乱歩酔歩--Random Walk official blog-- -55ページ目

8月の活動報告

どうも遊木です。

ここ数日は涼しくて過ごしやすい日々でしたが、今日からまた暑くなりそうな予感です。

 

というわけで、今月の活動報告を。

 

 

※現在放映中の映画のネタバレがあります。ご注意ください。

 

 

 

□漫画制作

ネーム作業に入りました。

これは毎度のことですが、ネームは冒頭6~8pぐらいが一番苦労します。

世界観、主人公のキャラ性、作品の雰囲気を、このあたりでガッと固めないと、読み辛い漫画になる印象があるので、私はとにかく冒頭の数ページを丁寧に作ります。

「ここが転がると、その後は進みが早くなる。多分」って自己暗示しながら。

タイセツ、ジコアンジ。

その他には、引き続きパルクールの動きの研究をしたり。

そろそろパルクールだけじゃなくて、BMXの動きも研究したいんですが……これは自転車の構造の勉強も必要なので、ちょっと尻込みしている感はある。

あと、あまりにもカラー絵を描かな過ぎなので、こっちもどうにかしたいとは思っています。

本当にね、カラーはね、あっという間に自分の描き方を忘れるのよ……。

 

 

 

□映画鑑賞

〇「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」

過去作を見直してから観に行きました。

個人的にはジュラシックシリーズというより、他の作品を見ている気持ちになりましたね。まぁ、前作ラストで世界を広げてしまったので、ある程度予想はしていましたが。

あまりにも初代が完成されているので、どうしてもそれと見比べてしまう。もうこれは懐古厨と言われても構わない。

初代シリーズ・新シリーズのキャラの邂逅は、それなりにムネアツでした。

しかし全体的に没入感が弱く、表面的なエンタメの継ぎ接ぎという印象が強い。

初代シリーズとのオーバーラップ、沢山の恐竜達、迫力の映像、どれも一見引きがあるように感じますが、なんというか、作品の哲学が見えない。

日本人が聖書に馴染みがないというのもありますが、じゃあ「世界で一番読まれている書物が、今作の哲学です」といわれれば納得するかというと、そんなことはないと思う。

聖書ネタなんて古今東西あらゆるところで使われているのだから、そこに“別の何か”を貫かない限り、単なる「聖書あるある」を描くだけになってしまう。

例えば、少し前に『平家物語』のアニメシリーズと映画が放映されましたが、これらの作品はその知名度に胡坐をかかず、何ならその知名度を逆に利用して、新たな切り口で作品を表現していました。

自国の作品を持ち上げたいわけじゃないけど、好きなシリーズだっただけに、独自の哲学も、新たな切り口も感じられなかった今作には残念な気持ちになります。

総括すると、恐竜好きさんには楽しい映画。

あとは、とにかく大団円を見たい人のための作品、という感じでしょうか。

 

 

〇「トップガン マーヴェリック」

これも過去作を見直してから観に行きました。

これは面白かった。

何様だよ、と言われると思いますが「アメリカ、まだこういう映画作れるやん!」という気持ちになりましたね。

かといって古臭さは感じない不思議。1986年版の物語を前提に、しっかりと“今”を描いている印象です。

あと、1986年版で感じていた“飛行中のキャラの見分け辛さ”もしっかり解消されていました。

『ブレードランナー 2049』にも感じましたが、“数十年の時を超えての続編”タイプの作品で、前作より面白くなっているものは、総じて「“今”を描きながらも作品の信念は曲げない」を徹底している気がします。

“今”を描くことだけに固執してもダメだし、“今”を無視しても鑑賞者には刺さり辛い。そして、同タイトルでやる以上、やっぱり作品の“芯”は貫かなくてはいけない。

この辺の調整が難しいのでしょうが、今作はこれらのバランスが非常に良かったです。おまけに、いわゆる“映画館で見たいタイプ”なので、リピーターも多そう。

かつて洋画に感じていた「うわー!映画面白い!」という気持ちが蘇りました。

あとこれだけは言っておく。

絶対に1986年版を知らない人は、そっちを見てから行くんだぞ。約束な。

 

 

〇「ONE PIECE FILM RED」

これは、なんとも言えない気持ちになりました。

「まぁ面白いけど……うーん?」となる作品。

Adoさんの歌唱力は想像以上にすごかったし、挿入歌も好き系、歌と合わせてのバトル演出もカッコ良かった、何よりシナリオや設定が私の好み。

でも、ワンピースでやる必要あった?という気持ちになるというか……。

私、『オマツリ男爵』を見たとき「えー!ワンピでやるのはどうかと思うけど、面白い!」と感じたんですよ。うる星やつらの『ビューティフル・ドリーマー』も同系統です。

私は多分「原作好きな人は絶対怒るだろう、でも作品として面白い」を許容できるタイプだと思うんですよ。

だから今作は何が駄目なんだろうなぁと考えたのですが……いまいちわからない。

中途半端だったのだろうか?もっと突き抜けて監督の色が出てれば、それはそれ、これはこれの精神で楽しめたのか。

もしくは、「シャンクスの娘」という設定が駄目だったのか。

確かに、この設定だと“これはこれの精神で楽しむ”が通用しない気もします。

あと、どうしてもシャンクスがウタを島に置いて行った理屈に納得できない。

ウタの犯した罪をかぶり、もう一緒にはいられないとなったとしても、トットムジカが存在する、壊滅したエレジアに置いて行くのはどうも解せない。

ちなみに「育児放棄やん」とも思ったけど、それについては原作でもいっぱい存在しているのでツッコミはなしの方向で。

とはいっても、バトルは見応えがあったし、キャラデザも良かった。

なので「面白かったけど、納得できない点もある作品」と言ったところでしょうか。

個人的には、SWを超えるワンピ映画をいつか見たいなぁと思います。

 

 

 

□BankART 展覧会

〇「Art Table キング軸・アートテーブル審査展」

Stationの方で開催された展覧会です。

みなとみらいのキング軸にアートテーブルを設置し、テンポラリーなコミュニケーションの場を提供する、というような企画の“審査展”です。

審査なので、会場にアートテーブルがあるのではなく、パネルでの企画説明がメイン。この中から選ばれたものが、後々キング軸で実際に設置されるようです。

キング軸は普段から良く活用する道なので、私も投票してきました。どの企画が選ばれるのか今から楽しみです。

 

 

 

〇松本秋則 + 松本倫子 「Bamboo Paradise」

KAIKOの方で開催された展覧会です。

メインは外に展示されており、音と影を楽しむのが醍醐味な作品だったので、夜に見に行きました。

竹の音はやはり日本人に馴染みます。レンガと竹が意外と合う、という発見もありました。

詳しくは、インスタに更新してある写真を見て頂ければと。

 

 

 

 

□みなとみらい 恐竜ワールド

ジュラシック・ワールドを観に行くときに、ついでに回ってきました。

マークイズやランドマークタワーに、動く恐竜の模型などが展示されていました。

結構リアルで(といってもリアルの恐竜を知らんが)面白かったです。

夜中に、薄暗い中で見たら結構ドキッとしそう。

動くティラノサウルスの動画をインスタに載せています。

 

 

 

□その他のインプット

偶然見たい映画が多かったのもあり「8月は新作インプット月間だ!」と決めていました。

最近新作のインプットが圧倒的に足りていなかったし、丁度良いか、と。

というわけで、映画だけでなく新しい漫画もいくつか読み始めました。

その中で面白かった2点をご紹介。

 

〇「満州アヘンスクワッド」

これは須々木氏に勧められた作品。

スピード感のある出だしじゃないし、かなり重い題材なのに、ぐいぐい読めてしまう作品です。

“満州”というだけあって史実を元に進められる話ですが、描写が巧みで非常にリアリティがある。

ボックスを多用しなくても、この時代の文化がしっかり表現されているのがすごいです。

そして漫画っぽい派手さはないのに、「良いキャラだなぁ」と思わず唸りたくなる良キャラばかり。

“スクワッド”とは軍事用語で「部隊」、英語圏のスラングとしては「部隊のように固く結ばれた関係」という意味らしいです。

まさにキャラたちの関係がこの通りで、カッコいいんですよね。

これは漫画を集めていこうと思います。

 

〇「フラジャイル」

いわゆる医療漫画です。

2016年にテレビドラマ化もされているので、それなりの知名度かもしれませんが。

医療ものというと、どうしても外科医がメインの話が多い印象ですが、今作の主役は“病理医”。

ざっくり言うと、患者に治療を始めるために、なんの病気かを“決定する”仕事です。

多くの医療漫画は、患者とのヒューマンドラマや院内の派閥のあれこれを描く印象ですが、今作はそれらも描きつつ、「なんの病気かを決定する」に焦点を当てています。

なので、医療もの独特の重さが薄く、ミステリーのような読み応え。

病気を見つけるところまでをメインに描き、「病気がわかればやりようがある。ここから先は担当医の仕事」というスタイルが新鮮で面白いと感じました。

それなりの巻数が出ているので、ゆっくり追い掛けていこうと思います。

 

 

 

以上、今月の活動でした。

 

aki

アニメ「SPY×FAMILY」を見ました。

 急に涼しくなってどうした令和ちゃん?体調悪い?ずっとこのままがいいです。

 

 今回はアニメ「SPY×FAMILY」を見ました。

 

 

 原作漫画が人気だということは知っていましたが、コメディとして安定して面白かったですね。とても好きな作風でした。

 

 今回のアニメ化は「ファミリー層」を狙っているんだろうなというのが伝わってくる作りだったというか、全体的に「好印象」を与えたい!というのが伝わってくる構成になっていたように思います。なんか、ずっと流してられるというか、見ていてストレスになることがないのがすごいな~と感じました。

 

 小さい子どもも惹かれるような可愛いらしい絵柄や配色だったことや、全体の雰囲気もレトロポップでオシャレなアニメだったなぁ~と。全員が自分を偽る疑似家族トリオというファミリードラマや共犯関係も描きつつ、スパイ・エスパー・暗殺者という中二も大好きなダーク要素もあり、という感じで、オタクではない一般層も取り込みたいんだろうなぁ~という意図が伝わって来ました。

 

 コメディ&ファミリー物ではあるものの容赦なく人が死ぬ瞬間もあるんですが、「ちびっ子が親からこのアニメを見るのを止められる、ということはあまり無さそうだな。」という印象を受けるのが不思議。

 

 架空の国が舞台ではあるけど、大戦前・中の時代を想定しているんだろうなということも伺えるのも分かりやすくて良い。怖い時代ではあったけど、この頃のヨーロッパ系全体のレトロポップなデザインがとにかく好き。家も家具も車もオシャかわ。登場人物の考えや価値観が古臭いのも古い時代が舞台なら納得できるし、古い時代の名門学校の雰囲気も良いよね。

 

 レトロでありがながらも、現代でもある物も大体揃っているのも良いなと思いました。電話・TVにアニメ放送・ラジオ、テーマパークや水族館とか、現代の人でも共感できる点が多い、でも微妙にズレてる、微妙に知らない世界の話、というのもとっつき安い要因だったのかなと思いました。

 

 アニメと漫画では受ける印象や雰囲気が違ってくるのかな~?と気になって来たので、近い内にちゃんと原作読んでみたいと思います。

 

 2期からは待望のモフモフ要素が追加されるっぽいのですご~く楽しみにしております。

 

 急に秋の陽気になられると季節の変わり目に弱い私はビクビクしてしまう。でもこの気温はマジで過ごしやすいので世界は永遠に20度くらいであって欲しい。芸術・スポーツ・食欲の秋ということで活動しやすくなるのはものすごくありがたいので創作活動全般に精を出して行きたいと思います。それではまた次回。

 

noz

星空の世界展行ってきた!

どうもこんばんは霧島です。
基本的に仕事やらなんやらでずっと引きこもりなんですが、久しぶりに展覧会に行ってきました。

 

 

空を見るのが好きなのでTwitterで情報を見かけてからずっと行きたいと思ってたんですよね…!


SNSでも人気の星空写真家、プラネタリウム映像クリエーター、KAGAYAさんの写真展です。

写真撮影OKだったので色々撮ったんですが特に好きだったものはポストカードも買っちゃいました。
写真を更に写真に撮るというシュールさはちょっと横に置いときます。


景色なんて自分の目で見て記憶に残してナンボでしょ!!なんて昔は思ってた時もありましたが、私の目の解像度とカメラとを比べたらきっと同じもの写してもこうは見えないんだろな…



こういう感じで星の解説も載っているのでわかりやすいです。


夜空だけでなく世界の美しい自然の写真も沢山あって、こんな綺麗な星に住んでるんだな…となんだか感慨深くなりました。自然に触れる機会が少ないと忘れがちになってしまっていかんな。

オーロラ…
一生に一度は見てみたいですね…
目の当りにしたらどんな感情になるんだろな…


月面図。ついてる名前素敵すぎじゃん…。

写真の他にも映像作品や、KAGAYAさんの撮影風景の映像などの上映もありました。
イルカと一緒に泳ぎながらの撮影癒された…


会期は8月いっぱいです。そごう横浜6階のそごう美術館にて開催されてますので、星空好きで横浜に来られる方は是非。


したらば!

rin

陳情令感想③陰鉄探索編

どうも、今月は映画を沢山見てほくほくしている遊木です。

 

『陳情令』感想の続きです。

②から3ヶ月経ってしまいましたが、今後もこんなノリで進行すると思います。

生暖かい気持ちで、ゆるりとお付き合い下さい。

 

①プロローグ編 1話“目覚め”~ 2話“再びの大梵山”(+前置き)

②座学編 3話“運命の邂逅”~ 7話“天灯に託す願い”

 

 

 

以下の点にご注意下さい。

 

 

※『陳情令』全話、および原作、アニメ(完結編まで)、ラジオドラマ等の盛大なネタバレ。

※書き手による批評、深読み、独自解釈、萌え語り、乱文。

※原作がBLであることを前提とした解釈。

※長いです。

 

以上が大丈夫な方はどうぞ~。

 

 

 

 

陰鉄探索編 8話“不吉な影”~ 11話“手負いの雲紋”

 

8話は、冒頭からウサギと戯れるのが可愛すぎた。

江澄の「食べるつもりか」に対して、ウサギちゃんの耳押さえて「恐ろしいことを言うなよ」って魏嬰お前その発言覚えとけよ?ってなります。

意外と、こういうちょっとしたくだりでキャラの魅力は増すんだよなぁ……心に留めよう。

その後に現れた藍湛。このときの「また会おう」は絶対ウサギに対してじゃなくて、魏嬰に対してだった!(確信)

 

温晁はマジでムカつくなぁ。

こういうところのキャラ表現、上手いと思います。

父親の権力がなければ雑魚キャラでしかないのに、ことごとく人の大切なものを踏みにじっていく感じとか。

でも作り手からすると、ムカつくキャラを本当にムカつくように表現できるのが羨ましいです。

いや、意外と難しいんですよ。ちょっとでも手心を加えると、見る側はすぐに勘づいてしまう。キャラづくりは永遠の課題です。

 

で、ここから陰鉄探しが始まるわけですね。

ここはまるっとオリジナルですが、『魔道祖師』ではなく『陳情令』として物語が展開するために、重要な要素がぎゅっと詰め込まれている印象です。

 

すごくどうでも良いけど「夜狩へ行くなり」の言い方に笑ってもうた。

中国語の発音って可愛いよね。

 

あと、このときの江澄と師姉の反応の差がちょっと興味深いと思いました。

「急用ができたのよ」という師姉と「奴に急用だって?」となる弟。

実際、このときの魏嬰は藍湛を早急に追いかける必要がありました。

藍湛が陰鉄関連で姑蘇を離れたことはわかっていたので、危険な旅になる予感が当然あった。だったら、一人で行かせるわけにはいかない、と。

ふざけた書置きに誤魔化されますが、実際に急用だったわけですね。

 

「魏嬰の行動には必ず意味がある」と思っている師姉は、内容までは分からずとも“何かがあった”ことは直感しています。

彼女の“本質を見抜く力”は作中でも随一ですが、こういうちょっとしたところでもしっかり描かれているので、後に金家から魏嬰を庇うシーンも、取ってつけた感じにならない。

一方、魏嬰に急用があるとは思えない江澄。この裏には「自分には心当たりがないんだから、奴にもあるわけない」という考えが見え隠れしていますよね。

江澄は、最初から最後までこの感覚が抜けなかった故に、魏嬰とすれ違ったとも言える気がします。

こう思わせたのは長年の魏嬰の言動なので、一概に江澄だけが悪いとは言えませんが「魏嬰と自分は立場も考えも違う別々の人間」という意識がすごく薄いように思えます。

こういうところ、末っ子坊ちゃんって感じですよね。

 

さて、藍湛に追いついた魏嬰。

この辺は、嵐の前の静けさですね。

合流した魏嬰の落ち着きない感じが可愛いし、懐桑との年相応の戯れも良いです。

なんだかんだ江澄が魏嬰を探しに行く感じも含めて、この頃はみんなそれなりに仲良かったな……。

 

ところで、蒔花女の使い方は上手いと思いましたね。

原作でも出てくるけど、“花の精”という特徴的な設定のわりに、彼女、本筋とは全然関係ないじゃないですか。

それを「陰鉄を所持している」という重要な役割を与えることで、蒔花女のバックグラウンドにも興味が出てくるというか。

なんで陰鉄を所持することになったのか、とか知りたくなるもの。

上空から花が降ってくるシーンは、藍湛の能力や人柄に興味を持っていた魏嬰が、初めて彼の外見に言及する場面で視聴者をニヤッとさせます。

ただ何度か見直して思いましたが、冷静に考えると、このとき蒔花女は温晁に襲われていたんですよね。

つまり、あの花吹雪は彼女の断末魔ってことでしょうか?

え、怖い。

 

この辺りから、温情の立場がなかなか辛くなってきます。

温情は魏嬰と同様、義を重んじ、強さと優しさを兼ね備えている。でも、一族と弟を守るために渋々温若寒に従うしかない。

何とか魏嬰たちが最悪の事態にならないよう手を回してくれるけど、かといって自分が彼らの仲間扱いされることは望まず、助けて欲しいとも言わなかった……温情、本当に強い子です。

この自己犠牲は本当に魏嬰と被る。

『陳情令』の温情は他媒体より描写が多いので、よりキャラを深掘りできます。

 

そして、ここで2話の“再びの大梵山”の謎が解ける訳ですね。

温情と江澄のやりとりは可愛いかった。

本当に、この二人のロマンスが進展していればもっと違う未来があったように思う。

一方、師兄の方はおばあさんにおねんねポーズをしているわけですが……本当何なん?あざと過ぎか。

ところで村に着いたとき、魏嬰は異変に気付いていますが、これは彼の勘が良い故なのか、それとも詭道を修める前から、元々そういう体質だったのか。

どっちなんだろう?藍湛は気付いてなかったしなぁ。

一応、9話で「大梵山は地形も良く霊力が溢れる地~」と説明がありますが、着いて早々ここで言っている違和感に気付いていたなら、それはそれですごいというか、魏嬰の飛びぬけた非凡さを感じますね。

 

舞天女との戦いは、例によってワイヤーアクションとCGなので私は結構違和感を覚えちゃうんですが、特撮とか見慣れている人は普通なのかしら。

それにしても懐桑、戦っている二人の横での役立たずっぷりが良い味出してますね。

彼、もはや帯刀すらしてないからね。非常事態に「私の金の雀が!」とか言ってたらそりゃ禁言術も食らうわ。

藍湛と二人のときは騒がしい魏嬰なのに、懐桑が加わると急にしっかり側になる。

こういうところがキャラ表現の面白さだなと思いますね。正直、魏嬰の「ぴったり俺にくっついてろ」はキュンときた。

そして江澄が合流しますが、初見のときにも思ったけど、いつから舞天女の後ろにいたの?っていうかどこから入った?隠し通路とかあるのかな。

あと「どれだけ私が心配したか」って言い切って良かったんやで?

 

しかし、江澄はこの時点ですでに、師兄が藍湛を庇うのが気に入らないみたいですね。

まぁ江澄からすれば、魏嬰が懐いてるのに(一見)冷たい態度を取る藍湛がそれなりにムカつくのでしょう。しかも危険な目に合わせてるし。

違うの江澄。この頃の藍湛はまだあなたに負けないぐらいのツンデレさんなの。十数年後には最強のセコムになるから。

 

梟を倒しに行くときも、江澄からしたら複雑なんだろうなぁと思いました。

きっと蓮花塢では、何かに立ち向かうとき魏嬰と組んでいたのは自分だったろうに、当然のように藍湛と向かってしまって。

魏嬰からしたら江澄を置いていくのは、残された懐桑と温情を守るために必要だからで、つまりは信頼しているからだろうけど、それがしっかり伝わってはいなさそう。

江澄は、有能な魏嬰に嫉妬や劣等感がある一方で、“相棒は自分だ”という自負があったと思う。でも藍湛が現れて、しかも、魏嬰自身が好敵手と認めるほどの能力を持っている。

絶妙なバランスで成り立っていた江澄の心は、ちょっとずつ揺らいでいったんだろうな……。

だからこそ“雲夢双傑の誓い”は彼の心に響いて、大切過ぎるものになってしまった……うう。

 

それはそれとして、忘羨の背中合わせでの共闘は萌えますね。

純粋な能力で戦う藍湛と、最終的に知恵で敵を仕留める魏嬰の差が良い。

魏嬰は座学の成績や、推理を披露するときは何かと鋭くて生来の賢さが光る一方、真面目な会話中でもふざけたり、重要な使命を帯びているのに街中をふら付いちゃう。

この頃の藍湛は、「なんでこいつは能力を正しく使わない?」ってすごく歯痒いんだろうなぁと思います。

でも、魏嬰の気が抜けるような言動の根底には、他者に対する気遣いや優しさがあるんだよね。藍湛がそれを察したのは、多分玄武洞のあれこれの時だと思う。

 

大梵山を下りた後、街で聞き込みをするときの会話は、鬼腕を追うときに交わしたやりとりのオマージュですね。

ちょいちょいこういう表現があるところが、原作へのリスペクトを感じます。

でも「外では俺と離れちゃダメだな」とか簡単に言っちゃダメよ魏嬰。

どんどん藍湛への刷り込みが加速していく。罪な男だ!

 

藍湛と江澄の手を引いて酒屋に行くシーンは、何度見てもほっこりしますね。こんな時間が永遠に続けば良かったのに。そして、このときはまだ無銭哥哥じゃなかった魏嬰。

 

常氏が出てきた時点で薛洋の登場は予見できましたが、暁星塵と宋嵐が出てきたときは「あー、なるほど。その事件に魏嬰たちを関わらせる展開か!」となりました。

これも上手い改変ですよね。

暁星塵や宋嵐と直接繋がりを作ることで、今後起こる事件に、原作以上の説得力を持たせられるわけです。

個人的には、義城組を過去編にも登場させるオリジナル展開は胸アツでした。

義城編だけの登場にはもったいないキャラだもの。

でも、ここで登場させたことによって義城編の絶望がさらに膨れ上がったけどな。

 

薛洋に関しては、どうしようもない悪童だし、彼の結末にも納得なんだけど、どこか嫌いになれない。

仙門にとっては疎まれる型破りな魏嬰の言動に、好感(面白さ)を抱いた薛洋。

「仙門で俺より面皮が厚い奴はいない」という魏嬰の言に、「アンタ面白いな」と返した言葉は本心だと思う。

後々、夷陵老祖として成し遂げたことも含め、義城で魏嬰を“先輩”と呼んだのは皮肉じゃないのでしょう。

薛洋はもっと幼い時に魏嬰と出会っていたら、全然違う未来があったろうに。

この二人は“はみ出し者”として、何かシンパシーみたいなものがあったように思います。

 

あと、魏嬰が暁星塵としっかり出会えたのは良かったですね。

天涯孤独の魏嬰に、残ったわずかな母との繋がりが暁星塵。

しかも仙門のいざこざとは距離を置き、志だけを指針に人助けをするそのあり方は、本来魏嬰が一番肌に合う生き方。

別れのシーンで、暁星塵と宋嵐を見送る魏嬰の表情には切なさと羨望が滲んでいるし、それを横から見ている江澄も、魏嬰の本質を理解しているからこそ複雑なものを感じている。

藍湛に関しては、「そういう生き方もあるのか」と眩しいものを見ている風でもある。

ここのシーンは、自由に生きられない彼らの悲哀が表現されているなぁと。

そして、暁星塵と宋嵐を主人公たちの理想形としてしっかり表現したことで、後の義城編ではより儘ならない悲しみが視聴者の心を抉るわけです。

き、鬼畜…!

 

舞台は不浄世に移りますが、他媒体だと他の四代世家と比べて聶氏の情報は少ない印象なので、ここの描写はナイスな判断だと思いました。

やっぱり赤鋒尊は重要なキャラですもんね。

何なら彼の言動がもう少し違ったら、後の悲劇のいくつかは回避できたかもしれない。

もしくは、聶兄弟の関係がちょっとでも違う形だったら、魏嬰の復活はなかったかもしれない。

 

個人的に赤鋒尊は、とても歯痒いキャラだったなぁと思います。

苛烈な性格だけど、正義の在り方というか、義に対する考えは魏嬰に近い人物だっただけに、夷陵老祖となった魏嬰にもっと理解を示してほしかった……。

いや、それが出来ない人だったからくだんの事件は起きたのか……。

 

金光瑤に関しても、この頃の魏嬰の態度というか、自分への接し方にもっと気付いて欲しかった。金光善は見る目がないと彼の実力を認め、気さくに話しかける魏嬰の人柄をもっと見ろよ!と。

でも良く考えたら金光瑤は、「出自を気にせず他者と同じように接して欲しい」が願望じゃないんですよね。

「高貴な血を引き、その上優秀な自分が誰よりも優れた存在であると認めて欲しい」が願望なので、そう考えると、魏嬰が彼を評価しても大して響かないのかもしれない。

沢蕪君に固執したのも、“宗主”であり、“皆に認められている”沢蕪君が“非凡である”と評価したからなんだろうな。

 

藍湛は一旦姑蘇に戻りますが、別れの挨拶、絶対魏嬰に届かない声量だからこそ、秘められた想いの大きさが見えますよね……見える…見えるぞおお!

 

夜が明けて始まる不浄世の襲撃。

何周かすると、“本格的な歯車の狂い始め”はここの気がします。

最初は温氏の攻撃が始まったからだと思いましたが、違いますね。

多分、孟瑶が具体的に暗躍し始めたからでしょう。初見だと気付かないけど。

そもそもこの時点で、彼がラスボスになるって気付く初見さんはなかなかいなさそう。

こういう配役は自作でもやってみたいです。

 

そして、11話にしてようやく蓮花塢がしっかり出てきます。

街の人たちと仲良く接する魏嬰を見ると、夷陵老祖の悪評が広まったときに「そんなバカな」と思った人がいたと思う。

江澄との仲違いを悲しんだ人が絶対いたはずだよ……!

「来世でもいい兄弟分でいようぜ」って言葉は、本当に辛すぎる。

 

実家に帰ったことで、お調子者キャラだった魏嬰の微妙な立場が明らかになります。

これは120%妄想ですが、魏嬰のやんちゃな性格は江澄を気遣っての事の気がする。

例えば剣や弓で手を抜いて、江澄より劣っているように見せることも出来ただろうけど、それは義弟への冒涜だし逆に怒りを買いそう。だから、能力は勝っているけどやんちゃな師兄を、能力は劣るけどしっかりものの義弟が面倒を見る、という構図を作り上げたのかなって。

その場合、損をするのは魏嬰だけですもんね。

単なる楽天家のお調子者ではなく、あえて“そういること”が江姉弟や周囲への気遣いであり、魏嬰の優しさなんじゃないかな、と。

 

家族での食事シーンは、虞夫人の初登場シーンでもあります。

初見だと、とにかくヒステリーがひどい毒親に見えますね。

でも最後には、彼女の生き様は一本筋が通った誇り高いものだとわかる。

個人的に脇役の中では、かなり上位に食い込む魅力的なキャラだと思ってます。

 

あと、「何度言っても関わりを断とうとしない」ってくだりは、かなりひどい言い回しに感じますが、未来を知っていると、実は虞夫人は正しかったのでは?と思わなくもないです。

魏無羨を江家に置くことが、双方にとって本当に良いことだったのか?と聞かれると、自信を持って肯定はできないというか。

本来、暁星塵や宋嵐のような生き方が合う魏嬰は、一人で生きられるぐらいまで成長したら、さっさと野に放した方が彼のためになったかもしれない。

そして、魏嬰がいない江家は、江澄が劣等感に苦しむことも、虞夫人は蔵色散人と夫の噂、家僕の子より能力が劣る息子に気を揉むこともない。

少なくとも今よりは平和な家庭がある筈です。

虞夫人は、実はそんなifが見えていたのかもしれないなぁと。

ただ、後の彼女の言動から察するに、疎ましく思いながらも魏嬰の忠義心や能力は認めていたようなので、力ずくで追い出すことも出来なかったのでしょう。

虞夫人はなかなか奥深いキャラです。

 

ところ変わって雲深不知処では、温氏からの攻撃で藍氏が大打撃を受けます。

清河から姑蘇に向かった藍湛も、途中温晁の追撃を食らいますが、魏嬰の符で何とか逃げ延びます。

この場面、正直「え?その符はいつ貰ったの??プレゼント??受け取ったの?仲良しかよ」ってなりました。

そして、温晁でもすぐ魏嬰作だとわかるぐらい、魏嬰の符制作の才は有名なんですね。

まぁ、赤鋒尊も江おじさんも陰鉄の精錬は非常に難しいと言ってる中、陰鉄剣から陰虎符を作る魏嬰ですからね。

 

多分彼は本当の天才で、だからこそどこかの陣営に肩入れすることは、非常に危険なのかもしれない。

特に既得権益に縋りついてる古狸たちからしたら、「家僕のくせに高い能力」「飼いならせたら強い力になる」「飼いならせないなら始末しろ」という方程式があっという間に構築されそう。

魏嬰が沢蕪君、もしくは金光瑶のような性格だったら、逆に古狸をころころ出来そうだけど、それが出来ないのが魏嬰の魅力でもあるからな……。

“持つもの”にしかわからない、シビアな現実だ。

 

さて、雲深不知処に戻った藍湛ですが、寒潭洞のシーンで「心に恥じぬように生きる」という信念を掲げたときは、うあああとなりました。

本当にこの信念を貫き通すことが出来ていたら、十数年も帰らない人を待ち続けることはなかったんだろうな……。

このときは、「心に恥じぬように生きる」の真の意味をわかっていなかった藍湛。

だからこそ魏嬰の帰還後は、絶対に揺るがない強い意志を持っているわけですが。

 

今作は本当に、徹底して「人は痛みからしか学べない」を表現している。

 

11話ラストから、舞台は不夜天に移ります。

この辺りから、温氏の動きが容赦のないものに変わります。

すべての悲劇の始まりが描かれていくわけですね。

 

ただ、教化司編は結構好きなエピソードが多いです。

展開的には不穏なのに、全体からするとここでもまだ「平和だったなぁ」と思うものね。

これからどんだけ地獄なんだ……。

 

 

というわけで、陰鉄探索編でした。

次回は教化司編です。

 

 

aki

次回「横浜創作オフ会」は早くて2023年3月開催です。そして・・・

横浜創作オフ会の幹事、須々木です。

 

横浜創作オフ会関連のお知らせです

 

 

 

 

コロナ禍に入る前、毎年3月と9月に開催してきた横浜創作オフ会ですが、

 

次回は早くて2023年3月開催とします。

 

 

以前と比較し重症化等に対する知見は増えてきて、徐々に社会の正常化に向け動きつつある昨今ですが、ある程度の人数が集まって飲食しつつ楽しく遠慮なくワイワイ盛り上がるというのはまだあまり現実的ではないと判断します。

 

よって、2022年9月に開催することはありません

 

 

 

 

● 2015年9月 第1回横浜創作オフ会

● 2016年3月 第2回横浜創作オフ会

● 2016年9月 第3回横浜創作オフ会

● 2017年3月 第4回横浜創作オフ会

● 2017年9月 第5回横浜創作オフ会

● 2018年3月 第6回横浜創作オフ会

● 2018年9月 第7回横浜創作オフ会

● 2019年3月 第8回横浜創作オフ会

● 2019年9月 第9回横浜創作オフ会

● 2020年3月 中止!

● 2020年9月 中止!

● 2021年3月 中止!

● 2021年9月 中止!

● 2022年3月 中止!

● 2022年9月 中止!

● 2023年3月 第10回横浜創作オフ会?

 

 

 

 

当然のことながら、再開できる状況になれば再開するという方針に一切のぶれはないので、宜しくお願いします。

 

なお、2023年3月の開催については、1月から2月にかけて判断することになると思います。

 

※再開条件については、以前ブログで触れた通り

 

 

 

 

 

さて、2022年9月に横浜創作オフ会をやらないことは確定なのですが、一応、軽くオフラインの代替企画を考えていたりします。

 

以下、暫定案。

 

 

● 横浜駅徒歩圏の広々とした屋外にて実施。

9月後半の土日祝日の夕方頃から。原則として翌日も休みの日。

● レジャーシートを広げ飲み食いする感じ。

「新型コロナのワクチン3回接種済み」「体調不良等がない(同居人を含む)」厳守。

● 参加人数想定は8~20人程度。

● 屋外なので天候の影響で直前に中止等の可能性あり。雨だけでなく風の影響も大きいです。

● 参加資格は「横浜創作オフ会の再開を願ってやまない人」。「横浜創作オフ会」と違い、わりと内輪飲みな感じを想定。

● 「横浜創作オフ会」と比べ、募集期間は短め、宣伝も抑え気味のつもり。

● スーパーなどで買い出しする方式。店の予約などないので、参加募集はギリギリでやります。

 

 

当企画の詳細告知はまた改めてしようと思います。

 

ただし、「第7波による医療体制逼迫が一定程度落ち着く」というのが開催の大前提です。

 

第7波に入る前、6月くらいの状況であれば開催の方向です。

 

「新規感染者数」より「医療体制の状況」をより重視し判断します。

 

 

 

 

 

 

とにかく予断を許さぬ状況ですが、今後も最新の情報に基づき総合的に判断していきます。

 

横浜創作オフ会も早く再開したいですね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sho