第27回算数オリンピックファイナル問題6(算数オリンピック2018年ファイナル問題6)
今回は、算数オリンピック2018年ファイナル問題6を取り上げ、解説します。
素数がらみの問題を考えるとき、2と3が特殊な素数であること(2と3以外の素数は6で割ると1か5余ること)を常に意識しておく必要があります(一橋大学2014年前期数学第1問の解答・解説ページにあるエラトステネスの篩を参照))。
このことは、中学入試問題であっても大学入試問題であっても変わりません(南山中学校女子部2022年算数第4問(2)、京都大学2006年前期理系数学第4問など)。
上の京大の問題は簡単すぎるので、少し改造した次の問題を考えてみましょうか。
2以上の自然数nに対し、nとn2+2がともに素数になるnを求めよ。
最初に述べたことを意識していれば、この問題を見た瞬間に答えは2か3ではないかとあたりがつけられます。
n=2のとき、2×2+2=6は素数でないから、条件を満たしませんね。
n=3のとき、3×3+2=11は素数だから、条件を満たしますね。
あとは、6で割った余りで分類して条件を満たさないことを確認すれば解けるでしょうが、もう少し簡単に解けるかもしれないので、少し実験してみます。
n=5のとき、5×5+2=27
n=7のとき、7×7+2=51
n=11のとき、11×11+2=123
いずれの場合も3の倍数となって条件を満たさない(偶数ということは関係ない)から、3で割った余りを考えればいいということで、上の京大の問題の解説になるわけです。
因みに、大学入試問題では「すべて求めよ」となっていなくも、すべて求めるのが当たり前で、答えが1個の場合、その答え以外に答えがないということを示さないといけないので、答えが1個の場合にわざわざ「すべて求めよ」というのは頓珍漢なことです。
さて、算数オリンピックの問題を解いてみましょう。
〇が7個あり、20以下の素数が2、3、5、7、11、13、17、19の8個あるので、使わない(あるいは、使えない)素数が1個ありますね。
最初に述べたことを意識して入れば、使えない素数があるとしたら、2か3ではないかとあたりがつけられますね。
2以外の素数は奇数だから、2を含む3つの素数の和(偶数+奇数+奇数)は2より大きい偶数となり、素数となりえません。
このことから2が使えないことがすぐにわかります。
次に、特殊な素数である3の配置を考えます。
20以下の素数で2と3以外のものを6で割った余りで分類します。
(あ)6で割ると1余る数・・・7、13、19
(い)6で割ると5余る数・・・5、11、17
3を含む3つの素数の残り2つを異なるグループから選ぶと3つの素数の和が3より大きい3の倍数となってしまうから素数となりえず、同じグループから2個選ぶことになります。
3を含む3つの素数の和は最大でも2つ(同時に使えるものが2つということです)しか作ることができないので、3を正三角形の真ん中と正三角形の頂点に配置するこができず、正三角形の辺の真ん中のところに配置することになります。
ここからが(多少)試行錯誤するところになります。
答えをすべて求めることもできますが、面倒なので、答えを1つ求めることにします。
3を含む3つの素数の和を確定させます。
3+7+13、3+7+19(この2つの組は一方だけしか使えませんね。)
3+5+11、3+11+17(この2つの組は一方だけしか使えませんね。)
とりあえず、数字の小さい組(3+7+13と3+5+11)を考えます。
3+5+11を辺のところに配置してみます(どの辺に配置しても同じことですし、5と11の配置が逆になっても同じことです)。
3+7+13を正三角形の高さのところに配置することになりますが、7と13が入れ替わったものは条件が異なりますね。
とりあえず、7を正三角形の真ん中に配置してみます。
5+7=12に17か19をたして素数となるものを考えることになりますが、両方とも素数となるので、とりあえず11+7=18に17か19をたして素数となるものを考えます。
こちらは19だけが条件を満たしますね。
あとは、5+19+13=37と11+17+13=41がともに素数となることを確認して答え(の1つ)が確定します。
因みに、使える7つの素数を確定させた後、3つの素数の和が素数となるものを書き出して解くことも一応可能ですが、やめておいた方がいいでしょう。
(7×6×5)/(3×2×1)=35通りの和について素数かどうかを考えることになり、面倒ですからね。
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