英国に於ける教育は、"be honorable"即ち「良心に問ひて愧ぢざる人たれ」といふ事を非常に重視してゐて、それを紳士たり愛国者たるの前提としてゐる。格物致知の信念は実にこの精神を基礎として涵養され、かかる精神を否定するやうな教育はたゞ曲学阿世の徒を生産するのみである。
教育が国家経綸の基盤である事は論を俟たない真実であるが、学術の神聖を侵すがごとき教育が罷り通る時代には、国を憂へる心は育たない。我らが子孫の幸福を祈ればこそ「学術は神聖」であるべきで、正しき知識と認識こそが物事に対して正しい判断を下すのである。
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この地図帳をご覧頂きたい。
これは吾が国で現在使用されてゐる社会科の地図帳である。
説明するまでもなく、教育に於いて未だに台湾が「中国の一部」といふ扱ひになつてゐるのだ。(本来「支那」と呼称するのが正しいが、意識変革がなされてゐない人たちのために便宜的に「中国」を使用する)これを「洗脳教育」と呼ばずして何と呼ぶ事ができようか。
さらに、地理の教科書に記載されてゐる中国の総面積は「台湾を含んでゐる」事が確認できる。要するにこれを作成した教科書会社は、文部科学省に「そのやうに記載しなければ検定に合格させない」と恫喝され、渋々その指示に従ってゐるのだ。
吾が国の教育への、支那の容喙を許すな。
文科省の役人たちは支那から幾らのワイロを受け取ったのか?台湾を支那領として記述・記載する教科書を採用してゐる国は、実のところ支那と吾が国だけなのである。このやうな教科書は、恐るべき事に年間約300万人の青少年に与へられてゐる。(詳細は台湾研究フォーラム会長・永山英樹氏のブログをご覧頂きたい 台湾は日本の生命線! )
8月14,15日にはそれに対する訂正を求める署名活動が行はれた。この運動は十数年前から行はれてゐて、毎年同じ時期に靖国神社付近(理科大前)で街頭宣伝・署名活動を実施してゐる。
8月15日に靖国神社付近でチラシを配布したり、拡声器を使用する事を疑問視する人もゐるが、同会は他のグループ中、靖国神社から最も離れた場所でそれを行ってゐるし、御神域まで音が届いてはゐないことを確認した上で行なつてゐる。
「靖国神社と何の関係があるのか」と問ふ人もゐるが、靖国神社には二万七千八百六十四柱の台湾人の英霊がお祀りされてゐるし、その中には李登輝元総統の御令兄もをられる事をお考へ頂きたい。即ちその運動を、比較的国家意識が強い人々が集まるその日に、その場所で行なふ事は極めて意義深い、といふのが永山氏の見解である。
毎年恒例の街頭宣伝は日没まで続いた。
実際その運動がきっかけとなって、この問題を埼玉県議会・鈴木正人議員、小野克典議員が定例議会で取り上げて下さる等の成果を得てゐる。鈴木正人埼玉県議
何しろ、台湾が支那に侵攻され、吾が国のシーレーンが封鎖された場合、それは吾が国が北京政府に殺生与奪の権を掌握されてしまふといふ事を意味してゐるのだ。
それを防ぐには、今や北京政府の傀儡と化しつゝある国民党政権に抗する本土派・台湾人の勢力と手を結び、彼らの悲願であるところの独立と建国(国民党の不法占領から脱し、台湾人の国家を建設する)を支援していかなければならないのだ。
●「感謝の心」が深める日台の絆
また、筆者が本土派台湾人を応援する理由は、そのような吾が国の事情を踏まへての事だけはない。彼ら台湾人は李登輝先生が総統に就任するまで、実に三十有余年の長きに亘り民国政府によって反日教育を施されてきたにも拘らず、現在に至るまで日本の統治時代に享受した近代化の恩恵を感謝して下さってゐることが大きい。
彼らのその感恩は、民国政府の反日洗脳、支那人化教育等、あらゆる弾圧を以てしても微動だにしなかった。それゆえ、改めて解説するまでもない事だが、台湾の方たちは一昨年の東日本大震災に於いて世界最高額(200億円超)の義援金を募って下さったのである。
これほど有難い事があるであらうか。我ら日本人は、それに応へる義務があるはずだ。
その台湾が、現在では国民党・馬英九政権下にあり、今まさに、台湾人が折角かちとった民主的な政治が支那人の手によって再び奪はれむとしてゐる。
陳水扁前総統を見よ。陳氏は国民党の報復措置により不当に逮捕され、精神病をでっちあげられて、滅茶苦茶な投薬を施されたために鬱病に罹り、遂には自殺を図るといふ事態にまで陥ってゐる。
誰に向いてか訴へむ。たゞ皇国の一男児、ひそかに玆を憐れむのみ。
さて、かつて台湾では民主化の流れの中で「台湾人意識」が高まりを見せ、それと並行して「哈日族(日本へ熱烈に憧れる台湾の若者たち)」が現れ始めたといふ。彼らは日本を支那とは「対義的な感覚」で捉へてゐるに違ひない。それは当然の事であらう。
何せ、支那人の軍隊は支那共産党であれ国民党であれ、侵略先の町村を破壊し、泥棒や強姦はやりたい放題で、悪逆非道の限りを尽くしたのだから。白人にしても支那人程ではないが、そのような側面があったことを否定できない。だから、台湾の隣に位置して米国の植民地であったフィリピンは、現在に於いても台湾よりずっと貧困なのである。
明治以来、吾が国の軍隊は規律正しい統率のとれた軍隊として、世界的に定評があった。言ふまでもなくそれは、吾が国伝統の「武士道精神」が背景にあるのだが、大東亜戦争時、原住民で組織された高砂義勇隊が見せた勇猛果敢な精神、自己犠牲の精神はそれと相ひ通ずるものがあった。
それは何故であろうか。これは筆者の演繹的な推理ではあるが、武士道精神的な勇猛果敢な精神文化はマライ・ポリネシア系諸民族に共通して見られるものであり、吾が国の武士が敵将の首をあげた風習は、台湾、フィリピン、インドネシア等の原住民に見られた風習と起源を同じうするのである。
高砂義勇隊と武士道精神
怖れを知らぬ勇壮果敢、豪傑の風は、日本をはじめとするアジア海洋民族の「黒潮の気質」
●日台間に流れる、精神文化の「地下水脈」
台湾研究フォーラムでは、永山会長をはじめとして「日台は運命共同体である」といふ事実を訴へてゐるが、それは近現代に始まった事であるとはいへない。古代から現代に至るまで、日台間には文化的な地下水脈が通ってゐるのである。
台湾が支那に併呑されれば、それは吾が国が占領状態に置かれることに直結するのだが、我々が民族的気概を取り戻し支那と対峙する姿勢を明示するならば、それだけ台湾の独立が一歩近づくといふ事になるのである。アジアでトップクラスの軍事力を保持している吾が国は、必要以上に支那共産党を恐れてはいけないのである。
あるいは、良きにつけ悪しきにつけ、日台は国際政治の中で運命を共有してゐる。それならば両国々民は、武士道精神をもって進運を開拓し「共時的に」真の意味での維新を進めていかうではないか。
今回筆者は、そのような想ひを込めて表題を「日台共時維新」とした次第である。
清水馨八郎著「よみがえれ日本」