日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)2017年予選の問題

 

今回は日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)2017年予選第7問を取り上げます。

「正の」というのは0より大きいということで、「2P(n)」は2×P(n)ということです。

倍数判定法をうまく利用すれば、小学生でも解ける問題です。

中学入試で出される条件不足のつるかめ算の問題の処理(神戸女学院中学部2009年算数第2問武蔵中学校2009年算数第3問神戸女学院中学部2014年算数第1問渋谷教育学園幕張中学校2018年1次算数第2問などの解答・解説を参照)と同じような感じですからね。

nの百の位の数を〇、十の位の数を□、一の位の数を△(〇は1以上9以下の整数、□と△は0以上9以下の整数)とします。

与えられた条件から、

  〇×100+□×10+△×1=2×〇×□×△+27

となります。

2×〇×□×△+27は奇数だから、△も奇数となります。

(あ)△=1のとき

  2×〇×□×△+27

 =2×〇×□×1+27

 ≦2×9×9×1+27(上限チェック!(以下同様))

 =189

だから、〇は1となります。

このとき、2×〇×□×△+27=2×1×□×1+27≦2×1×9×1+27=45<100となり、条件を満たしませんね。

(い)△=3のとき

  2×〇×□×△+27

 =2×〇×□×3+27

 ≦2×9×9×3+27

 =513

だから、〇は1~5のいずれかの数となり、さらに、

  2×〇×□×3+27

 ≦2×5×9×3+27

 =297

となるから、〇は1か2となり、さらにまた、

  2×〇×□×3+27

 ≦2×2×9×3+27

 =135

となり、〇は1となります。

このとき、2×〇×□×△+27=2×1×□×3+27≦2×1×9×3+27=81<100となり、条件を満たしませんね。

(う)△=5のとき

2×〇×□×△+27=2×〇×□×5+27の一の位の数が7となり、この場合はありえませんね。

(え)△=7のとき

2×9×9×7が1000を超えてしまうので、上限チェックをしても何の意味もないですね。

そこで、与えられた条件から得られる式をよく観察します。

  〇×100+□×10+7×1=2×〇×□×7+27

  〇×100+□×10=2×〇×□×7+20

〇×100、□×10、20はいずれも5の倍数だから、2×〇×□×7も5の倍数となり、(2と7は5と互いに素だから、)〇か□が5の倍数、つまり5となります。

〇=5のとき

  5×100+□×10=2×5×□×7+20

  480=□×60

  □=8

このとき、n=587となります。

□=5のとき

  〇×100+5×10=2×〇×5×7+20

  〇×100+50=〇×70+20

となり、左辺が右辺より大きくなることが明らかだから、この場合はありえませんね。

(お)△=9のとき

  〇×100+□×10+9×1=2×〇×□×9+27

n(2×〇×□×9+27)が9の倍数だから、nの各位の数の和(〇+□+9)は9の倍数となり、〇+□=9か18となります。

〇+□=9のとき

  〇×90+(〇+□)×10+9=2×〇×□×9+27(分配法則の逆を利用しました。)

  〇×90+9×10+9=2×〇×□×9+27

  〇×10+10+1=2×〇×□+3(式全体を1/9倍しました。)

  〇×10+8=2×〇×□

  〇×5+4=〇×□(式全体を1/2倍しました。)

  4=〇×□ー〇×5

  4=〇×(□ー5)(分配法則の逆を利用しました。)

〇と□ー5は4の約数のペアで、その和が9-5=4となるから、〇=2、□ー5=2となります。

このとき、n=279となります。

〇+□=18のとき

〇=□=9となりますが、2×9×9×9+27>1000となり、条件を満たしませんね。

(あ)~(お)より、答えは587と279となります。

 

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 次の①~③のルールにしたがって整数をつくって、左から右へ順番に並べていきます。
 <ルール>
 ①1番目の数を0とする。
 ②2番目の数をaとする。(aは1けたの整数とする。)
 ③3番目からあとの数は、1つ前につくった数と2つ前につくった数をたした数の1の位の数とする。
 このルールで整数を並べたときのn番目の数を、(a、n)と表します。たとえば、a=1とすると、数が0、1、1、2、3、5、8、3、…… と並ぶので、(1、8)=3となります。
 次の各問いに答えなさい。
(1) (1、n)=0 にあてはまるnのうち、2番目に小さい数を求めなさい。
(2) (1、2023)+(a、2023)=10にあてはまるaをすべて求めなさい。

 

フィボナッチ数列と余りの周期性の問題です。

同種の問題は渋幕で過去に出されています(渋谷教育学園幕張中学校2008年2次算数第3問)が、その問題とは雲泥の差があります。

実際、この問題は大学入試レベルで、以前取り上げた一橋大学の問題より難しい(作業量が多いので面倒)でしょう。

 

 

この一橋大学の問題は愚直に数を書き出して解いたところで28個で済みますし、大学入試は時間が長いので問題ないですが、今回取り上げる渋幕の問題は愚直に書き出すと60個も書き出さないといけないので、かなり面倒なことになります。

試験時間はそれほど長くないですし、書き出している途中で計算を間違えたかもしれないと不安になったりしかねないですしね。

解説では60個書き出すという愚直な解法ではなく、少し頭を使って解く方法を紹介しています。

因みに、今回取り上げた問題と同様の問題が、東京出版のマスター・オブ・整数でも取り上げられていますが、その問題と比べても渋幕の問題は難しいと言えるでしょう。

 

 

詳しくは、下記ページで。

 渋谷教育学園幕張中学校2023年1次算数第2問(問題)

 渋谷教育学園幕張中学校2023年1次算数第2問(解答・解説)

 

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 日本数学オリンピック2018年予選の問題

 

今回は2018年のJMOの予選第7問を取り上げます。

小学生にとってはなじみのない記号(絶対値記号)があるのが厄介ですが、|i-j|というのは、iとjのうち大きい方から小さい方を引いてねということだと考えればよいでしょう。

問題文の表現はともかく、内容的には小学生でも解ける可能性が十分ある問題です。

算数オリンピックやジュニア算数オリンピックにチャレンジする子や最難関中学校の志望者は解いてみるとよいでしょう。

6組のペアのうち大きい方の数6個の和を〇、小さい方の数6個の和を□とします。

与えられた条件から、〇ー□=30となります。

また、

  〇+□

 =1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11+12

 =(1+12)×12×1/2

 =78

となります。

和差算を解くと、〇=(78+30)/2=54となり、□=54-30=24となります。

6組のペアのうち小さい方の数6個(の組合せ)が決まれば、大きい方の数6個(の組合せ)も自動的に決まりますね。

6個の数の和は1+2+3+4+5+6=21以上だから、和が24となる6個の数の組合せはそれほど多くないということがすぐにわかりますね。

そこで、和が24となる6個の数を書き出します(和一定の数の書き出しの問題は中学入試でも昔から出されています(神戸女学院中学部1996年算数2日目第1問など))。

 (あ)1,2,3,4,5,9

 (い)1,2,3,4,6,8

 (う)1,2,3,5,6,7

(あ)の場合

1~5については、必ずペアの2数の小さい方の数となりますね。

9がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが10か11か12の3通りの場合だけですね。

あとは、1~5のパートナーがどの数になるからで、5×4×3×2×1=120通りあるから、この場合は、3×120=360通りあります。

(い)の場合

1~4については、必ずペアの2数の小さい方の数となりますね。

8がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが9か10か11か12の4通りで、6がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが9か10か11か12のうち8のパートナー以外の数か7の4通りの場合ですね(条件の厳しい大きい数のパートナーから考えるのがポイントです(以下同様))。

あとは、1~4のパートナーがどの数になるからで、4×3×2×1=24通りあるから、この場合は、4×4×24=384通りあります。

(う)の場合

1~3については、必ずペアの2数の小さい方の数となりますね。

7がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが8か9か10か11か12の5通りで、6がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが8か9か10か11か12のうち7のパートナー以外の数の4通りで、5がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが8か9か10か11か12のうち7と6のパートナー以外の数の3通りの場合ですね。

あとは、1~3のパートナーがどの数になるからで、3×2×1=6通りあるから、この場合は、5×4×3×6=360通りあります。

(あ)、(い)、(う)より、条件を満たす方法は全部で

  360+384+360

 =1104通り

あります。

 

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 図のように、すべての辺の長さが同じである正四角すいA-BCDEがある。
 BD=10であるとき、次の問いに答えよ。
(1)省略
(2)正四角すいA-BCDEの体積を求めよ。
(3)辺AC上にAP:PC==3:2となる点Pをとる。
(ア)Pを通り、△ABEに平行な平面で正四角すいA-BCDEを切断するとき、(以下略)
(イ)(ア)で2つに分けられた立体のうち、頂点Bを含む立体の体積を求めよ。

小学生でも解ける問題です。
因みに、洛南高等学校附属中学校では、この問題よりもっと難しい立体図形の問題が出されています。
(1)と(3)の(ア)は√が絡みますし、メインの問題を解くにあたっては不要なので、省略しています。
また、問題文の正四角すいの図も使わないので省略しています。
さて、洛南高校の問題を解いていきましょう。
(2)
正四角すいA-BCDEを2つ組み合わせた図形は正八面体となりますが、この正八面体は、一辺の長さが10の立方体の中にぴったり入ります(日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)2006年第6問大阪星光学院高等学校2024年数学第5問の解説を参照)。
したがって、正四角すいA-BCDEの体積は
  10×10×1/2×10×1/3×1/2
 =250/3
となります。
(3)(イ)
切断した立体を真横から見た図で考えます。

 
図のM、Nはそれぞれ辺BE、CDの真ん中の点です。

また、( )の中の数字はBEの長さを5としたときの、高さを表します。

四角すいA-BCDEと切断後の2つの立体のうち小さい方の体積を比べます。

 底面積の比 (5×5):(2×2)=25:4

 高さ(平均)の比 (0+5+5)/3:(3+5+5)/3=10:13

だから、

 体積の比 (25×10):(4×13)=125:26

となります。

したがって、求める体積は

  250/3×(125-26)/125

 =66

となります。

因みに、仮に三平方の定理を知っていて、ルートの計算ができるとしても、上のように解いたほうが計算が楽になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (1-1/22)(1-1/32)(1-1/42)…(1-1/9992)を計算すると、□となる。

(注)

(1-1/22)(1-1/32)(1-1/42)…(1-1/9992)→(1-1/22)×(1-1/32)×(1-1/42)×…×(1-1/9992

2→3×3(他も同様)

 

小学生でも解ける問題です。

実際、この問題が塾高で出された年の20年前に同じような問題が中学入試で出されていますからね(関西学院中学部1996年算数2日目第1問(4))。

和と差の積が2乗の差となることを利用して約分すれば簡単に解けます。

詳しくは、下記ページで。

 慶應義塾高等学校2016年数学第1問(1)(問題)

 慶應義塾高等学校2016年数学第1問(1)(解答・解説)

 

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