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■『パターソン』
☆☆☆☆★★[90]
2016年/アメリカ映画/118分
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:アダム・ドライヴァー/ゴルシフテ・ファラハニ/バリー・シャバカ・ヘンリー/クリフ・スミス/チェイセン・ハーモン/ウィリアム・ジャクソン・ハーパー/永瀬正敏
■2017年 劇場公開作品 13本目
「ジム・ジャームッシュ監督」に僕は「トラウマ」がある。映画少年となって入門したばかりの時代、「評論家」に「大絶賛」されてた監督だった。
だが『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』『ターミネーター』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『トップガン』しか映画ではなかった少年に、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『ダウン・バイ・ロー』は「映画ではなかった」。もはや「映画ではない」を通り越し、「苦しみ」と化してた。
ところが当時、映画雑誌『スクリーン』の『1986年 執筆者選出ベストテン』で、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』は「2位」、『ダウン・バイ・ロー』は「10位」。「映画監督」になるには、「滝に撃たれる」「荒行」に挑む覚悟で「苦しみ」に耐えるしかないと思った。僕は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を見るしかなかった。
今までの人生で僕は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を「3回」見た。だが今「殆ど何も覚えてない」。「見なければならない」という、「不安」「恐怖」「苦悶」に追い込まれた『ダウン・バイ・ロー』など、今「見た」か「見てない」かの記憶が思い出せない領域。「不安」「恐怖」「苦悶」に追い込まれ、ビデオに録画したのは覚えてる。「もはや何一つ覚えてない」が、もしかしたら「1回」見たかもしれない。
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の「うっすら」覚えてる部分は、「従妹」の話だったか? 最後すっぽかされて孤独になる部分。そしてあの「耳障りな音楽」は強烈な記憶がある。大体 “ダイナマイト・ボンバー・ギャル” と名乗るほど「女好き」な男が、よほど尊敬できない限り「男の歌声」など「絶対聴きたくない」。僕にとって「男の歌声」は「苦しみ」でしかない。「殆ど何も覚えてない」映画であの「音」は、僕には「トラウマ」と化すしかなかった。
だが新作が公開される度に「ジム・ジャームッシュ監督」は「大絶賛」だった。もう僕に『ミステリー・トレイン』を見る「勇気」はなかった。それでも「映画監督」になれない「不安」「恐怖」「苦悶」から、「プログラムだけ買った」。
『ミステリー・トレイン』から完全に「逃げた」僕だったが、恐るべき “極限ダイナマイト・ボンバー・ギャル” 「ウィノナ・ライダー」の「極限の美」の力で、『ナイト・オン・ザ・プラネット』は見る「勇気」が出た。だが今「ウィノナ・ライダー」が車を運転しながら大声を出した以外、「殆ど何も覚えてない」。
映画学校の学生時代『デッドマン』が公開された。淀川長治先生「大絶賛」。「ジョニー・デップは目だけで芝居をする」と大騒ぎだった。だが僕は、もう「ポスターを見ただけ」で「ごめんなさい」だった。(「プログラムだけ買った」)。
以来今日まで、僕は「ジム・ジャームッシュ監督」からずっと逃げてきた。1992年公開の『ナイト・オン・ザ・プラネット』以降、2017年の『パターソン』を見る「勇気」が出るまで、僕は「25年間」時間が掛かった。
『パターソン』が「ものすごい幸せ」な夫婦の、「ものすごい静か」な恋愛映画でびっくりした。「25年間」の長い年月を経て、やっと『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の「耳障りな音楽」の「トラウマ」が消えた。
『ミステリー・トレイン』の「永瀬正敏」が、『パターソン』に出てきて何とも言えない気持ちになった。「ジム・ジャームッシュ監督」の「トラウマ」から、必死に「逃げた」あの頃を思い出した。「永瀬正敏」を見て、『ミステリー・トレイン』の「ジム・ジャームッシュ監督」だと実感した。
「俺もこうなりたい」と、こんな結婚に素直に憧れる、「トラウマ」が消えた自分にびっくりした。
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