機械人形化少女概説(1)

『未来のイヴ』について
女性型ロボットを扱った作品としては最も古典に属する『未来のイヴ』という小説があります(はじめてロボットの登場するチャペックの『R・U・R=ロッサム万能ロボット会社』より古い作品です)が、今まであらすじでしか知らなかったこの作品を最近ざっと読んでみたところ、実はこの作品は変則的ながら人間の魂(意識)が機械の体に転送された機械人形化少女ものとしても読めることに気がつきました。
というのは友人のエウォルド卿の恋人の外形を模して発明家のエジソンが作り上げた機械人形のハダリーに最終的に生命を与えたのは、どうやらアンダーソン夫人という現実の女性の別人格ソワナの「転移」であるらしいことが作品から読み取れるようになっているからです。
(特にエウォルド卿がハダリーを持ち去ったあとにアンダーソン夫人が息を引き取るのは、別人格であるソワナが完全にハダリーと一体化して元の肉体から消えてしまったことを暗示しています)
一般的にはロボットものジャンルの爛熟後にロボットへの人間の意識の転送を扱った作品はあらわれるものと考えられるので、『未来のイヴ』は古典にして先駆的な驚くべき作品といえるでしょう。

『未来のイヴ(Wikipedia)』

【今回描いた絵】
鷹羽タカ子(サイバーTAKAKO)