である。

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Obrigado



ブラジルのシューズブランド TABITA/タビタの総勢25名とともに、一夜のゴージャスなディナーをレストランA FAVORITA / ファヴォリータで愉しむ。

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これまでに運良くグルメなブラジル人に連れられて、3大都市サンパウロ、リオ、ベロ・オリゾンチの郷土料理の美味しさに舌鼓してきた。

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広大な国土を持つブラジルでは、北部、北東部、南西部、南東部、南部の土地の数だけ、それぞれの土地に多種多彩な料理方法と味付けがあるといわれている。

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ブラジル人が必ず勧めるカクテル、砂糖きび焼酎とライムで造られたカイピリーニャは、アルコール度数は高いが甘めでポピュラー。

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自然の宝庫ここブラジルは食材も豊富で珍しい料理もあり、ブラジル人が食べるボリュームには驚かされるが、グルメな国である事は間違いなさそう。

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海岸沿いのリオとは違い、ここミナスジェライス州は山間部で、有名な豆料理や肉料理が特に美味しい。

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5年前にデザイナーMartielo Toledo /マルチェロ・トレドの出身地、ベロ・オロゾンチを初めて訪れた時、堪能した郷土料理の味に驚いた。

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欧米の主要都市と違いなかなか情報入手を難しく、現地の人に聞かなければ、このようにブラジル人に囲まれた環境とはならない。

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平日だというのに広い店内は満席で、待っている人もいるくらいこのレストランは人気があるみたいだ。

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初対面だが彼女たちの車に相乗りさせてもらいおよばれされたわけで、社長は都合で不参加となったが、皆さんの親切さにオブリガード。

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頂いたレッドワインと、満腹にもかかわらず全員のオーダーの勢いにつられて頼んだデザートの写真をご披露。

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これまでに海外に2週間以上滞在すると体重減が普通だったが、ここブラジルではこの常識もくつがえされるほどの食文化とグルメな国なのでした。

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3時間が過ぎ午前12時半、それでもブラジル人TABITAご一行さまの腰は上がりそうもなく、睡魔におそわれ皆様より一足お先にタクシーでホテルへご帰還と相成りました。

cheers





サンパウロのショールームにお邪魔している時に、後ろから日本語で話しかけて来るひとがいた。

その時は一瞬、誰だか分からなかったが、驚いた事に彼の名は、Emerson Leao / エメルソン・レオン。

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サッカー通の人であれば、当然誰でもが知っているブラジルサッカー界の重鎮で、現役時代はGKでブラジル代表の守護神として、4度のワールドカップに出場して活躍していた。

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現役引退後の1992年に、指導者として日本のJリーブ清水エスパルスの2代目監督として来日。

その後、日本では1995年からヴェルディ川崎の監督、2005年にはヴィッセル神戸の監督を務めるなど、指揮官としての能力も賛否両論はあるが、結果次第のスポーツの世界、本人にしか分からない事は数多くあるはずだろう。

2000年には本国ブラジル代表監督も務め、サントスFC、クルゼイロFC、サンパウロFCなど、87年から日本の3チームを含めてトータル25チームの指揮官を務めたほど、まさにブラジルサッカー界の重鎮で実力者であることは、まぎれもない事実。

偶然とはいえ、そんな有名人にサンパウロで出会うとは、昨日までの不運続きの霞が晴れて、一気に高揚した気分に変えてくれる。

その後は仕事に集中していたが、彼が帰る時、わざわざさよならを云いに来てくれる。

まさにホンモノのアスリート、競技中とは違う紳士的な穏やかな人柄が垣間みれた。

存在感がある実力者は、どの世界でも他人にとやかく言われがちだし、メディアがうたう事だけが事実として捕らわれがちだが、本音のところは本人にしか分からない。

もしかすると、2016年リオ デ ジャネイロ開催のオリンピックで、ブラジル代表の監督も夢の話ではないかもしれない。

Obrigado


この1本のローソクが何を意味するのか?

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自分自身もまさかという事が、ここサンパウロのホテルで発生した。

夜の10時過ぎ、突然停電となり、部屋は真っ暗。

その時は単純にホテル内の問題かと思ったが、ロビーに降りて行くと、エマージェンシーによりロビーの灯りとエレベーターの一部は作動していたが、街全体が真っ暗闇と化す。

ラジオの少ないニュース情報のみで、ホテルのスタッフは対応に大あらわの様子。

宿泊者ひとりひとりに1本のローソクが渡され、今晩はこの灯りで眠り似つかなくてはならない。

晩ご飯がまだだったことから、歩いて近所のカジュアルなレストランに向かうが、わずかな灯りだけで、滅多にない雰囲気を楽しむしかない。

ちょうど交差点の角に位置していて信号機も作動しておらず、1台のパトカーが非常事態でライトをハイビームにして照らし続けている。

情報があればいいがこんな大規模な停電に直面して、言葉も分からず慣れない環境でいつ回復するかも分からないまま、不安な一夜を過ごさなければならない。

食事の後、部屋に戻ったが、すぐには眠れず、余計な事が頭を駆け巡る。

治安の面で不安があるここブラジルで、地下鉄などではこれ幸いと極悪な犯罪が発生しないか?、
ローソク使用で火災が発生しないか?、離発着の飛行機は大丈夫なのか? 季節が初夏の今、冷蔵庫のモノがくさってしまうのではないか、とか、もしかしてすぐに回復せず、予約しているフライトで帰国出来なくなるのではないか?など、要らぬ心配ばかりが頭をもたげる。

後で分かった原因だが、ニュースではこう伝えていた。

ブラジルの最大都市サンパウロをはじめとする主要都市で10日午後10時(日本時間11日午前9時)すぎ、大規模な停電が起きた。16年の夏季五輪開催地リオデジャネイロや首都ブラジリアなどにも被害が広がり、10州で数千万人規模に影響を与えたとみられる。

 10日夜、サンパウロ市内は闇に包まれ、信号が消えたことで交通が混乱、車のクラクションの音が鳴り響き、地下鉄も止まった。消防局には問い合わせが殺到し、停電発生後に「対応できない」との自動音声のテープが流れたが、停電から4時間後には全域で、復旧に向かった。

 ロイター通信や地元の報道によると、パラグアイとの国境付近にある世界最大級のイタイプー・ダムにある水力発電所の送電システムで問題が起きた。発電所の責任者はブラジルのメディアに「強風で送電線に障害が生じた」と停電の理由を説明した。停電の被害は隣国パラグアイにも及んだ。同発電所は、ブラジルの電力の2割、パラグアイの電力の9割を供給している。

翌朝目覚めた時、冷蔵庫のモーター音で回復していることに気付き、ひと安心してゆっくりとお風呂に浸かる。

とにかく、バラエティーに富んだ色んな体験に出会す今回のブラジル滞在。

後数日、何も起こりませんようにとお祈りしたくなる心境です。

合掌



心身ともに蓄積してしまったストレス解消が目的だったはずのつかの間の息抜きも、運悪く予期せぬ濃厚な出来事に見舞われ、逆効果となってしまった感は拭いきれない。

されど、海外での貴重かつ希少な体験、特に異文化でのその国それぞれのお国柄と人柄にふれることは、旅を充実したものにしてくれる。

町の景色、食事、そして言葉も違う偶然出逢った異国のひとたちとの出会いは、国内では味わえない美味しさがある。

たまには予期せぬ出来事にも遭遇してしまうこともあるが、これもサイドディッシュ的に考えれば、想定内なのかもしれないはずだ。

そういう意味では今回のカンブリでの滞在は、今後二度と会う事がなくても見知らぬ異国の者同士がつかの間の時間を共有出来て、決して贅沢ではなかったがブラジルの自然にも触れて、小さな感動なりに得るものは大きかった気がする。

今年9回目となる海外出張、ここブラジルが今年4回目を数え、片道フライト30時間を越す長旅に耐えて来た自分に自分でささやかなご褒美を進呈したわけです。

別に望んでいるわけではないが、何をしてもどれだけ頑張っても当然誰も褒めてくれることがないわけで、自画自賛がお得意の私には、異国の新鮮で無垢な空気感がリフレッシュするご馳走となるのでした。

百パーセントとはいかなかったが気分的にリセットして、ここサンパウロにふたたびやって来た。

2週間の今回のブラジル滞在、後半戦のホイッスルが鳴って、必死になって頑張らなければならない新しいモノ探しの過酷な6日間が始まる。

限られた時間での短期決戦、プレッシャーは当然あるが、勝負にも己にも負けたくはない。

cheers


短時間であれ、これほどまでに恐怖感にさいなまれるとは思ってもなく、海外/異国での生活習慣等をなめたらいけないということを、今痛いほど感じている。

市内中心地まで距離にするとそんなに遠くないはずだが、夜、迷子になれば本当に身動き出来ず、かと言って泣くわけにもいかず、とにかく何とかここから移動する手段を考えるしかない。

相変わらず小柄なブラジル人のおじちゃんは、ポルトガル語が理解出来ない自分に対し、ずっと何かをしゃべり続けている。

その時、女神が我々の前に現れた。

赤い車に乗ってガソリンを入れに来たブラジル人女性は、英語が話せるらしい。

我々の事情を話し助けを求めると親切に対応してくれて、まずはこれまでにまわりの人間がずっと何を言っていたかを説明してくれる。

彼女いわく、彼ら全員がそれぞれにお金をくれれば、俺たちが道案内してやると言っていたらしい。

が、もし信用して道案内の為に車に同乗させることは、あまりに危険が伴う。

万が一を考えると、とても行動に移せない。

考えついたのはタクシーを見つけ、先導してもらう方法だが、我々がいるこの場所にタクシーは通りそうもない。

更に彼女にタクシー会社に電話してもらうが、場所柄断られてしまう。

彼女が案内してくれるのが一番いいのだが、これから仕事に行かなくてはならず時間がなないと断られてしまう。

やはりこの場から自力以外で脱出は不可能なのかと途方に暮れるが、八方ふさがりで涙目?の我々に同情してくれたのか、彼女がとりあえずタクシーが拾える所まで先導してくれるという。

やはりここはかなり治安が悪い、危険な場所らしい。

我々には彼女しか頼る人はなく、車で走る事15分くらい、人通りがある安全なショッピングセンターまで先導してもらい流しのタクシーを止め、ドライバーと交渉してくれて、苦境から脱出することが出来た。

異国の見ず知らずの人間に、ここまで親切に対応してもらったことに感謝のひと言ですが、深々と頭を下げお礼を言うと、笑顔で走り去って行った。

彼女のmelissa /メリッサという名前しか聞けなかったが、本当にいい人で良かったと、、、、、、

彼女の名前も今の自分にとっては、不思議な気がしてしまう。

20分後、やっと目的地にたどり着くが、実はレンタカーの返却時間は19時で、すでに3時間以上オーバーしている上に、満タンにしたガソリンも迷子になり高速道路を長距離走行した為にかなり減ってしまっている。

無茶な行動をしたわけではないが、一歩間違えばとんでもない結果が待ち受けていたかもしれず、この後、猛省したことはいうまでもない。

カンブリを出発してからすでに7時間半が過ぎ、海外の怖さを痛感した長い1日が、やっと終わろうとしている。

合掌


当然、あと数日はここに居たい気持ちもあり、名残惜しさを感じながらもホテルを後にして、サンパウロに戻ります。

予定で行けば3時間後にはサンパウロ到着のはずが、この時点では我々は何も分かっていなかった。

順調に車を走らせ、鼻歌気分でビーチの余韻を楽しんでいたほどだったが、1時間後くらいから雲行き?が怪しくなって来た。

順調に高速道路の分岐点でサイン通りサンパウロへ向かっているはずだが、往路と景色が違って感じられ、霧に包まれた山間部のトンネルとアップダウンが激しい道を走り続けているが、どうも様子がおかしくなる。

まだ日没前で余裕はあるが、車も少なく感じられ、もしかして違う方向へ向かっているではないかと不安がよぎる。

我々が今どこにいるのかが分からなくなり、いいおとなふたりが俗にいう迷子状態に落ち入る。

ナビゲーションも地図もなく、とりあえず路肩に車を止め、お店のひとに聞きに行くが、サンパウロはこの道をまっすぐ行けばいいと笑顔で簡単に応えてくれ、一時安心して車を進めるが、再度不安感が襲って来て、ふたりとも徐々に余裕がなくなり始め、ガソリンスタンドを見つけて再確認する。

もちろん言葉が通じない環境なので、相手の説明も100%理解は出来ないが、片言で何とか理解して行く。

道路情況が複雑で、実はどこでどう方向転換すればいいのかが分からない。

同じ道を何度も繰り返し通過して試みるが、サンパウロ行きのメイン道路に出られない。

完璧に迷路にはまり、にっちもさっちも行かなくなり、再度別のガソリンスタンドに助けを求める。

彼らも親切に説明はしてくれるが、いかんせんポルトガル語、まったく分からず苦悩は続く。

この後も情況は変わらず、再び一番安全なガソリンスタンドに助けを求めると、日本人名を名札に付けているスタッフを見つけ、日本語で話すが、残念ながらその人は日本語を話せず、喜びも一瞬で終わる。

しかしながら親切さは断トツにあり、サンパウロ行きの高速入口を教えてもらい、4度目のトライでやっと正しい方向に向かう事が出来た。

後はとにかくまっすぐ行けば、サンパウロ市内にたどり着けるはずだと思っていた我々だが、午後7時を過ぎてあたりは暗くなり始め、それでなくても分かりずらいブラジルの道路標識が、一段と見えずらくなり、把握することが困難になって来た。

まわりの車は驚くほど高速で進行している為、車線変更も危険が伴い簡単にはいかず、降り口の標識を見過ごせば、その後永遠に次の出口まで走り続けなくてはならない。

行き過ぎるてUターン場所を見つけ戻って来る、この繰り返しが何度となく続き、サンパウロ市内セントラルがどの方向なのかは分かっていても、そこにたどり着けないで永遠に高速道路から下りられない情況が続く。

以前3人連れのスウェーデン人男性たちがナビゲーション付きの車にもかかわらず迷子になり、知らず知らずのうちにスラム街に入り込んでしまい、とんでもないアクシデントに遭遇してしまったというニュースが頭をよぎる。

その時はまだ実感が湧かなかったが、今の状態はまさにそれに匹敵するほど困窮しているのかもしれない。

すでに出発してから6時間ほどが過ぎて、ふたりともまったく余裕がなくなり、時間ばかりが過ぎて行く。

この後、神様の救いか高速道路で運良く警察の検問に出会し、道を聞き、再度トライするが、目前にしても正しい方向に進めず、ますます怪しげな暗い所に向かってしまう。

とうとう今回5回目のガソリンスタンドだが、今までと違い周りの雰囲気がよろしくない。

スタンドのスタッフに道を聞くがまったく通じず、完璧にお手上げ状態、するとどこからともなく人が集まり始め、皿の料理を食べながら若者が近づいてくる。

その他、ずっとしゃべりっ放しのおじさんを含め、怪しい人が次から次へと現れる。

まさに万事休すかと思うほど、危険なニオイが忍び寄り強烈な危険性を感じる。

これまでに150回ほどの海外渡航歴があるが、これまでで一番最悪の情況かもしれず、アクシデント遭遇は数知れずあるが、ここまで切羽詰まった心境の経験はなく、何とも言えない雰囲気に言葉が出なくなる。

もしかして、と良からぬ事を考えるほどの緊迫感が押し寄せて来る。

この後、どう展開して行ったのか?

続きは、また明日。

cheers