▼ 細胞を包む細胞膜は油性
人を含む動物は、お風呂や海、川の中に入ったとき、水に溶けてしまうということはありません。なぜかというと、からだを覆う皮膚や髪の毛、爪などの表面にある細胞たちは、油の膜で1個ずつすっぽりと包まれ、水分をはじく仕組みになっているから。
◎ イメージ画像: 油性の細胞膜
ぎっしり並ぶ2重の球体は油性で、そこから出ている足も、ごま油、コーン油、マーガリンなどに含まれるリノール酸などの油でできています。
卵の黄身やレバーに含まれ油アラキドン酸製の足もあります。
▼ 脱出する油アラキドン酸
全身の血液は、赤血球、好中球ちゃん、クロスケ、将軍、酸素、栄養素など、多種多様な物質を運搬しているのですが、その中に、すい臓で作られたタンパク質性のハサミがあります。
このハサミは、細胞が外敵に攻撃されたときに発するSOSシステムに反応します。そして、細胞の脂肪膜を構成している油アラキドン酸を切り離します。
▼ 油アラキドン酸がプロスタグランジンに変身
自由の身になった油アラキドン酸は、細胞膜の中から脱出し、周りにある物質を利用して、外敵をやっつけるための物質に変身します。プロスタグランジンと言います。愛称プージン
◎ プロスタグランジン=プージン (カービィゲームのキャラクターを拝借)
▼ プージンの働き
彼の仕事は、熱や妨害という戦術を使って外敵をやっつけたり弱らせる。この戦術は、炎症と呼ばれます。
血管に入り脳へ送られると、痛みを強める働きもします。
え? プージンは、血管に入るとき、「炎症個所: 左大腸の上から3cm小腸側 広さ01センチ四方/炎症程度は中度」とメモ書きし、それを脳に届けるのでしょうか?
ありえない。ならばどうやって痛みの個所を知らせることができるの?
▼ 脳の痛みを強めるプージン
炎症現場の神経が刺激され、それが脳に瞬時にして届く。すると脳が痛い!と感じる。痛いのは脳なのですが、刺激物質の送り主は、左大腸の上から3cm小腸側なことから、脳はそこが痛いと感じる。脳の自己暗示か・・・複雑・・・。
1分ほどすると、送り主の大腸で作られたプージンが、血管を通して、大腸→肝臓→心臓→肺→心臓→脳というルートを通じて到着。プージンは、脳を刺激し痛みを強める働きがあり、からだの持ち主は、1分前よりも強い痛みを左大腸に感じる。
▼ 身に覚えのない痛み
たとえば、歯医者で治療をしたとき、痛いのは歯のはずなのに、なぜか例えば左足が痛くなることがあります。これは、そこでも気がつかないほどの小さな炎症が起きていて、その場の神経が軽く刺激されていたからなのかもしれません。
脳は、左足、ちょっと痛いかな。でも大丈夫だと思っていた。そんなときに、プージンがやってきてしまった。脳は、やっぱり左足が痛いと感じた。
からだの持ち主: 痛いのは歯だけなのに、なんで左足が痛いんだ! そういえば、今朝、電車の中で足を踏まれた。そのせい?
▼ 難病の不要な痛み
痛みは、からだの持ち主に、炎症が起きていることを知らせる重要な信号。でも、潰瘍性大腸炎/クローン病のように、好中球ちゃんやクロスケたちが勝手に炎症を起こし痛みを引き起こしているのなら、痛みなくしても、不都合は起きないはずというか、そうしないと、からだの持ち主の生活が乱される。
プロスタグランジンが不要に血管に入り、脳へ送られないようにするため、薬が使われます。これは、ステロイド以外の痛み止め。
ステロイドは、プージンの変身前のアラキドン酸に対応します。
続く
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