《以下はヤフーブログに書いた記事の一部を訂正したものです》

 田中将大の楽天復帰が決まった。年俸は巨人・菅野を上回って史上最高額の(2年契約で)年間9億円+出来高とか。しかも、昨年の金額(推定23億円)からして、オプション込みの年俸はこの倍以上ではなかろうか。コロナ渦にあって青息吐息の球団経営が多い中で、プロ野球を席巻する、このバブル。IT企業だから成せる技なのか、それとも・・。

 楽天が強い。とはいっても急成長を遂げたITのことではない。スポーツビジネスのことだ。サッカーでは世界戦略を推し進め、野球では、東北地方のみならず、関東地方、ことに首都・東京を中心に人気拡大が続く。営業努力の賜物であることは否定しないが、それ以上に首都圏を征服するだけの下地が整っているのだ。

 《《折り紙》》

 ⚾️〈楽天『イーグル』ス〉
 ⚽️〈ヴィッセル神戸〉

(イーグル=鷲)
(獲物を狙う鷲≦米粒)

「おら、もっと大きくなって東京さいぐだ」

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 サッカーJリーグの誕生以降、プロスポーツでは地域密着が浸透した。当然のこととはいえ日本だけが立ち遅れていた。欧州サッカーのみならず大リーグ機構でも試合の大半はホームタウンに限られる。しかし、プロ野球の巨人軍だけは違った。市場独占を目論み、フランチャイズ制度を度外視してまで全国制覇を企てた。

 全試合が全国ネットでテレビ中継された。それが、テリトリー(地域密着型)本位の浸透によって一変する。数々の不祥事も加わり視聴率は低迷。今や関東地区でさえ巨人戦のテレビ(地上波)放映はない。ラジオ(TBS)中継までが撤退してしまった。こうした背景には日本人特有の“郷土愛”を忘れてはならない。

 東京は地方出身者が多い。それも圧倒的に東北地方からである。人口推移を見れば分かるが、終戦直後(1945年)東北6県の総人口は824万人で現在の902万人とあまり変わらない。理由は言うまでもない。就職や離農による求職と様々だが首都圏(東京)への転出にある。

 この間、日本の総人口は7199万人から1億2712万人と76%も増加している。同率の増加と仮定するなら、東北の人口は1450万人が妥当であり、548万人足りない。即ち、この内の9割は首都圏への転出であり、約500万人が東北地方出身者か、その子孫ということになる。

 一方、東京の人口は、1945年の348万人から997万人も増えて1345万人が居住する大都会へと変貌した。それも自然増ではない。地方からの転入に支えられたに過ぎない。県別では新潟県が一番とはいえ総数では東北地方出身者が圧倒的多数を占める。だから、首都・東京は日本の中枢である同時に、東北各県からの500万人が支配する東北文化圏でもあるのだ。

 プロ野球の人気上昇組はカープ女子に代表される広島だけではない。マスコミの扱いでも楽天の露出度が際立ってきた。それも関東地区に於いてだ。地域密着を掲げて人気拡大の(巨人を除く)4球団ならいざ知らず東北の球団に対してである。やはり“故郷球団への回帰”にメディアが気付いた証しではなかろうか。

 東京ドームのソフトバンク戦では九州出身のホークスファンで埋め尽くされる。日ハム戦なら北海道出身者が列を成す。楽天イーグルスは、その比ではない。この先も故郷回帰が進むなら首都・東京は楽天ファンに席巻されてしまうだろう。なにせ、500万人が愛しむ故郷球団であり、東北6県と合わせて1400万人の絆でもあるからだ。

 楽天では、こうした流れに気を良くしたのか、スポーツビジネスへの大型投資も目立って増えてきた。この数年だけでも、サッカーJリーグのV神戸には、ボドルスキー(年俸6.4億円)、イニエスタ(同32億円)、そしてビシャ(推定5億円)と立て続けに大型契約で入団。欧州ではFCバルセロナと年5500万ユーロの4年契約(約256億円)、バスケットボールではNBAのウォリアーズと3年総額6000万ドル(約68億円)と、合わせて約324億円にも及ぶ巨額なスポンサー契約を結んでいる。

 プロ野球でも然り。これまでのケチケチぶりは何処へやら。FAの岸に続いて同じく西武から浅村を獲得。しかも、その金額(一部では出来高込みで9億円説)たるや、これまでの常識を覆している。そして一昨年の涌井(ロッテ)に今回の田中将大である。浅村の場合、金満球団の誉れ高いソフトバンクスを振り落としているだけに、その執念たるや凄まじいと言えよう。

 これだけ拡大志向の強い企業が東北の一球団で我慢できるだろうか。金塊の眠る大市場の東京を放置しておくだろうか。かつてオリックスとの併合で近鉄バッファローズは消滅。楽天イーグルスとして本拠地を仙台に構えることでプロ野球の12球団2リーグ制は保たれてきた。

(東京ドーム)
〈画像はネットより〉

(収容人員46000人、年間では300万人の集客を誇る)

 ならば次は、東京ドームの買収、或いは新球場の建設で首都圏進出を目論むのではないか。その場合、1都+6県が楽天イーグルスのテリトリーになるであろう。東京ドームは読売ジャイアンツのホームでもあるが、あまりにも高い使用料に音を上げて、今度は巨人軍そのものが存続の危機に立たされるかも知れない。

【昨年末、東京ドームは三井不動産に買収された。これで安泰かと思いきや、そうともいかない。買収の意図は、あくまでコンテンツの価値を見込んでのことだ。今シーズンも入場者を大幅に制限した上での開催を余儀なくされるだろう。コンサートやイベントだって難しい。遊園地にも客は来ない。ならば収益に期待は持てない。ボランティアではない。営利企業であるなら、いつまで持ちこたえられるだろうか】

(五輪以降はサッカー専用への改修案が浮上しては消える/新国立競技場)
〈画像はネットより〉

(サッカーでは80000人収容可能となる)

 サッカーでも同じだ。東京五輪以降は「国立競技場をサッカー専用球技場に」といった案が根強く残る。まだホームチームを決める段階ではないものの8万人(収容)規模は魅力だろう。3万人のノエビアスタジアム神戸とは比較にならない。収益だけではない。発信力が違う。チームのバルサ化を計るにも、これ以上のコンテンツはない。こうして野球は東京ドーム、サッカーは新国立競技場へ、、これが楽天の野望ではなかろうか。

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《怪談/コロナの七不思議》

(国会審議風景)
(衆院予算委員会、2021.01.28)

 肩と肩を寄せ合い、ヤジまで飛び交う様は、これまでとちっとも変わらない。これが『3密』を唱える総本山の実態である。内外の報道の如く「既にワクチンを摂取している」のか、コロナ菌にも選ぶ権利があって「汚れた者には近付かない習性がある」のか、どちらだろうか。いずれにせよ、これでクラスターにならないのは不思議だ。