第33回算数オリンピックトライアル問題5(算数オリンピック2024年トライアル問題5)

今回は、算数オリンピック2024年トライアル問題5を取り上げ、解説します。

偶奇性に着目する(南山中学校女子部2022年算数第4問(2)を参照)ことと上限チェック・下限チェックを行う(今回取り上げた問題は単に上限と下限をチェックするだけですが、平均を利用して上限と下限をチェックすることもあります(灘中学校1997年算数1日目第4問東海中学校2009年算数第6問を参照))ことで、ほぼ試行錯誤することなく解決します。

2以外の素数は奇数ですね。
4つの奇数の和は偶数となりますが、251と271は奇数だから、この2つの数が両方絡むマス(黄緑色で囲まれた4つのマスと水色で囲まれた4つのマスの共通部分のマス)のいずれかに2が入ることになります。
218と300が偶数だから、この2つの数が絡むマス(紫色で囲まれた4つのマスとピンク色で囲まれた4つのマス)のいずれにも2が入らないから、2の入るマスが確定します。


与えられた4つの数が大きな数だから上限をチェックします。
271が絡む4つのマス(黄緑色で囲まれた4つのマス)のうち2が入るマス以外の3つの数の和は271-2=269となりますが、使える素数の3つの数の和は97+89+83=269以下だから、97、89、83を使うことが確定します。

251が絡む4つのマス(水色で囲まれた4つのマス)のうち左側の2つのマスに入る2つの数の和は251-(2+97)=152以上251-(2+83)=166以下となります。一方、使える素数のうち97、89、83の3つの数を除いた2つの数の和は79+73=152以下だから、79と73を使うことが確定し、また、真ん中のマスに入る数が97に確定します。

300が絡む4つのマス(紫色で囲まれた4つのマス)のうち上側の2つのマスに入る2つの数の和は300-(97+89)=114か300-(97+83)=120となります。使える素数で残っているもののうち最大の数は71だから、紫色で囲まれた4つのマスとピンク色で囲まれた4つのマスの共通部分のマスのうち上側のマスの数は114-71=43以上となります。

また、218が絡む4つのマス(ピンク色で囲まれた4つのマス)のうち上側の2つのマスに入る2つの数の和は218-(97+79)=42か218-(97+73)=48となりますが、43より小さい42となることはありえず、48となります。

43以上48未満の素数は、43と47となりますが、48-47=1が素数ではなく、条件を満たしません。

したがって、紫色で囲まれた4つのマスとピンク色で囲まれた4つのマスの共通部分のマスのうち上側のマスの数は43となり、答えが確定します。

  

下の算数オリンピックファイナルの問題もぜひ解いてみましょう。

 

 

 

 

 

 
 
 

 

 さいころをn個同時に投げるとき、出た目の数の和がn+3になる確率を求めよ。
(注)
確率→小学生の場合、とりあえず、すべての場合に対してある場合が起こる割合と考えればよいでしょう

 

今年の大阪星光学院高校の入試問題(大阪星光学院高等学校2025年数学第1問(4))を取り上げたときに言及した問題です。

10秒以内に答えが出せる小学生も結構いるでしょうね。

重複組合せの考え方はある程度のレベルの中学校を受験する子供であれば当然マスターしているはずですからね。

 

 

 

 

因みに、重複組合せの考え方を利用せずに、地道に場合分けして解いても1分程度で答えが出せます(文字式の計算が小学生には少しきついかもしれません)。

ただ、一部の場合で、さいころが3個以上であることを前提としたものになることから、そのことに配慮しなければ点数がもらえなかったのでしょうね。

京大の理系であれば、それぐらいでしか差がつかないでしょうからね。

文系の問題では、n+3がn+2となっていたので、差がつかない問題になっていました。

問題文の「同時に」とか「出た目の数の和」とかの表現を考慮すると、さいころが2個以上であることは前提としてもいいでしょうからね。

詳しくは、下記ページで。

 京都大学2006年後期理系数学第3問(問題)

 京都大学2006年後期理系数学第3問(解答・解説)

 

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 次の□の中に適当な数を入れなさい。
 1+18÷(1/7-1/16)+1/17÷(1/25-1/81)×119=225×□

 

与えられた式を見た瞬間に、左辺から225を取り出してくださいねという出題者の意図が読み取れるはずです。

この意図をきっちり読み取れれば解くのに30秒もかかりません。

なお、計算の途中で25×81が出てきますが、2025としてはいけません。

計算の途中で和と差の積が2乗の差となることを利用していますが、和と差の積が2乗の差となることについては、関西学院中学部1996年2日目第1問(4)南山中学校女子部2024年算数第1問(4)の解説ページを参照しましょう。

詳しくは、甲陽学院中学校2025年算数1日目第1問(1)の解答・解説で。

 

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 第27回算数オリンピックファイナル問題6(算数オリンピック2018年ファイナル問題6)

今回は、算数オリンピック2018年ファイナル問題6を取り上げ、解説します。

素数がらみの問題を考えるとき、2と3が特殊な素数であること(2と3以外の素数は6で割ると1か5余ること)を常に意識しておく必要があります(一橋大学2014年前期数学第1問の解答・解説ページにあるエラトステネスの篩を参照))。
このことは、中学入試問題であっても大学入試問題であっても変わりません(南山中学校女子部2022年算数第4問(2)京都大学2006年前期理系数学第4問など)。
上の京大の問題は簡単すぎるので、少し改造した次の問題を考えてみましょうか。
 2以上の自然数nに対し、nとn2+2がともに素数になるnを求めよ。
最初に述べたことを意識していれば、この問題を見た瞬間に答えは2か3ではないかとあたりがつけられます。
n=2のとき、2×2+2=6は素数でないから、条件を満たしませんね。
n=3のとき、3×3+2=11は素数だから、条件を満たしますね。
あとは、6で割った余りで分類して条件を満たさないことを確認すれば解けるでしょうが、もう少し簡単に解けるかもしれないので、少し実験してみます。
n=5のとき、5×5+2=27
n=7のとき、7×7+2=51
n=11のとき、11×11+2=123
いずれの場合も3の倍数となって条件を満たさない(偶数ということは関係ない)から、3で割った余りを考えればいいということで、上の京大の問題の解説になるわけです。
因みに、大学入試問題では「すべて求めよ」となっていなくも、すべて求めるのが当たり前で、答えが1個の場合、その答え以外に答えがないということを示さないといけないので、答えが1個の場合にわざわざ「すべて求めよ」というのは頓珍漢なことです。
さて、算数オリンピックの問題を解いてみましょう。
〇が7個あり、20以下の素数が2、3、5、7、11、13、17、19の8個あるので、使わない(あるいは、使えない)素数が1個ありますね。
最初に述べたことを意識して入れば、使えない素数があるとしたら、2か3ではないかとあたりがつけられますね。
2以外の素数は奇数だから、2を含む3つの素数の和(偶数+奇数+奇数)は2より大きい偶数となり、素数となりえません。
このことから2が使えないことがすぐにわかります。
次に、特殊な素数である3の配置を考えます。
20以下の素数で2と3以外のものを6で割った余りで分類します。
 (あ)6で割ると1余る数・・・7、13、19
 (い)6で割ると5余る数・・・5、11、17
3を含む3つの素数の残り2つを異なるグループから選ぶと3つの素数の和が3より大きい3の倍数となってしまうから素数となりえず、同じグループから2個選ぶことになります。
3を含む3つの素数の和は最大でも2つ(同時に使えるものが2つということです)しか作ることができないので、3を正三角形の真ん中と正三角形の頂点に配置するこができず、正三角形の辺の真ん中のところに配置することになります。
ここからが(多少)試行錯誤するところになります。
答えをすべて求めることもできますが、面倒なので、答えを1つ求めることにします。
3を含む3つの素数の和を確定させます。
 3+7+13、3+7+19(この2つの組は一方だけしか使えませんね。)
 3+5+11、3+11+17(この2つの組は一方だけしか使えませんね。)
とりあえず、数字の小さい組(3+7+13と3+5+11)を考えます。
3+5+11を辺のところに配置してみます(どの辺に配置しても同じことですし、5と11の配置が逆になっても同じことです)。
3+7+13を正三角形の高さのところに配置することになりますが、7と13が入れ替わったものは条件が異なりますね。
とりあえず、7を正三角形の真ん中に配置してみます。

  
5+7=12に17か19をたして素数となるものを考えることになりますが、両方とも素数となるので、とりあえず11+7=18に17か19をたして素数となるものを考えます。
こちらは19だけが条件を満たしますね。
あとは、5+19+13=37と11+17+13=41がともに素数となることを確認して答え(の1つ)が確定します。
因みに、使える7つの素数を確定させた後、3つの素数の和が素数となるものを書き出して解くことも一応可能ですが、やめておいた方がいいでしょう。
(7×6×5)/(3×2×1)=35通りの和について素数かどうかを考えることになり、面倒ですからね。

 

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 ある分数の分母に5を加えると分数の値は1/3となり、分子に3を加えると分数の値は1より大きく2より小さい。この分数を求めよ。ただし、この分数は既約分数とする。
 

小学生でも簡単に解ける問題です。

中学入試で同じような問題でもっと難しいもの(神戸女学院中学部1998年算数2日目第3問)が出されています。

もとの分数の分母に5を加えたものが分子の3倍で、3の倍数となることから、分母は3で割ると1余る数となります。

このことを見抜ければ、次のようにして、答えをすぐに見つけることができます。

 分母1 分子2(範囲の条件を満たしませんね。)

 分母4 分子3(範囲の条件を満たしますね。)

よって、答えは3/4となります。

解説では、もっと難しい問題が出されたときにも対応できるよう、もう少し丁寧に解く解法を紹介しています。

詳しくは、下記ページで。

 慶應義塾志木高等学校2025年数学第1問(2)(問題)

 慶應義塾志木高等学校2025年数学第1問(2)(解答・解説)

下の問題もぜひ解いてみましょう。