公会計の動向 -3ページ目

三セク問題を検討している総務省の研究会

 朝日サイトが7月31日に掲出した「三セクなど196法人、自治体破綻させる可能性 総務省」は、総務省が31日、第三セクターなどのあり方を考える有識者による研究会を開き、自治体を財政破綻に追い込む可能性がある三セク・地方公社が全国で196法人にのぼることを明らかにしたと報じる。同省は研究会が年内にも取りまとめる指針を受け、支援策の延長を検討すると記事は伝える。同省が自治体から財政支援を受ける計1923法人を調査したところ、リスクがあると判断された196法人のうち、基金の積み立てなどで財政リスクに対応できると答えたのは約4割の70法人にとどまっているとの由。同省では経営難の三セクの負債を早期に処理して財政破綻を防ぐため、損失補償の支払経費などを地方債で賄う「第三セクター等改革推進債」を21年度に導入しているが、制度は今年度で終わるため、研究会がまとめる指針を踏まえて三セク債の延長の是非を検討するとのこと。

公表資料:第三セクター等のあり方に関する研究会

XPサポート終了への対応

 読売オンラインが5月27日に掲出した「XP更新悩む自治体…財政難「使い続けるしか」」は、マイクロソフトの基本ソフトウエア(OS)「ウィンドウズXP」のサポート期間が残り1年となり、北海道内の自治体が更新作業に追われていると報じる。後継OSの「ビスタ」以降に更新しないと、サイバー攻撃にさらされた場合、住民の個人情報が漏えいしかねないが、XPを多く導入している自治体では、切り替えに多額の費用がかかり、期間内の更新が間に合わないという声も出ていると記事は伝える。道南地方のある自治体の担当者は「ウイルス感染の危険が高まるといっても、使い続けるしかない」と語っており、職場のパソコンのうち、半数以上がXPを使っているが、パソコンの買い替えやOSの更新には多額の費用がかかるため、更新は「できる範囲で進めていくしかないが、具体的に何も決まっていない」と語っているとか。XPのサポート期間は2014年4月9日に終わり、以降、最新のウイルス対策ソフトを入れていても、サイバー攻撃に対処できなくなるが、自治体には住民の個人情報などがあり、事態はより深刻と記事は伝える。道庁では24年度末から、職員用パソコンの約6割を占めるXPのパソコン1万1000台の切り替えを進めており、全てを買い替えると、単純計算で約10億円の費用がかかるため、5月現在、全パソコンのうち約700台は切り替えの対象から外したとのこと。札幌市IT推進課によると、市役所などで使うパソコン1万3550台のうち、約半数にあたる6767台がXPであり、22年9月から各部署に更新を呼びかけているが、思うように進まず、今月にアンケート調査を実施して、更新の進み具合をチェックするとのこと。「何とか乗り切れそうだ」と胸をなで下ろすのは岩見沢市で、リース契約のパソコンがちょうど更新時期を迎え、XPから「ビスタ」「ウィンドウズ7」に順次切り替えられるメドがついたとか。同様に全台の更新が間に合いそうな室蘭市の担当職員は「財政難の折、メーカーの都合で機器を入れ替えるのは文句を言いたい気持ちにもなる」としながら、「その分、人手を減らすことにも貢献してくれているので、功罪相半ばかもしれない」と話したとも。

産業育成措置に交付税

 日経サイトが5月13日に掲出した「総務省、産業育成に交付税 成果自治体に増額」は、総務省が26年度から、産業育成で成果を上げた地方自治体に通常より多くの地方交付税を配分すると報じる。企業誘致やベンチャー育成などに取り組むインセンティブを与え、低迷する地方経済の立て直しにつなげるとのこと。政府が16日に開く経済財政諮問会議で、新藤義孝総務相が表明すると記事は伝える。事業所数や製造品出荷額、農業産出額などを増やした自治体に交付税を上乗せして配る案が有力で、19~21年度に類似の制度があり、5年ぶりに復活するとの由。現在は公務員給与の減額や人員削減などが進んだ自治体に交付税を追加で配っているとも。

経済財政諮問会議5月16日資料5-2:個性を活かし自立した地方をつくるために(新藤議員提出資料)(PDF形式:312KB)

宮城県が林業公社の存続をこれから検討

 河北新報社サイトが4月21日に掲出した「林業公社を抜本見直し 宮城県、廃止含め在り方検討へ 」は、宮城県が本年度、多額の累積債務を抱える県林業公社の在り方を抜本的に見直す作業に入ると報じる。将来的な県民負担を軽減する観点から、公社の廃止も含めて検討する方向とか。見直す場合の選択肢として、(1)公社自らが経営を改善し存続、(2)公社を廃止し、県が森林経営を直営、(3)法的手続きを経て、公社自らが経営を改善、などが挙がっているとのこと。県は、経営悪化した第三セクターなどの債務を肩代わりするために発行できる「第三セクター等改革推進債(三セク債)」の活用も視野に入れるとか。見直し着手の方針は、山田義輝農林水産部長が19日の県議会環境生活農林水産委員会で明らかにしたもので、山田部長は「現在の債務は168億円で抜本的改革が必要。関係機関と調整し、本年度中に実行する」と述べたとの由。林業公社をめぐっては、県議会の県出資団体等調査特別委員会が22年度、「自立的経営は不可能」などとして廃止を県に提言しており、東日本大震災後の23年秋、村井嘉浩知事が「震災で果たすべき大きな役割がある」として当面、存続させる方針を表明していた経緯がある。


三セク鉄道が車両命名権を売り出す

 朝日新聞デジタルが4月12日に掲出した「長崎の三セク「車両の命名権売ります」 ヘッドマークも 」〔上田輔〕は、長崎県佐世保市と佐賀県有田町の93・8キロを結ぶ第三セクターの松浦鉄道(本社・佐世保市)が列車の命名権を売り出していると報じる。乗客の減少を受けた増収策で、契約終了後は、名付けた列車名の入ったヘッドマークがもらえるとのこと。売り出しているのは、21両ある同社の主力車両「MR600形」の命名権で、1両あたり3カ月15万円、6カ月20万円、1年間で25万円としており、法人は1年契約に限るとか。契約期間中、列車名を記した直径60センチのヘッドマークを車両の前後に取り付けて走ることになる。名前のほか、写真やイラストも掲載できる。


年度末契約の新年度単価適用の特例措置

 建設通信新聞が4月15日に掲出した「新労務単価/水機構が特例措置決定/独法、高速道路会社も検討 」は、国土交通省が各地方整備局などに通知し、都道府県・政令市に適切な運用を要請した25年度公共工事設計労務単価の特例措置について、同省所管の高速道路会社や独立行政法人などの多くが今後の対応を検討していることが分かったと報じる。3月中に入札し契約が4月1日以降になる案件を対象に大幅に上昇した新単価で契約変更するもので、現時点では水資源機構がいち早く適用を決定しているが、それ以外の機関は態度を保留しており、今後、内部検討を進め、適用の可否を決める方針とか。水資源機構は「特例措置を踏まえ、全事業所を対象に調査を実施した。該当する案件が維持管理工事を中心に10件あり、いずれも特例措置を適用する」としているとのこと。従来から国交省の契約制度に準拠しており、今回もそれに準じた決定で、適用理由には、デフレ対策としての意味合いもあるとか。請負金額については、新単価を使って積算し直した予定価格に当初契約の落札率を掛けて算出するとのこと。地方自治体から工事などを受託して事業を実施している日本下水道事業団(JS)は「特例措置の部分については、国交省と内容について調整・確認を進めている」としており、高速道路会社の状況を見ると、東日本高速道路と中日本高速道路は「適用するかどうかを含めて検討中」と回答しており、東日本高速道路関東支社では、3月に開札したWTO(世界貿易機関)対象の3件が未契約で、これらの案件への適用可能性が今後注目されると記事は伝える。同様に首都高速道路も「情報が入ったばかりで現時点で方針は決まっていないが、適用の可否について、これから検討に入る」とか。阪神高速道路も「正式な要請は来ていないが、特例措置については、その適用の可否を含めて既に検討している」と回答しており、一方、西日本高速道路は「国からの要請があって初めて検討に入る。現時点では要請がないため、検討に入るとは答えられず、未定としか言えない」と話しているとか。都市再生機構は、「特例措置の詳細を11日に知ったところで、現在は検討段階である」と回答し、成田国際空港と鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、入札した工事すべての契約を24年度中に終えていたことから、特例措置の該当案件はなかったとか。東京地下鉄は入札・契約制度にかかわる部分であることを理由に「回答することを控える」としているとか。25年度の労務単価は前年度に比べ全職種単純平均で15.1%増と大幅に上昇しており、予定価格で見ると、おおむね5%程度の上昇になる見込みで、国交省直轄工事における特例措置は、変更後の請負金額について発注者が新単価で予定価格を再び積算し、その金額に当初契約した際の落札率を掛けて算出するとのこと。受注者から変更協議を申し出てもらい、発注者が応じる形をとるもので、自治体や各地方整備局などには早期の対応を通知・要請しているが、受注者からの変更協議の請求期限は各発注者に委ねているとのこと。国交省所管の独立行政法人などにはこの内容を参考通知として周知済みで、自治体と同様に適用の可否は各機関の判断に任せており、自立的な経営が求められているこれらの機関では、適用による財政への影響もあり、慎重になることが予想されるが、デフレスパイラルを断ち切る効果も期待できる措置だけに、大幅な事業予算を確保した経済対策の効果を一層高める観点からも適切な運用が求められると記事は業界を代弁する。


豊岡市は土地開発公社を存続させる

 神戸新聞サイト但馬ページが3月29日に掲出した「豊岡市が土地開発公社存続 土地取得ルール見直し 」〔若林幹夫〕は、兵庫県豊岡市が25年度以降も市土地開発公社を存続させる方針を決め、利用計画の見通しがない土地は取得しないなどのルールを作ったと報じる。公社が債務超過でなく、北近畿豊岡自動車道などの用地買収が残っていることを存続理由としており、今後、3年ごとにあり方を見直すとのこと。土地開発公社については、地価が安定した現在、債務超過に陥るところが増えており、総務省は21年、全国の地方自治体に対し、廃止を含めてあり方を見直すよう通知していて、兵庫県内では神戸市と伊丹市がすでに解散したほか、姫路市など8団体が解散を予定しているとのこと。豊岡市の公社は100%市の出資で昭和48年に設立され、役員全員を市幹部が兼務していて、市は公社存続の理由について、北近畿豊岡自動車道用地などを例に「先行取得すれば、買い戻すときに補助、起債の対象になり、メリットが大きい」と説明しているとか。現在の保有資産約10億円に対して、債務は約6億5千万円で、24年度は、開発計画が頓挫して塩漬けになっていた但馬空港周辺約202ヘクタールを市が約18億円で買い戻したとのこと。存続に当たり、市と公社は2月下旬、取得の際は公社によるか、市の一般財源を活用するかを検討し、明確な開発目的がないと購入しないなどの運用方針を決めており、これは安易な土地の取得を防ぐことが目的としているが、従来と何が変わったのかは明確でない。


上越市は観光関係3セクを持ち株会社の下にまとめとトップに民間の人材を充てる

 上越タウンジャーナルが3月28日に掲出した「公募の三セク持株会社社長に伊藤利彦氏(67) 」は、新潟県上越市が3月28日、公募していた第3セクターの持株会社の社長候補に、同市出身で元JCBトラベル副社長の伊藤利彦氏(67)=東京都小金井市在住=を選任したと発表したと報じる。この日、記者会見した伊藤氏は「魅力ある体制を作りたい」と抱負を語ったとか。昨年10月、同市は50%以上を出資する観光関係の三セク7社で持株会社設立準備会を設置しており、会社の名前を仮称「J─ホールディングス」と決めていて、昨年末から持ち株会社の社長候補を昨年末から公募したところ、23人の応募があったとか。書類審査、面接審査を経て選ばれた伊藤氏は現在の上越市本町1丁目の出身で、県立高田高校、東京大学経済学部を経て三和銀行に入行し、支店長などを歴任して8年には旅行会社、JCBトラベルの代表取締役副社長に就任しており、退任後はJCB北海道の監査役などを歴任したとのこと。市は選定理由を豊富なマネジメント経験と幅広い人脈のほか、出向先の企業で経営改革に取り組んだ実績があること、上越市出身の伊藤氏が故郷の発展に寄与したいとの強い意欲や熱意があることとしているとか。伊藤氏は記者会見で「上越の役に立ちたいと思った。経営は厳しいかもしれないが7社が知恵を出しあって黒字体制を確立し、上越の魅力を高める存在にしたい」と意欲を語り、村山市長は「選考の中でも評価が高かった。これまでの経験からその手腕やリーダーシップを期待したい」と話したとか。持株会社は同市の第3セクターの整理統合策として今年8月に設立される予定で、伊藤氏は設立と同時に社長に就任するとのこと。


キリンからメルシャン軽井沢美術館を地元の町が取得

 信濃毎日新聞サイトが3月29日に掲出した「閉館のメルシャン美術館跡地 御代田町土地開発公社が取得 」は、北佐久郡御代田町は28日、23年11月に閉館したメルシャン軽井沢美術館などがあった同町馬瀬口の土地2万8677平方メートルを、町土地開発公社(理事長・茂木祐司町長)がメルシャン(東京)から1億820万円で取得したと発表したと報じる。町役場で会見した内堀豊彦副町長は「明確な使い道は決まっていないが、軽井沢町に続く幹線道路沿いでもあり、活用価値が高い(と判断した)」と説明したとのこと。美術館はウイスキー蒸留所の敷地に、たる貯蔵庫群を改修して7年に開館され、ピーク時は年間延べ約10万人が訪れたが、収益環境が厳しいとして閉館したとの由。メルシャンの親会社キリン(東京)の広報によると、同蒸留所ではウイスキー「軽井沢」を2000年まで蒸留しており、その後も貯蔵酒を出荷していたが、蒸留所は昨年3月で閉じたとのこと。敷地内の美術館や蒸留所だった建物など18棟(計延べ約5900平方メートル)はそのままで土地を取得し、建物の所有権を公社に移したとのこと。敷地は、町道を挟んで町立博物館「浅間縄文ミュージアム」の北東側にあり、町役場にも近く、内堀副町長は、活用の可能性として、工業用地、築40年以上で建て替えを検討中の役場新庁舎用地、地場産品直売所を挙げたが、検討の手法も含め未定とか。町によると、美術館の継承先をメルシャンに探してもらっていたが、見つからず、同社から昨年11月、町側に取得希望の打診があり、町議会にも相談して取得を決めたとのこと。町企画財政課によると、建物を取り壊す場合の費用は概算で1億円で、取得費と合わせても「更地で購入した場合の相場より大幅に安い」としているとか。


減税の河村名古屋市長が継続

 日経サイト東海・北陸ページが3月29日に掲出した「「河村減税」何変えた 名古屋市長選4月7日告示 」は、河村たかし市長(64)の任期満了に伴う名古屋市長選が4月7日、告示され、21日に投開票されるが、2期目を目指す河村氏に、自民、民主の地方組織と共産党がそれぞれ擁立する2候補が挑む三つどもえの構図ではあるものの、事実上は河村市政に対する「信任投票」の色合いが濃いと報じる。観光PRや中央への発言力で効果を上げた河村氏だが、市議会との対立が続いた4年間を伝える。市が25年度予算案に盛り込んだ保育料の値上げを巡っては、5.1%値上げして4億3000万円強を増収する市の方針に対して、自民や民主が「市民サービスを低下させて減税の原資にするのは許さない」と反対したとのこと。市長選では目立った争点が少ないこともあり、減税政策の是非が浮上しており、立候補を表明した元自民党市議で自民、民主両党の愛知県連が推薦、支持する藤沢忠将氏(43)は「減税政策は名古屋の経済活性化につながっていない」と批判し、公約では中小企業支援などの成長戦略を強調したとのこと。共産が擁立する元愛知教育大非常勤講師の柴田民雄氏(48)も「減税の恩恵が及ぶのは大企業や富裕層だけ」と話しているとか。また、地方自治体による独自の減税は事実上18年の地方財政法の改正で認められているが、減税をする自治体が同時に起債をするには総務省の許可が必要であり、これまで独自に減税をした自治体が起債を許可されなかったケースはなく、22~24年度は名古屋市の起債を許可してきた総務省だが「25年度については、名古屋市から許可の申請が来てから精査する」(地方債課)と明言を避けているとか。河村氏は減税とともに、議員報酬の半減にも手をつけ、年間約6億円の費用削減に成功しており、また、23年からは市民らが市の事業を評価する「事業仕分け」を始め、子育て支援手当などが「廃止」、高年齢者が割安で公共交通機関を利用可能な「敬老パス」などが「見直し」と判断されており、こうした一連の改革を「行政のスリム化につながった」として評価する声はあるが、河村氏が主張する減税の経済効果を認める専門家は少ないとか。市財政に与えるマイナスも無視できず、市の見通しでは、歳入から歳出を差し引いた財源不足(赤字)額が26年度に108億円、27年度で114億円、28年度は161億円と拡大する見通しで、「河村さんが市長でなくなれば、すぐにでも減税をやめる検討に入るだろう」と語る幹部もいるとか。


 朝日新聞デジタルが4月21日に掲出した「河村氏、3度目の当選確実 」は、名古屋市長選市民税減税の是非が最大の争点となった名古屋市長選が21日投開票され、現職の河村たかし氏(64)が新顔2氏を破り、出直し選を含め3回目の当選を決めたと報じる。昨年度から始まった市民税5%減税は当面、継続する方向が固まったと記事は伝える。減税のほか、市長給与削減や議員報酬半減など、河村氏は自ら掲げた改革路線を2期目も続けていく構えとか。投票率は39・35%で、前回より14・79ポイント下がったとのこと。河村氏は21日夜、市内で記者団に対し、「明確な民意が出た。政策の選択を市民がしたということで、これは実現させないといけない」と、2期目の市政運営に向けた意欲を語ったと記事は伝える。選挙戦は、現職の河村氏と、共産推薦の元愛知教育大非常勤講師の新顔、柴田民雄氏(48)、自民、民主の県連から支援を受けた前自民党名古屋市議の新顔、藤沢忠将氏(43)による三つどもえの構図で、減税継続を唱える河村氏に対して、新顔2氏は減税廃止を主張したとのこと。