キャノンのキャノネットQL17です。

 

本機の正式な名称は New Canonet QL17-L だそうです。

このコンパクトサイズになってから3種類存在します。

第一が初期型にあたる New Canonet QL17 (バッテリーチェック機能無し)

第二が後期型にあたる 本機 (バッテリーチェック機能有り)

第三が最終型にあたる New Canonet QL17 GIII (バッテリーチェックランプ式)

となります。

一体この三種類は何が違うのでしょうか?

調べてみましたらYoutubeに様々な古いフィルムカメラの使い方の動画をアップしている大先輩さんのコメントによると『基本的に何も変わらない。全て同じ。』なのだそうです。

唯一の違いが上記の通りバッテリチェック機能の有無とGIIIがチェックランプ方式になったのとGIIIエンブレムの有無ぐらいでしょう。

それどころかGIIIは一部の部品の材質が前2機種よりもコストダウンのために劣っているそうですうです。

バイクや車にもよくある初期型と後期型の違いと同じですね。

後期型は装飾を少し派手にして豪華さを強調したりする手法です。

だったらGIIIじゃなくてお安いただのQL17で充分だと思います。

 

さてこの娘、入手時は非常に状態が良く手を加える必要が全く無くて掃除してモルトの貼り替えだけで完了してしまいました。

あれから数カ月が経過してテスト撮影に持ち出そうと再度動作チェックをしていたら途中からAUTO状態で絞り羽根が動かなくなってしまいました。しかもフィルム巻上げ途中で「ガリッ」とした違和感が指に伝わってくるようになりました。

この2つの症状が相互に関連していたら重篤な症状に陥っている可能性があります。

『ヤッパリ全部バラすのか』とがっかりしていたのですが幸いな事に皮を剝がして前板を外すだけでレンズユニットは分解せずに問題の部分にアクセスできました。

本機の絞り羽根はシャッター羽根の前にあります。そのため絞り羽根をコントロールするリンケージに前後に繋ぐシャフトがありその軸受け部と動力を伝えるカムのような部分に注油(極微量)して解決できました。

フィルム巻上げ時の「ガリッ」は巻上げレバーに関連して動くレバーの一部が別のレバーに乗り上げる部分にグリス跡があったのでそこにモリブデングリスを塗布したらアッサリと解消しました。

大事に至らず簡単修理だけで済んで助かりました。

 

ここまでバラしたのでついでにレンズを外してチェックしてみたら内側にカビや汚れが確認できたのでこちらも分解掃除しました。

 

 

さぁ、これでテスト撮影に出発です!

フィルムは FUJICOLOR ASA100

電池はアルカリ電池625タイプ 挿入時電圧は1.404V です。

 

お約束の窓からの撮影ですがなんとピンボケ!

距離は無限遠ですからピントじゃなくて私の頭がボケています。

 

水の感じがどのように写るか知りたくて撮りました。

いい感じです。

 

太陽が雲にかかったときの撮影

 

各色混合

 

真ん中の白いプランターにピントを合わせました。

 

逆光気味です。

 

まさかあんなに近付いたのにここまで写るとは

 

四角い造形の写りも良いです

 

コントラスがちょっときついかも

 

白の発色はどうでしょう?

 

全日陰下にて

 

 

黒い柵の一番手前の角の部分にピントを合わせました。

F値は11でしたが途中から見事にボケています。

う~ん,これはスゴイ

 

上記のYoutubeに投稿している大先輩さんによると『CANONのレンズは黄色味の発色をする』と仰っておりましたが

その通りだとおもいます。この暖色系な感じのホッコリ感があります。

 

 

 

 

この辺の描写には安定感があります。

 

 

 

田舎の小さな浜辺で海水浴を楽しむ家族といったようななんか懐かしい感じがします

 

 

 

 

遠景はあまり得意ではないのかもしれませんね。

まぁこの手のカメラの所有者はこういった撮影はあまりしないと思いますが。

 

大体これぐらいの距離から手前の撮影が殆どたと思います

 

日陰のしたでもしっかり写ってくれました

 

試しにASA50に減感してみましたがあまり違いはありませんでした。

 

この様に近接撮影には強そうです。

 

こちらもASA50に減感しましたが期待した効果はありませんでした。

 

 

かなり奥までピントが合っています。

 

綺麗に映っていますね。

 

ASA50に減感したのですがこちらはその効果がはっきり出ています。

 

 

暖色系な感じの発色と穏やかな描写力に和まされてしまいました。

仲睦まじい家族の日々のホンワカした撮影なんかに向いているかもしれないなと思いました。

個人的にはOLYMPUSのような悪寒がする程にキレッキレでシャープな描写力の方が好きですが

この辺は個人の好みの問題だと思います。

 

テスト撮影中に驚いたのがピント調整がとてもやりやすかった事です。今まで一番操作性が良かったです。

ピント調整も楽、露出のF値の確認も簡単、シャッタースピードやASAの変更もスムーズと何を操作してもスムーズでとても優秀です。

でもその優秀=秀才な部分が逆に不満になってしまったりします。

テスト撮影中に『カメラに触れている楽しさ』を感じられれない時がありました。

『憎まれっ子世に憚る』ということわざがありますがそんな感じでしょうか。

PETRI Color 35 や OLYMPUS Pen D3 の時のような躍動感は感じられませんでした。

まぁ、あっちはマニュアルカメラですけどね。

優れた物に対するアンチテーゼな個人的見解を捨て置くと

New Canonet QL17 はとても優秀なカメラです。そして安心のキャノン品質です。