高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

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25.裁判に持ち込む前にやるべきこと

― 家族トラブル・親の囲い込み事案の現場から ―

 

1. なぜ裁判は最終手段なのか

 

家族間のトラブル、とくに高齢の親をめぐる「囲い込み」や遺産分割などの問題では、感情のもつれが深く、当事者同士の話し合いが難航することが少なくありません。
 

「もう裁判しかない」と思う瞬間もありますが、実務経験から申し上げると、裁判は最終手段とすべきです。

 

理由は大きく3つあります。
 

1つ目は、時間がかかること。家事事件でも半年〜1年、民事訴訟なら2〜3年かかることも珍しくありません。
2つ目は、精神的負担が大きいこと。相手の主張を正面から突きつけられる場面が続き、家族関係はさらに冷え込みます。
3つ目は、裁判の判決は白黒をつけるだけで、関係修復を目的としないことです。勝訴しても、家族としてのつながりが戻るわけではありません。

 

したがって、裁判に踏み切る前にやるべき準備と選択肢をしっかり検討することが重要です。

 
 

 

2. 現状を「冷静に」整理する

 

感情が先走ったまま動くと、交渉も解決も長引きます。
まずは、次の視点で現状を整理しましょう。

  • 事実関係の時系列化
     いつ、誰が、どのような行為や発言をしたか。感情的な評価は抜きにして、客観的に書き出します。
     例:「2024年3月15日 兄が母を施設から自宅に連れ出し、以降面会ができない」
  • 証拠の有無を確認
     LINEのやり取り、録音、契約書、診断書など、客観的な裏付けになる資料を集めます。証拠は後から作れないため、日頃から記録を残すことが重要です。
  • 法的な争点の見極め
     「気に入らない」ではなく、「法律上問題となる権利侵害」かどうかを確認します。面会交流の妨害、財産の横領、遺言書の偽造など、どの法律に該当するかを整理しておきます。
 

 

3. 当事者間の直接交渉は慎重に

 

「まずは話し合いから」というのは原則ですが、家族間では感情の爆発や過去の恨みが持ち出されやすく、逆効果になることがあります。
 

直接交渉する場合は次の工夫を。

  • 感情的なやりとりは避け、事実と要望を短く伝える
  • 会話は録音または文書で残す
  • 複数人での場は混乱を招きやすいので避け、1対1か代理人を通す

もし相手が自己愛的・攻撃的な傾向を持つ場合、直接交渉は避けるのが賢明です。挑発されて感情的になれば、こちらが不利な証拠を残してしまうこともあります。

 

 

 

4. 第三者機関の活用

 

裁判に至る前の有効な選択肢として、第三者機関を活用する方法があります。

  • 家庭裁判所の調停
     裁判官と調停委員が間に入り、話し合いで解決を目指します。判決ではなく合意形成を目標とするため、柔軟な解決が可能です。費用も訴訟より低額です。
  • 行政の相談窓口
     市区町村の高齢者支援課、地域包括支援センターなどは、福祉的な視点から関わってくれます。施設入所や介護サービスの利用調整も期待できます。
  • 弁護士による内容証明郵便
     感情的なやりとりを避けつつ、相手に「法的対応の可能性」を意識させられます。ただし、送った瞬間に関係が硬直化するリスクもあるため、タイミングが重要です。
 

 

5. 心理的な準備

 

法的な選択肢を検討する一方で、心のケアも欠かせません。
長期戦になるほど、当事者は疲弊します。特に親の囲い込み問題では、「親に会えない喪失感」が深く、焦りや怒りに支配されがちです。

 

心理面での準備としては:

  • 信頼できる友人やカウンセラーに定期的に気持ちを吐き出す
  • 睡眠・食事・運動など、体調を保つ基本習慣を守る
  • 相手を変えようとするより、自分の心の守りを優先する

これらを意識することで、冷静な判断力を維持できます。

 
 

 

6. 裁判を選ぶ場合の覚悟

 

最終的に裁判を選択する場合は、以下の覚悟が必要です。

  1. 時間と費用の負担
     弁護士費用、印紙代、郵送費など、まとまった資金が必要になります。訴訟の途中で資金不足にならない計画を立てましょう。
  2. 勝っても完全な解決にならない可能性
     判決は法的な決着であって、感情的な和解を意味しません。むしろ関係が完全に断絶することも多いです。
  3. 証拠がすべて
     「正義は必ず勝つ」という考えは危険です。裁判は証拠と法律で進みます。証拠がなければ、真実でも負けることがあります。
 

 

7. 専門家と早めに連携する

 

弁護士だけでなく、税理士、公認会計士、司法書士、臨床心理士など、ケースによって必要な専門家は異なります。
 

特に親の財産や相続が絡む場合、税務や会計の視点からも早めにアドバイスを受けることで、法廷に持ち込まずに解決できる道が見えることがあります。

 

また、家族心理に詳しい専門家と組むことで、感情的な衝突を減らし、現実的な着地点を見つけやすくなります。

 
 

 

8. まとめ ― 行動の優先順位

 

裁判に踏み切る前にやるべきことは、次の順序で整理できます。

  1. 事実関係と証拠を整理する
  2. 直接交渉の可否を判断する
  3. 第三者機関の活用を検討する
  4. 心のケアを行う
  5. 裁判を選ぶ場合は覚悟を固める
  6. 早めに専門家と連携する

このステップを踏むことで、「感情に流されて裁判に突入し、後悔する」という事態を避けられます。
親の囲い込み問題や家族トラブルは、長期化すればするほど傷が深まります。冷静さと計画性を持ち、最終手段としての裁判を選ぶかどうか、しっかり見極めましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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24.ケアマネ・包括支援センターの役割と限界 (高齢親の囲い込み問題の視点から)

 

1. はじめに

 

高齢の親を介護するとき、多くの家庭が関わるのが「ケアマネジャー(介護支援専門員)」と「地域包括支援センター」です。
 

これらは介護保険制度の中で重要な役割を果たしており、介護サービスの計画づくりや相談窓口として、多くの家族を支えています。

 

しかし現実には、「思ったほど助けてもらえなかった」「囲い込みの相談をしたのに動いてくれなかった」と感じる方も少なくありません。
 

この記事では、両者の役割と限界を整理し、どう付き合えばよいかを解説します。

 
 

 

2. ケアマネジャーの役割

 

ケアマネジャーは、介護保険制度の要にあたる存在です。
 

主な役割は次の通りです。

  • 要介護認定を受けた利用者の介護サービス計画(ケアプラン)を作成する
  • サービス事業者との調整、契約手続きのサポート
  • 利用者や家族の相談に応じ、状況に応じてプランを変更する
  • サービスの利用状況や生活状況を定期的にモニタリングする

ケアマネはあくまで「介護保険サービス利用の調整役」であり、本人や家族の暮らし全体を包括的に管理するわけではありません。
 

また、ケアマネは事業所に所属しているため、その事業所の方針や提供できるサービスの範囲に制約を受けます。

 

 

3. 地域包括支援センターの役割

 

地域包括支援センターは、市区町村が設置する公的な相談窓口で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネなどの専門職が配置されています。
 

役割は大きく分けて次の3つです。

  1. 高齢者の総合相談(介護・医療・福祉・生活全般)
  2. 権利擁護(成年後見制度、虐待防止、消費者被害防止など)
  3. 介護予防ケアマネジメント(要支援者や事業対象者への支援)

包括支援センターは行政に近い立場のため、介護保険の枠を超えた相談にも応じます。
特に虐待や権利侵害が疑われるケースでは、必要に応じて関係機関と連携します。

 
 

 

4. 囲い込み問題に対する両者の対応

 

高齢親の囲い込みとは、きょうだいの一人などが高齢の親を自宅や施設で事実上独占し、他の家族との面会や連絡を遮断することを指します。
これは介護現場でも実際に起こりうる深刻な問題です。

 

しかし、ケアマネ・包括支援センターがこの問題に対応できる範囲は限られています。

  • ケアマネの場合
    ケアマネの業務はあくまで介護サービス利用の調整であり、家族間の争いを仲裁する権限はありません。
    面会制限や囲い込みがあっても、介護サービスの契約者(多くは同居家族)がそれを望まない限り、介入は難しいのが実情です。
  • 包括支援センターの場合
    虐待(身体的・心理的・経済的)が明らかな場合や、その疑いが強い場合は介入します。
    ただし「面会を拒否されている」というだけでは、直ちに虐待と判断されるとは限らず、慎重な事実確認が行われます。
    そのため、相談しても「家庭内の問題」として扱われ、動きが鈍いと感じることもあります。
 

 

5. なぜ限界があるのか

 

両者に共通する限界は、法的な強制力を持たないことです。

  • ケアマネは介護保険制度の契約ベースで動くため、利用者(契約者)が望まないサービスや関係調整はできません。
  • 包括支援センターは行政的な立場に近いものの、立ち入りや調査には法的根拠が必要で、家族間トラブルに直接介入できる権限は限定的です。

また、囲い込みは往々にして「表向きは介護」「実際は支配や排除」という複雑な構造を持つため、外部から見えにくいのも原因です。

 

 

 

6. 相談するときのポイント

 

限界があるといっても、ケアマネや包括支援センターは重要な相談先です。
ただし、効果的に動いてもらうにはポイントがあります。

 

  1. 事実を時系列で整理する
    「いつ」「どこで」「誰が」「何をしたか」を客観的に伝えることが大切です。
  2. 証拠を確保する
    メールや録音、訪問記録などがあれば説得力が増します。
  3. 感情より事実を優先する
    怒りや悲しみは理解されますが、具体的事実がないと動きづらくなります。
  4. 他機関との連携を提案する
    包括支援センターが動かない場合は、警察・弁護士・成年後見制度など他のルートも併せて検討することが必要です。
 

 

7. 専門家としての提言

 

私は「親は家族みんなのもの」という立場から、囲い込みを防ぐには次の3点が重要だと考えます。

  • 早期相談
    面会制限の兆しが見えた段階で、ケアマネや包括支援センターに情報共有しておく。
  • 複数機関の同時活用
    包括支援センターだけでなく、行政の高齢福祉課、弁護士、医療機関なども並行して関与させる。
  • 記録と証拠の積み上げ
    「事実の積み重ね」が、最終的に第三者を動かす力になります。
 

 

8. おわりに

 

ケアマネや地域包括支援センターは、高齢者と家族を支えるために存在する重要な制度です。
 

しかし、彼らに万能な解決力を期待すると失望します。
彼らの役割と限界を理解し、こちら側も準備と戦略を持って相談することが、解決への第一歩です。

 

高齢親の囲い込みは、時間が経つほど事態が固定化しやすい問題です。
早めに情報を集め、複数の視点から行動を起こすことで、親の尊厳と家族のつながりを守ることができます。

 

 

 

 

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23.弁護士に相談すべき?高齢親囲い込みの判断ポイント

 

1. はじめに ― 「親に会えない」状況が長引く前に

 

ある日を境に、高齢の親と連絡が取れなくなった。
きょうだいの一人が親の生活や財産を管理し、電話や面会を断られる。
 

こうした「囲い込み」は、感情のもつれだけでなく、法的にも複雑な問題を含んでいます。

 

しかし、多くの人はすぐに弁護士に相談せず、時間だけが経ってしまうのが実情です。
 

「家族の問題だから話し合いで…」
「法律沙汰にしたら親が悲しむのでは」
「費用が心配」
 

こうした迷いが、行動を遅らせてしまいます。

 

ところが、囲い込みは長引くほど、親の体力・判断力が低下し、事態が不利になるリスクが高まります。では、どの段階で「弁護士に相談すべき」と判断すればよいのでしょうか。

 
 

 

2. 囲い込みトラブルで相談を検討すべき典型的な場面

 

(1) 面会や連絡を一方的に遮断された

 

「忙しいから会えない」「医者が面会禁止と言っている」と言われ、親と会えない状態が続く場合。
医学的根拠や本人の意思確認が不十分なまま面会を遮断する行為は、親の意思権・家族との交流権を侵害するおそれがあります。
この段階で弁護士に相談すれば、事実関係の確認や記録の残し方を教えてもらえます。

 

 

(2) 財産や重要書類の所在が不明になった

 

通帳や権利証、印鑑、年金証書などがきょうだいの一人の手元に集中し、他のきょうだいが一切確認できない状況は要注意です。
後から使途不明金や不正引き出しが発覚するケースも多く、証拠保全のためには早期の専門家介入が有効です。

 

 

(3) 親の判断能力が低下してきた

 

認知症や病気で判断力が落ちると、本人の意思確認が難しくなります。
その状態で遺言書の作成や財産移転が行われると、後で争いになる可能性が高まります。
成年後見や保佐・補助などの制度利用も視野に入れるため、弁護士相談が必要です。

 

 

(4) 他のきょうだいとの関係が完全に断絶している

 

情報が一切入らず、相手方が「こちらとはもう話さない」と宣言している場合、自力での情報収集は困難です。
弁護士を通して公的書類や医療記録の開示請求、家庭裁判所での調停申立てなどの手段を取ることができます。

 
 
 

 

3. 囲い込みケースで弁護士に相談するメリット

 

メリット1:法的な介入で状況を動かせる

当事者同士の話し合いが行き詰まっても、弁護士が入れば「第三者の公的な立場」として要求や確認を行えます。
これにより、相手が無視や拒否を続けることが難しくなります。

 

メリット2:証拠保全と制度選択の助言

囲い込みの証拠は時間とともに失われます。
弁護士はメール・録音・面会拒否の記録などをどう残すかを具体的に指示し、必要に応じて成年後見や面会交流調停などの制度を提案してくれます。

 

メリット3:精神的負担の軽減

親に会えない苦しみは、感情的な消耗を伴います。
弁護士が窓口となれば、直接相手方とやり取りするストレスから解放され、冷静な判断がしやすくなります。

 

 

4. 囲い込み相談の前に準備しておくべきこと

  1. 時系列の記録
    最後に会えた日、その後のやり取り、面会拒否の理由などを時系列でまとめます。
  2. 証拠資料
    メール・LINE・録音データ、医療機関からの書面、通帳のコピーなど。
  3. 自分の希望
    「定期的に面会したい」「財産の動きを確認したい」など、ゴールを明確にします。

これらを整理しておくことで、初回相談から実践的な助言が得られます。

 

 

 

5. 相談を迷うときの判断サイン

 

次のような状態が1つでも当てはまれば、早めの弁護士相談が望ましいです。

  • 面会拒否が1か月以上続いている
  • 親の財産管理状況が不明
  • 医療や介護方針を全く共有してもらえない
  • 親の意思を直接確認できない
  • 相手方が一方的に連絡を絶っている

これらは事態が固定化する前の“黄色信号”です。

 

 

6. ケース別・弁護士が取り得る対応例

  • 面会交流調停
    家庭裁判所を通して、定期的な面会や連絡方法を取り決める。
  • 成年後見申立て
    親の財産管理・身上保護を第三者後見人に委ねる。
  • 証拠保全手続き
    財産や医療記録を裁判所を通して確保。
  • 不正行為の差止め
    無断での財産処分や契約を防ぐための法的措置。

こうした手段は、一般の人が自力で進めるには制度や書式が複雑で、期限管理も必要なため、弁護士のサポートが不可欠です。

 

 

 

7. まとめ ― 早期相談が「親の権利」と「自分の後悔」を守る

 

高齢親の囲い込みは、親の生活の質や家族関係に深刻な影響を与えます。
そして、時間が経つほど証拠は失われ、親の判断力も低下します。

 

弁護士への初回相談は、費用はかかっても「今後の行動指針」「必要な証拠」「使える制度」が明確になります。
 

迷っている間にも状況は進行してしまうため、次のように考えてください。

 

「早すぎる相談はない。遅すぎる相談はある。」

 

親の尊厳と家族のつながりを守るために、動き出すなら今です。

 

 

 

 

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22.面会交流権に法的な権利はあるのか?――親に会えない40〜50代のあなたへ

 

1. はじめに:会えない時間が心を蝕む

 

「元気にしているだろうか」

「何を食べているのだろう」

「私のことを忘れてしまったのでは…」。
 

大人になってから、しかも40代・50代という年齢になって、実の親と会うことができない――。この現実は、多くの人にとって想像以上に深い心の痛みを伴います。

親が高齢であればあるほど、「もしかしたら、これが最後のチャンスかもしれない」という焦りが募ります。
 

しかし現実には、きょうだいの一人や親の配偶者、親の施設関係者などが“会わせない”状況を作ってしまうことがあります。こうしたケースは「高齢親の囲い込み」と呼ばれ、近年社会問題化しつつあります。

 

ここで気になるのが「面会交流権」という言葉。
果たして、親に会う権利は法律で守られているのでしょうか。

 
 

 

2. 面会交流権は誰のための権利か

 

法律上、「面会交流権」という用語が明確に定義されているのは、主に離婚後の親と未成年の子どもの関係においてです。
 

民法766条では、離婚時に「子どもと離れて暮らす親が、子どもと会ったり交流したりする権利」が定められています。

つまり、一般的な法体系では「面会交流権=未成年の子どものための権利」とされ、大人の子どもと親の間で直接適用される規定はありません。

 

このため、40代・50代のあなたが「法律に面会交流権があるから、会わせろ」と主張しても、そのままでは法的根拠にはなりにくいのです。

 

 

3. 高齢親との面会は「法的権利」として認められるのか

 

現行法では、大人の子どもが高齢の親に会う権利について、明文での規定はありません。
しかし、いくつかの法制度や判例の中で、間接的に認められる余地があります。

 

(1) 成年後見制度との関係

 

親が認知症や判断能力の低下により、成年後見制度の対象になっている場合、後見人が財産管理や身上監護を行います。
このとき後見人が面会を制限することがありますが、家庭裁判所に申立てを行い、面会制限の是非を判断してもらうことが可能です。

 

(2) 施設入所中の面会

 

親が介護施設や病院に入っている場合、施設は感染症対策や本人の体調を理由に面会制限をすることがあります。
ただし、これは原則として「本人の利益」のためであり、他の親族の意向による恒常的な遮断は、本来の施設運営方針に反します。
施設への文書照会や、行政(市区町村の高齢者福祉課など)への相談が有効な場合があります。

 

(3) 憲法上の権利

 

日本国憲法13条(個人の尊重、幸福追求権)や14条(法の下の平等)を根拠に、「家族としての交流は人間の基本的権利である」と主張することも理論的には可能です。
ただし、裁判での立証や具体的な命令にはハードルが高く、弁護士による戦略が必要です。

 

 

 

4. なぜ「法的権利」として争うのが難しいのか

 

現行制度の課題は、「親子間の交流」が未成年を想定しており、高齢親と成人子の交流は制度の想定外になっていることです。
また、民事的な争いに発展すると、証拠(面会拒否の経緯や親の意思など)の収集が難しいという現実もあります。

さらに、親が明確に「会いたくない」と意思表示している場合、本人の自己決定権が優先されるため、外部からの介入は一層難しくなります。
 

このため、「法的権利」だけで戦うよりも、複数のアプローチを組み合わせた方が現実的です。

 

 

5. 取れる可能性のあるアプローチ

 

40〜50代で親に会えない状況から抜け出すには、法律・制度・心理の3つの視点から行動するのが有効です。

 

(1) 法律面

  • 成年後見人や保佐人が関与している場合は、家庭裁判所への申立て
  • 弁護士を通じた内容証明郵便での面会要請
  • 面会制限の正当性に関する行政への相談(地域包括支援センター、福祉課など)

 

(2) 制度面

  • 介護施設の運営規程・面会方針を確認
  • 行政や第三者機関(介護相談センター、人権擁護委員)による介入依頼
  • 成年後見制度の利用状況や後見人の業務報告の閲覧請求

 

(3) 心理面

  • 面会の目的を「本人の安否確認と安心感の提供」と明確化
  • 感情的対立を避け、記録に残る形で冷静な交渉を続ける
  • 会える日を少しでも増やすための“小さな成功”を積み上げる
 
 

 

6. 感情と現実のバランスを取る

 

会えない日々が続くと、怒り・悲しみ・焦りが渦巻きます。
しかし、感情だけで動くと、相手側は「やはり会わせない方がいい」と判断し、状況が悪化しかねません。

 

ここで必要なのは、

  1. 自分の感情をしっかり受け止める
  2. 行動計画を事実と記録に基づいて立てる
    という二段構えです。

具体的には、日記や時系列記録を作り、いつ・誰が・どんな理由で面会を拒否したのかを整理しておきましょう。これは後に法的措置を取る際にも重要な証拠となります。

 

 

7. 「会うこと」がゴールではない

 

面会交流の目的は「会うこと」だけではありません。
親の生活環境や健康状態を把握し、必要ならサポートすることも大切です。

 

また、短時間の面会でも、写真や動画を残すことで記録になり、将来的に「自分ができることをやった」という心の支えになります。
ゴールを「親と再び安全で安心な関係を築くこと」と定めると、焦りや無力感が少し和らぎます。

 

 

 

8. 今後の社会への期待

 

高齢化社会が進む中、成人した子どもと親の面会交流に関する法整備は急務です。
欧米の一部では、家族間の面会拒否に関して裁判所が調停や命令を行う制度があります。日本でもこうした仕組みが導入されれば、親子の断絶を防ぐ大きな助けになるでしょう。

 

 

9. まとめ

 

  • 面会交流権は原則として未成年の子どものための権利
  • 高齢親と成人子の交流は明文規定がなく、直接的な法的権利としては弱い
  • しかし、成年後見制度や施設規程、行政介入などを通じて面会の可能性を広げられる
  • 感情的衝突を避け、事実と記録に基づく冷静な交渉が鍵
  • 社会全体での制度整備が望まれる

親に会えないことは、心の奥深くに重い影を落とします。
 

しかし、あなたが今日から一歩を踏み出すことで、その影を少しずつ薄くすることは可能です。
法的権利の限界を知った上で、できる行動を積み重ねる――その努力は、必ず未来の自分の支えとなります。

 

 

 

 

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21.成年後見制度と囲い込みの関係 ― 親に会えないとき、何が起きているのか ―

 

1. 「囲い込み」とは何か

 

親の介護や生活支援をしているきょうだいの一人が、他のきょうだいに対して「会わせない」「連絡を取らせない」状態を作ってしまうことがあります。

これを便宜的に「囲い込み」と呼びます。

 

囲い込みは、必ずしも悪意だけで起きるとは限りません。
親を守りたい気持ちや、介護の負担からくる苛立ち、不信感などが背景にあることもあります。
 

しかし、会わせない状態が長く続けば、親子の絆が断たれ、本人(親)や他の家族に深い心の傷を残すことになります。

 

そして近年、この「囲い込み」が成年後見制度と絡んでより複雑化するケースが増えています。

 

 

 

2. 成年後見制度とは

 

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が十分でない方の財産や権利を守るための制度です。
 

大きく分けて2種類あります。

  1. 法定後見制度
    判断能力がすでに低下している場合に、家庭裁判所が後見人を選任します。
    後見人は財産管理や契約の代理、必要に応じて身上監護(施設入所の手続きなど)を行います。
  2. 任意後見制度
    判断能力があるうちに、自分が信頼できる人を「将来の後見人」として契約しておく仕組みです。

 

一見すると、とても安心できる制度です。

しかし現実には、この後見制度が“囲い込み”の道具として利用されてしまうこともあります。

 

 

 

3. 囲い込みと成年後見制度のつながり

 

囲い込みが起きる背景には、「情報と権限の集中」があります。
後見人になった人は、財産管理のほか、居住や施設入所に関する重要な決定権を持ちます。
 

これがもし、他の家族との関係が悪化している人に集中してしまうと、次のような事態が起きやすくなります。

  • 他のきょうだいに親の住所や施設名を教えない
  • 面会の日時や方法を一方的に制限する
  • 親の電話や手紙のやり取りを制限する
  • 親が「会いたい」と言っても、第三者の立ち会いや条件をつける

こうした行為は、成年後見制度そのものが目的ではなくても、結果的に親を孤立させる「囲い込み」になります。

 

 

4. なぜ裁判所は止められないのか

 

「家庭裁判所が監督しているのだから、止められるはず」と思う方も多いでしょう。しかし現実には、面会制限や交流遮断は“身上監護”の一環として後見人の裁量に委ねられてしまうことが多く、よほど明確な人権侵害や虐待の証拠がない限り、裁判所が介入することは稀です。

 

その理由は以下の通りです。

  • 裁判所は財産管理に重点を置き、家族間の感情的な対立には深入りしない傾向がある
  • 面会や交流の可否は「本人の利益」や「安全確保」の名のもとに制限されることがある
  • 証拠が乏しい場合、第三者から見て“やむを得ない対応”と判断されやすい

つまり、後見人が「本人が疲れるから会わせない」と説明すれば、その正否を確かめるのは容易ではないのです。

 

 

 

5. 囲い込みがもたらす心理的影響

 

親に会えない時間が長くなるほど、双方に精神的な負担が積み重なります。

  • 親側の影響
    • 愛着のある家族とのつながりが断たれ、孤独感や不安が増す
    • 情報が制限され、判断力の低下が加速する
    • 「あの子は来てくれない」と誤解し、感情的な距離が広がる
  • 子ども側(会えない立場)の影響
    • 無力感や怒り、悲しみが混ざった複雑な感情に苦しむ
    • 親の健康や生活状況がわからず、想像ばかりが膨らみ不安が増す
    • 長期化すると、再会の時に距離感や信頼関係を取り戻すのが難しくなる

こうした心理的ダメージは、時間が解決してくれるとは限りません。

 

 

6. 対応のステップ

 

もしあなたが今、親に会えない状況に置かれているなら、感情の揺れに流されすぎず、次のようなステップを踏むことが大切です。

  1. 記録を残す
    • 会えなかった日や理由、やり取りの経緯を時系列で残す
    • メールや手紙、録音なども可能な範囲で保存する
  2. 冷静な事実確認
    • 親の状況(施設、病状、介護サービス)を公式な書類や第三者経由で確認する
    • 推測や噂ではなく、事実ベースの情報を集める
  3. 第三者の介入を検討する
    • 地域包括支援センター、成年後見監督人、弁護士などに相談
    • 必要に応じて家庭裁判所に「後見人の変更」や「監督の強化」を申し立てる
  4. 自分の心を守る
    • 信頼できる友人やカウンセラーに気持ちを話す
    • 会えない状況が長引くほど、自分の生活や健康を優先する意識を持つ
 
 

 

7. 望ましい成年後見のあり方

 

本来、成年後見制度は本人の生活と尊厳を守るための制度です。
そのためには以下の点が重要です。

  • 面会や交流は本人の意思を最優先にする
  • 後見人が一方的に判断せず、可能な限り家族全体で情報を共有する
  • 裁判所も財産管理だけでなく、交流制限の妥当性をチェックする仕組みを整える

これらが当たり前になれば、囲い込みのリスクは大きく減ります。

 

 

8. まとめ成年後見制度は高齢の親を守るための制度ですが、
運用の仕方次第では「囲い込み」を強化してしまう危険があります。特に後見人と他のきょうだいとの間に信頼関係がない場合、
情報や面会の制限が制度の名のもとに正当化されてしまうことがあります。

 

もしあなたが親に会えずに苦しんでいるなら、まずは事実を集め、第三者の力を借りながら、少しずつでも交流を取り戻す道を探していくことが大切です。

 

そして、何よりも忘れないでほしいのは、
「親子のつながりは、制度のためではなく、人の心のためにある」ということです。
 

制度は本来、そのつながりを守るために存在しているのです。

 

 

 

 

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