日本数学オリンピック(JMO)2016年予選の問題
今回は、日本数学オリンピック2016年予選第1問を取り上げ、解説します。
小学生にとってはなじみのない記号(√、4乗)があるので、そのままでは解けませんが、次のような問題(内容はJMOの問題と変わっていません)にすれば、小学生でも解ける問題となります。
次の□にあてはまる整数を求めなさい。ただし、2つの□には同じ数が入るものとします。
(11×11×11×11+100×100×100×100+111×111×111×111)/2=□×□
実際、このように表現に変えた問題を教え子に解いてもらったことが何度かありますが、普通に解けた子が結構います。
さて、JMOの問題を解いていきましょう。
11×11×11×11
=121×121(この計算は、「並び数」のかけ算の計算手法(桁をずらして足すだけ)を応用します(以下同じ)。
= 121
242
+121
14641
111×111
= 111
111
+111
12321(この計算については、筑波大学附属駒場高等学校2005年数学第4問の解答・解説ページを参照)
111×111×111×111
=12321×12321
= 12321
24642
36963
24642
+12321
151807041
100×100×100×100=100000000
151807041
100000000
+ 14641
251821682
↓÷2
125910841(=□×□)
まず、桁数の見当をつけます。
100000000=10000×10000だから、□は10000より「少し」大きい数となります。
次に、最高位のほうから数の見当をつけます。
11×11=121<125<144=12×12だから、□は11000より「少し」大きい数となります。
111×111=12321<12591
112×112
= 224
112
+112
12544<12591
で、113×113が12591より大きいことは、112×112の計算過程から容易に読み取れるので、□は11200より「少し」大きい数となります。
1121×1121
= 1121
2242
1121
+1121
1256641<1259108
1122×1122
= 2244
2244
1122
+1122
1258884<1259108
1123×1123が1259108より大きいことは、1122×1122のの計算過程から容易に読み取れるので、□は11220より「少し」大きい数となります。
□×□(=125910791)の一の位が1であることから、□の一の位の数は1か9となります(一の位チェック!)。
11221×11221
= 11221
22442
22442
11221
+11221
125910841
となるから、答えは11221となります。
なお、最後のところは、倍数判定法(検算で使う九去法を応用)を利用してもよいでしょう。
125910791は9で割ると8余る数ですが、11229は、各位の数の和が3で割り切るから3の倍数となり、11229×11229は9の倍数となり、答えとなりえません。
このことから、答えがありうるとしたら、11221となることが計算するまでもなくわかります。
中学生で文字式を習っているのであれば、次のように、ルーティーンワークのような作業をするだけです。
100+11=111であることに着目します。
100=x、11=yとします。
ルートの中身の分子は
(x+y)4+x4+y4
=(x2+y2+2xy)2+(x2+y2)2ー2x2y2 (前半の4乗で、4乗の展開公式に跳びつかないことが大切です。後半の変形は前半の変形で出てきた形をみて、(x2+y2)のかたまりを作り出しました。)
=2(x2+y2)2+4xy(x2+y2)+2x2y2 ((x2+y2)のかたまりをばらさないように式変形します。前半の展開で出てきたものと( )の外にあるもので計算できるものをすぐに計算してしまうのがポイントです(証明問題ではないので、式変形を端折っても問題ありません)。だらだら式を書いたところで正確性はアップしません(むしろ、ミスが起こりやすくなります)。)
となるから、ルートの中身は
(x2+y2)2+2xy(x2+y2)+x2y2
=(x2+y2+xy)2
となり、x2+y2+xy>0だから、与えられた式はx2+y2+xyとなります。
あとは、文字を数字に戻すだけです。
100×100+11×11+100×11
=11221
が答えとなります。
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