ミノルタの repo-S です。

ハーフサイズフィルムカメラです。

ミノルタが生産したハーフサイズフィルムカメラはこの repo-S と下位機種になる repo 二機種だけです。

しかも1963年8月から僅か二年間の生産だったそうです。

repo-S は1964年11月からの生産という事なので更に短いかもしれません。

当時のミノルタは35mmフルサイズのハイマチックシリーズに力を注いでいたためハーフサイズフィルムカメラの開発には非常に消極的だったと聞きました。

理由はハーフサイズフィルムカメラはハイマチックシリーズの市場と競合してしまう可能性が高ったからだそうです。

しかし営業サイドからの強い要望があり仕方なく repo と repo-S を開発したのだと聞きました。

それだけ当時はハーフサイズフィルムカメラの人気が爆発していたのでしょうね。

 

 

上記の理由からヤフオクでの落札価格はセレンの動かないジャンク品でもかなりの割高となっています。

まぁ、repo の出品自体も少ないからなのですが repo-S はさらに少ないです。

随分前から欲しくてチャンスを窺っっていたのですが今回ようやく二台目が入手できたので二個一にします。

repo-S の分解&修理は初めてとなるので成功するかどうか判りませんがやれるだけやってみます。

 

 

数ヶ月前に入手した個体はシヤッター羽根が張り付いて開きっぱなしになっています。

前玉はレンズに染みと微細な線傷があります。

 

 

そして軍艦部に凹みがあります。

露出計の動作確認に気を取られてしまい凹みに気付きませんでした。

 

 

しかし露出計だけはこの様に動いています。

精度を確認した当初はアンダーそれも-2.0以上のアンダーだーで使い物にならないかと思いましたが、

ASA感度の設定を忘れていたのが原因でASA感度を正しく設定したら露出計の精度は完璧でした。

 

 

フィルム室はかなりキレイです。

ただ、前側の革がほんの少し破れています。

 

 

本日届いたもう一台の方はレンズキャップが付いていたお陰で前玉は非常に綺麗です。

しかしシャッターレバーが巻上げ状態のままで元に戻りません。

シヤッター羽根も動きません。

 

 

露出計はセレンが死んでいるらしく全く動きません。

しかし軍艦も含め外装部品は非常にキレイです。

 

 

しかし残念ながらフィルム室はあまりキレイではありません。

まずはこちらの個体を分解して巻上げレバーが元の位置に戻れるようにします。

 

 

巻上げレバーという事でまずは底蓋を外します。

しかし二本のネジを緩めても全く外れません。

まさかと思いフラッシュコードの接続端子を外してみたら底蓋が外れました!

ハーフサイズフィルムカメラにしては精巧な造りをしていますねぇ。

 

 

蓋を開けると画像の様な状態になっていました。

赤色矢印の爪が歯車に引っ掛かっていました。

 

 

正しく動作する状態が解らないためもう一台の底蓋も開けて動作を確認した所、歯車がもう少し赤色矢印の方向に回転すると黄色矢印の爪が矢印の方向に下りて巻上げレバーが戻るようになります。

ではどうすれば歯車がもう少しかいてんしてくれるのでしょうか?

 

 

次は上側から巻上げレバーの動作を確認するため軍艦を外します。

 

 

露出計を外してから巻上げレバーの動作を確認すると何事もなかったかのように普通に巻上げレバーが戻るようになりました。

したがって治りましたが原因は不明です。

 

 

因みに意味がなさそうなのですが軍艦からセレンを外してみます。

 

 

そして光に当てて見ましたがやはり全く動きません。

 

 

ファインダーを外してレンズの銘板を外しました。

ここまでの作業で感じたのはかなり精巧に造られているという事ですね。

 

 

三本のネジで固定されている鏡胴部を取り外すと再び三本のネジが出てくるのでそれを取り外すと

 

 

シャッターユニットが見えてきます。

現状シヤッター羽根はB(開放)は機能しますが1/8秒が機能しません。

もっと高速でシヤッター羽根が開閉してします。

つまりスローガバナが機能していません。

試しにスローガバナ部にベンジンを注入してみました。

 

 

すると見事にスローガバナが復活しました。

原因は油分によるシヤッター羽根とスローガバナの固着ですね。

 

 

後玉を取り外すために前板を外しました。

 

 

レンズの状態を調べるために前玉と後玉をクリーニングして前玉に青色LEDの光を透過してみました。

すると…。

ウゲッ!

すんげえぇぇぇ!なんとクリアでなんと綺麗なんでしょう!

薄クモリどころかチリもありません。

 

 

後玉も極上です。

ヤシカ Half 14 に全く引けを取りません!

ハーフサイズフィルムカメラのクオリティを超えているのではないでしょうか。

さすが MINOLTA ROKKOR レンズです。

実に素晴らしい。

 

これで repo-S の基本的な構造は大体把握してきました。

これから露出計の活きているもう一台も分解します。

おそらくそちらのボディを使用して二個一にします。

 

本日はここまでとなります。