いくつかの整数の和と積が等しくなるような数の組を考えます。
 [例]和と積がともに8になるような数の組は2通りあり、それぞれの数の小さい順に並べると、
  1、1、2、4と1、1、2、2、2
です。
 1、1、2、4について調べてみると、
  1+1+2+4=8
  1×1×2×4=8
です。
 1、1、2、2、2について調べてみると、
  1+1+2+2+2=8
  1×1×2×2×2=8
です。次の問いに答えなさい。
(1)いくつかの整数の和と積がともに12になるような数の組は3通りあります。それらの組をそれぞれ、例のように数の小さい順に並べなさい。答えのみを解答欄に書きなさい。
(2)いくつかの整数の和と積がともに210になるような数の組は全部で何通りありますか。
(3)いくつかの整数の和と

積がともに2310になるような数の組は全部で何通りありますか。

 

1を使わない積を考えた後、適当に1を加えて和が積と等しくなるようにするのがポイントです。

(1)はウオーミングアップの問題にすぎません。

(2)から本格的な問題になります。

210を素因数分解した後、素因数の割り振りを考えると計算で簡単に解くことができます。

(3)も同じ方針で解くこともできますが、(2)と同じ作業を繰り返しても時間の無駄なので、出題者が用意してくれた解法に乗っかるのがベストでしょう。

詳しくは、下記ページで。

 東大寺学園中学校2025年算数第5問(問題)

 東大寺学園中学校2025年算数第5問(解答・解説)

和と積が絡んだ場合の数の問題を紹介しておくので、ぜひ解いてみましょう。

 

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 直径12cmの円の周上に円周を12等分する点をとります。色のついた部分の面積の和は何cm2ですか。

  

神戸女学院中学部でほぼ同じ問題が過去に出されています(神戸女学院中学部2018年算数第5問)。 

等積変形により2つの部分の面積をくっつけた後、相似比が18cm:12cm=3:2より面積比は(3×3):(2×2)=9:4となるから、女学院の(2)の問題の答えの52.515cm2を4/9倍すると、答え(23.34cm2)が得られます(ちゃんとした解き方は解説ページを参照)。

関西の某大手塾に通う生徒が復テでずっとこんな解き方をしていました。

記憶力のいい子でテキストの問題を解いたら答えを覚えてしまっていたので、数値を変更しただけの手抜き問題のオンパレードのテストでまともに解くのが馬鹿らしかったのでしょうね。

もちろんまともに解くこともできていましたが、程度の低いものに対してそれにふさわしいやり方をしていたわけです。

昔の大学入試センター試験の数学の問題などはまともに解くのがばかばかしいものが多かったので、できる子はまともに解けるけど適当に片付けるという感じでしたからね。

それと同じことです。

今の大学入試共通テストの数学は違う意味でまともに解いたらばかばかしいですが・・・

さて、話を元に戻します。

女学院の問題では、(1)を利用して和差算に持ち込んで解いていますが、ここでは別の解法を紹介します。

等積移動により2つの部分の面積をくっつけます(直径(ピンク色の太線)に関して折り返すイメージです)。

 

曲線上の点と円の中心を結びます。

三角定規(正三角形の半分のもの)の辺の比を利用すると、長さは図のようになります。

  色のついた部分の面積

 =(水色+黄色)+(黄緑色+紫色)-(紫色+黄色)

 =6×6×3.14×1/6+3×6×1/2-3×3×1/2

 =18.84+4.5

 =23.34cm2

となります。

 

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 次の計算をしなさい。

  1/3+36/7×4.25-5/8÷0.525

 

大した計算問題ではありませんが、ちょっとしたことで差が生じます。

5/8÷0.525のところを瞬時に625/525として25で約分すると簡単になります。

25で約分するとき、25×4=100を利用して、頭の中で、4×5+1=21、4×6+1(あるいは21+4)とすれば、ほんの数秒で処理できます。

また、普段の学習の際、次のような分数の引き算をするときにどういう処理をしているかでも差が生じます。

 24/17-18/19

24/17を頭の中で帯分数に直し、1-18/19=1/19と7/17の和を求める処理をしていれば、今回の東大寺の問題も簡単に答えが求められるでしょう。

因みに、この計算の分母は、先日取り上げた「和と差の積=2乗の差」(関西学院中学部1996年算数2日目第1問(4)南山中学校女子部2024年算数第1問(4)の解説を参照)と平方数の知識を利用すると、(18+1)×(18-1)=324-1=323と暗算で求められます(もちろん、340-17=323とすることもできます)。

詳しくは、東大寺学園中学校2025年算数第1問(1)の解答・解説で。

 

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 第33回算数オリンピックトライアル問題5(算数オリンピック2024年トライアル問題5)

今回は、算数オリンピック2024年トライアル問題5を取り上げ、解説します。

偶奇性に着目する(南山中学校女子部2022年算数第4問(2)を参照)ことと上限チェック・下限チェックを行う(今回取り上げた問題は単に上限と下限をチェックするだけですが、平均を利用して上限と下限をチェックすることもあります(灘中学校1997年算数1日目第4問東海中学校2009年算数第6問を参照))ことで、ほぼ試行錯誤することなく解決します。

2以外の素数は奇数ですね。
4つの奇数の和は偶数となりますが、251と271は奇数だから、この2つの数が両方絡むマス(黄緑色で囲まれた4つのマスと水色で囲まれた4つのマスの共通部分のマス)のいずれかに2が入ることになります。
218と300が偶数だから、この2つの数が絡むマス(紫色で囲まれた4つのマスとピンク色で囲まれた4つのマス)のいずれにも2が入らないから、2の入るマスが確定します。


与えられた4つの数が大きな数だから上限をチェックします。
271が絡む4つのマス(黄緑色で囲まれた4つのマス)のうち2が入るマス以外の3つの数の和は271-2=269となりますが、使える素数の3つの数の和は97+89+83=269以下だから、97、89、83を使うことが確定します。

251が絡む4つのマス(水色で囲まれた4つのマス)のうち左側の2つのマスに入る2つの数の和は251-(2+97)=152以上251-(2+83)=166以下となります。一方、使える素数のうち97、89、83の3つの数を除いた2つの数の和は79+73=152以下だから、79と73を使うことが確定し、また、真ん中のマスに入る数が97に確定します。

300が絡む4つのマス(紫色で囲まれた4つのマス)のうち上側の2つのマスに入る2つの数の和は300-(97+89)=114か300-(97+83)=120となります。使える素数で残っているもののうち最大の数は71だから、紫色で囲まれた4つのマスとピンク色で囲まれた4つのマスの共通部分のマスのうち上側のマスの数は114-71=43以上となります。

また、218が絡む4つのマス(ピンク色で囲まれた4つのマス)のうち上側の2つのマスに入る2つの数の和は218-(97+79)=42か218-(97+73)=48となりますが、43より小さい42となることはありえず、48となります。

43以上48未満の素数は、43と47となりますが、48-47=1が素数ではなく、条件を満たしません。

したがって、紫色で囲まれた4つのマスとピンク色で囲まれた4つのマスの共通部分のマスのうち上側のマスの数は43となり、答えが確定します。

  

下の算数オリンピックファイナルの問題もぜひ解いてみましょう。

 

 

 

 

 

 
 
 

 

 さいころをn個同時に投げるとき、出た目の数の和がn+3になる確率を求めよ。
(注)
確率→小学生の場合、とりあえず、すべての場合に対してある場合が起こる割合と考えればよいでしょう

 

今年の大阪星光学院高校の入試問題(大阪星光学院高等学校2025年数学第1問(4))を取り上げたときに言及した問題です。

10秒以内に答えが出せる小学生も結構いるでしょうね。

重複組合せの考え方はある程度のレベルの中学校を受験する子供であれば当然マスターしているはずですからね。

 

 

 

 

因みに、重複組合せの考え方を利用せずに、地道に場合分けして解いても1分程度で答えが出せます(文字式の計算が小学生には少しきついかもしれません)。

ただ、一部の場合で、さいころが3個以上であることを前提としたものになることから、そのことに配慮しなければ点数がもらえなかったのでしょうね。

京大の理系であれば、それぐらいでしか差がつかないでしょうからね。

文系の問題では、n+3がn+2となっていたので、差がつかない問題になっていました。

問題文の「同時に」とか「出た目の数の和」とかの表現を考慮すると、さいころが2個以上であることは前提としてもいいでしょうからね。

詳しくは、下記ページで。

 京都大学2006年後期理系数学第3問(問題)

 京都大学2006年後期理系数学第3問(解答・解説)

 

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