RIDDLE CRITIC -5ページ目

タリスマン






著者: スティーヴン キング, Stephen King, 矢野 浩三郎, ピーター ストラウブ
タイトル: タリスマン〈上〉

主人公は12歳の少年、ジャック・ソーヤー。父は彼が幼い頃に亡くなり、母と2人刻苦に喘ぎながらもつつましく暮らしていました。しかし、唯一の家族である最愛の母が、癌で倒れます。次第に衰えゆく母を前に、無力感に打ちのめされるジャック。そんな彼の前に、一人の黒人が現れます。黒人はスピーディ・パーカーと名乗り、ジャックに母を助けるための手段、そして今の世界とは別の世界”テリトリー”について説明をします。かくて自分のすべきことを悟ったジャックは、母を救うための鍵”タリスマン”を手に入れるため、長大な旅に出発するのでした。

現在の世界と対的な存在である”テリトリー”。表裏一体の世界を跳躍しながら、タリスマンを追い求めるジャックの旅は、幻想的なものに対する陶酔と冒険に対する興奮を味わわせてくれます。

骨の袋






著者: スティーヴン キング, Stephen King, 白石 朗
タイトル: 骨の袋〈上〉

全米でトップクラスとは言えないまでも、ある程度の人気を博していた小説家マイク・ヌーナン。人生の成功を収めていた彼を、突如悲劇が襲います。それは、これまで自分を支えてくれていた妻の死。脳内動脈瘤破裂というあまりにも突然な別離に、マイクは多大な精神的ショックを受けます。その影響は仕事にも現れ、マイクは小説が書けなくなり、まさに天国から地獄に転がり落ちるように暗澹とした日々を送ります。妻の死後から悪夢にも苛まされるようになったマイク。夢の内容は、決まって休暇のたびに妻と訪れていた湖畔の別荘、通称セーラ・ラフスでの出来事でした。何とか立ち直るきっかけを見出そうと、妻との幸せな日々に思いを馳せていたマイクは、ある事実に気づきます。それは、死ぬ直前までの妻の不可解な行動。彼女はなぜか、マイクに隠して何度もセーラ・ラフスに足を運び、周辺で調査を行っていました。自分が毎夜見る夢と何か関係があるのか?妻の行動を謎を解くため、そして過去との決別をつけるため、マイクは数年ぶりにセーラ・ラフスを訪れることを決意します。

妻は何を調べていたのか、そして夢が指し示す意味とは?幽霊との邂逅によって次第に明らかになる真実。背筋が凍るような恐怖と、悲哀に包まれながらも感動的な情動を与えてくれる作品です。想像力を最大限に働かせつつお読みください。

ドリームキャッチャー






著者: スティーヴン キング, Stephen King, 白石 朗
タイトル: ドリームキャッチャー〈1〉

2001年11月上旬、今年も狩猟キャンプに集まった4人の男たち。幼い頃からの仲間である彼らは、父親たちに連れて来られて以来、25年もの間毎年晩秋のキャンプを楽しんでいました。しかし、ジョーンジーが一人の遭難者を助けたことをきっかけに、キャンプはいつもとは違う様相を帯び始めます。無数の不思議な光、一斉に森から逃げ出す動物たち。不可思議な現象は次第に4人にも影響を及ぼし始め、選択の余地なく彼らを巻き込んでゆくのでした。

これだけでは何の話か全く分かりませんが、少しだけ明かしてしまうと本作はエイリアンによる地球侵略の物語です。こう言うと何だかチープに聞こえますが、そこはスティーブンキング。これまでのエイリアンを題材にした作品とは一線を画す構成を創出しています。エイリアンという非現実的な存在を、圧倒的なリアリティのある現代の世界に描き出す。かなりの長編ですがスリルと恐怖と感動を与えてくれる良作です。

デッドゾーン






著者: スティーヴン・キング, Stephen King, 吉野 美恵子
タイトル: デッド・ゾーン〈上〉

未来に対して何の憂いもなく、順風満帆の人生を歩んでいたジョン・スミス。しかし幸せの絶頂にあった彼を、悲劇が襲います。交通事故によって、昏睡状態に陥ったジョン。4年半という歳月は、彼を過去の遺物と化し、人々の記憶から忘れ去らせるのに十分な時間でした。何もかもを失ったジョンですが、たった一つ彼には得たものがありました。それは、人の未来が見える予知能力。特殊な能力を得た彼を、周囲は羨望の眼差しで見つめます。しかし、当の本人にとっては呪われた力に他なりませんでした…

超能力といえば、誰もが一度は夢見るような魅惑的な響きを持っています。しかし、特別な人間となることは決して幸福ばかりではないということを、本書は教えてくれます。望まざる能力によって、あまりにも重い苦悩と責任を負わされたジョン・スミス。苦しみながらも運命に必死に抗おうとする彼の姿に、感動すること間違い無しです。

アトランティスのこころ






著者: スティーヴン キング, Stephen King, 白石 朗
タイトル: アトランティスのこころ〈上〉

ボビー・ガーフィールドは11歳。父親を早くに亡くし、母親と2人で暮らす彼には今、どうしても欲しいものがありました。それは近くのサイクルショップに売っているシュウィンの自転車。しかし、1ドル以上の出費を懇願すると、決まって拒否反応を示す母親の前では望むべくもありません。そんな折、ボビーの住んでいるアパートに一人の老人が引っ越してきます。どことなく不思議な雰囲気を醸し出す老人とすぐさま親しくなったボビーは、その老人からある提案を持ちかけられます。それは、黄色いコートを着た下衆男たち<ロウ・メン>を見つけたら、すぐに自分に知らせること。その見返りとして週に1ドルの報酬を君に上げようという老人の提案に、否やのあるはずもないボビーは嬉々として契約を結びます。この時から、ボビーにとって決して忘れることのない夏が、静かに幕を上げるのでした。

生きることに何の疑問も抱かず、純粋無垢に駆け過ぎた少年の頃。そんな時代を共に歩いた友人たちとの触れ合い、そして一人の老人との出会いと別れを通して、少年から大人へと変わりゆく姿が切々と描かれています。思い出すたびに心温まるような、そんな少年時代を想起させてくれる作品です。