機械人形化少女概説(1)
機械人形化少女概説(2)
機械人形化少女概説(3)
機械人形化少女概説(4)
機械人形化少女概説(5)
機械人形化少女概説(6)
機械人形化少女概説(7)
機械人形化少女概説(8)

「転写」について(2)
手塚治虫先生の『火の鳥復活編』の主人公宮津レオナは、ロボットのチヒロ61298号を人間の女性と認識し愛するようになり、自分の死の寸前にドク・ウイークデーに頼んで、自分の脳髄の全記憶をチヒロの電子頭脳に送り込んで、チヒロと一体化しロボットロビタに生まれ変わります。
混合型転写とでも言うべき転写の変則形だろうと思われます。

この話の中では例えばチヒロの電子頭脳ではない空の電子頭脳に脳髄の全記憶を移し替えて元の人格を再現できるのか明らかになっておらず(人造蛋白質による人工脳髄が蘇生技術の最先端として描写されているところを見ると困難なのではないかと予想されます)、極めてイレギュラーな事例ではないかとも考えられ、一般化できるのか微妙なところではあります。
機械人形化少女概説(6)で述べたように、死の直前の脳から記憶を移し替える事例では複製でも純粋な転写でもどちらでも説明はつくのですが、この漫画の中では死んだレオナの心がチヒロの心と出会う描写により、レオナの心が完全に電子頭脳に移った転写の1種とわかる仕掛けです)

『火の鳥 (漫画)(Wikipedia)』

【今回描いた絵】
宮津レオナ(事務用ロボットチヒロ61298号)