なぜ「皮膚刺激」が生まれるのか(上級者向け) | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

美容と健康、美髪と美肌にまつわるケミカル裏話を美容に詳しい「化学の先生」が分かりやすいコラム形式で徹底解説!
美容業界を取り囲むウソ情報を見破る術を伝授します。
化粧品類の評価・解析も更新中。

一日一回のランキング投票にご協力ください。
↓クリックで投票完了↓



ちょっと難しめの話になるかもしれませんが

ぼそぼそっとぼやいていきますね~。



化粧品成分の「皮膚刺激」って非常に難解なものです。

単に「刺激」と言ってもその原因は様々です。


例えば

「石けんは肌に刺激があります。」

という場合の『刺激』の原因は

・アルカリ性

・脱脂性

の二種類があります。


アルカリ性はタンパク質に悪影響を及ぼすからで、

脱脂性は肌バリアを損ねる要因だからですね。


これらは実生活からも体験しやすくイメージしやすいものだと思います。



ですが例えば「エタノール」が刺激的だ、というのはどう説明しましょうか。

別にエタノールはアルカリ性ではありませんし、

脱脂性があるわけでもありません。


似たようなもので「PG(プロピレングリコール)」

という保湿成分も刺激があると言われています。


あと『硫酸系』の陰イオン界面活性剤(ラウリル硫酸Naなど)とか、

陽イオン界面活性剤の刺激とか…



なんで刺激になるんだ?と不思議に思いませんか。





ちなみに専門家の判断ではこれらの物質の皮膚刺激性は

基本的には試験管内試験と動物実験などで逐一テストを行って

刺激の有無を試験の結果で見て判断されます。



つまり結局は

「試してみて刺激があったから、刺激物と認定する」

というのが一般的です。




しかしもちろん皮膚刺激が生じるのには理由があります。


そしてそれは当然化学構造などから推測が可能です。



つまり刺激性の原因を大体わかっておけば、

構造を見るだけで危険なものなのか安全なものなのかは判断できるのです。





これらの原因を一から文章のみで詳しく説明するのは非常に難しいので割愛しますが、


ただ刺激性を考える上で重要になる考え方は結構シンプルです。


まずはその化学物質が「安定」なのか、ということです。


「構造的に不安定な物質」は刺激を生みます。



構造的に不安定、とはつまり

安定して存在するためのエネルギーが不足しているとか逆に持ちすぎているとか、

必要のないものを持たされているとか必要なものがないとか、

そういう状態になっているわけです。


そういう化学物質が皮膚などの生体組織に付着すると、

組織からエネルギーを奪ったり、いらないものをくれたりして

自身の構造の安定化をはかりはじめるのです。


すると確かに元々不安定だった物質は安定化するのですが、

お肌などの生体組織は逆にいらないエネルギーをもらってしまうので

不安定になります。

すると組織が破壊されたりしてそれが『刺激』となるわけです。


とてもはた迷惑な話ですけど…(^_^;)




例えば『ビタミンC』などの還元性を持つ物質や、

強力な酸化力を持つ『活性酸素』などの酸化性物質、

特に酸化を受けやすい構造を持つ物質(レチノールや美白剤など)、


構造が不安定であればそれだけ刺激を生む要因になります。




さらに化学構造自体は不安定ではなくても、

「その性状によって生体組織の安定性を損ねてしまう物質」

も刺激の要因となります。




生体組織は基本的には「タンパク質」というもので出来上がっています。


タンパク質はアミノ酸が無数に連なってできた高分子化合物ですが、

ただアミノ酸がつながるだけではタンパク質にはなりません。


タンパク質は自身の構造を維持するために構造中にいくつかの「結合」を作ってその形を維持しています。

 

 


→画像:http://keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_biology_2/contents/bi-2/1-bu/1-1-1.htm より引用



右に書いてあるα-ヘリックスとかβシートとかの辺はあまり気にしなくても結構なのですが、

左側に書いてあるのがタンパク質の中にある「結合」というものです。



水の力による『水素結合』、

静電気の力による『イオン結合』

油の力による『疎水結合』


などなど。


こういう弱っちい力が幾重にも働いて、

一本鎖のはずのアミノ酸のつながりがタンパク質という複雑な形状を成すわけです。

 

 

 

 


蛋白質のかたちとはたらきより引用

 


う~ん、見るからに難しいですね…。(苦笑)

こういうグニャグニャとかくるくるとかの立体構造を維持していないとタンパク質はその性質を発揮できません。

 

もしどこかが壊れてしまえば、それはもう別のものなのです。
(破損が小さければ治るものもありますが…)





で、話は戻りますが


例えば、強い静電気を与えてしまう物質


陰イオン界面活性剤陽イオン界面活性剤などはそういう性質がありますね。

イオン性の界面活性剤はタンパク質に対して静電気を与えます。


するとタンパク質の静電気の結合の安定性が崩れます。



タンパク質にも安定な静電気のバランスがあり、

その静電気のバランスが壊れればタンパク質は破壊されます。


そしてこれも『刺激』です。




水の結合・油の結合に関しても同じです。


例えば『尿素』『エタノール』『PG』などあまりに水に溶けやすい物質などは

タンパク質の水の結合のバランスを崩します。



分子の大きさが小さく、よりタンパク質に作用しやすいというのもひとつのポイントです。



分子が小さく水と親和性がありすぎる物質ほどタンパク質の安定性を破壊するため刺激になります。


また油の性質を持ち過ぎている物質でかつ分子の小さい「アセトン」などの有機溶剤も、強力な刺激になります。



あとタンパク質はアルカリで「加水分解」という反応が起こってアミノ酸の結合が切れてしまうので、

アルカリには基本的には弱いです。






などなど、

その化学物質が生体組織に悪影響を与える要因を抱えているかどうか、

が化学物質の刺激性に由来しています。


もちろん化粧品に使われている成分の刺激なんていうのはたかが知れていて、

もっと危険なものはもっと危険ですからね(^_^;)


触ったらすぐ溶ける、くらいの劇薬だってたくさんあります。




ただ化粧品の成分の中には安全とはいえギリギリ刺激になってしまうようなものがあるのです。

もうちょっと分子が大きくなるだけで刺激にならなかったりと結構微妙な違いです。


例えば炭素数3個のプロピレングリコール(PG)は刺激ありですが、

炭素が一個増えただけのブチレングリコール(BG)は無刺激で有名です…。




ただやはりこういう微妙なラインの刺激性の評価はやっぱり推測だけではできません。

だから学術的な評価を下すにはやっぱり試験して確かめる必要があります。



とは言え、僕らが化粧品の性質を判断する程度の話であれば

これくらいの基礎認識を持っていると大抵の成分の名前と構造があれば

刺激性か非刺激性かはなんとなくわかってしまいます。



とても難しい話だとは思いますが、

成分解析上級者の方はそういう勉強もしてみるとおもしろいかもしれません^^;








吸収剤&酸化亜鉛フリー!最高指数UV下地【セラネージュ ハイエンドカバーUVベース】7/15発売【詳しくはこちら

敏感肌のエイジングケアに!【セラシエルレッド モイストクリーム】発売!【詳しくはこちら

オンラインストアURL:https://cores-ec.site/ceralabo/

ストアバナー3 

セラキュア ローション&エッセンス 紹介ページ 

セラヴェール スキンウォッシュ 紹介ページ 

セラヴェール プラチナムクレンジング 紹介ページ 

セラシエル レッドプロテクトジェル 紹介ページ 

セラブライトシャンプー&トリートメント 紹介ページ 

セラブライト ケミカルリペア 紹介ページ

セラネージュ UVクリーム 紹介ページ

セラキュア スキンクリーム 紹介ページ

 

超ベテランコスメ開発者と手掛ける魂の合作【美肌成分事典】10月19日発売!詳しくはこちら!

【秒でわかる!最強の家事-暮らしは、化学でラクになる】発売中! 【詳しくはこちら!

【オトナ女子のための美肌図鑑】ベストセラー10万部突破!【詳しくはこちら!

      

メイクも化学で徹底解明 【オトナ女子のための美容化学 しない美容】 大好評発売中!!

かずのすけがマンガに!【かずのすけ式美肌化学のルール】の紹介 

究極の美肌法を徹底収録!【どんな敏感肌でも美肌になれる!オフスキンケア】の紹介 

 

<公式ホームページ>  ブログを見やすくまとめています!→詳しくはこちら!

 


【かずのすけのおすすめ化粧品まとめページ】
かずのすけが実際に使用している商品や四つ星&五つ星の商品をまとめています!
詳しい利用法について→こちら
オススメの解析

かずのすけ

Facebookページも宣伝
かずのすけ公式Facebookページのいいね!もお待ちしてます!

解析依頼はここから
※アメンバー限定です。

【かずのすけのブログ検索】
コメントや古すぎてAmeba検索でHITしないものも検索できます!


(バナー用画像↓ 加工OK!)