日本数学オリンピック2018年予選の問題

 

今回は2018年のJMOの予選第7問を取り上げます。

小学生にとってはなじみのない記号(絶対値記号)があるのが厄介ですが、|i-j|というのは、iとjのうち大きい方から小さい方を引いてねということだと考えればよいでしょう。

問題文の表現はともかく、内容的には小学生でも解ける可能性が十分ある問題です。

算数オリンピックやジュニア算数オリンピックにチャレンジする子や最難関中学校の志望者は解いてみるとよいでしょう。

6組のペアのうち大きい方の数6個の和を〇、小さい方の数6個の和を□とします。

与えられた条件から、〇ー□=30となります。

また、

  〇+□

 =1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11+12

 =(1+12)×12×1/2

 =78

となります。

和差算を解くと、〇=(78+30)/2=54となり、□=54-30=24となります。

6組のペアのうち小さい方の数6個(の組合せ)が決まれば、大きい方の数6個(の組合せ)も自動的に決まりますね。

6個の数の和は1+2+3+4+5+6=21以上だから、和が24となる6個の数の組合せはそれほど多くないということがすぐにわかりますね。

そこで、和が24となる6個の数を書き出します(和一定の数の書き出しの問題は中学入試でも昔から出されています(神戸女学院中学部1996年算数2日目第1問など))。

 (あ)1,2,3,4,5,9

 (い)1,2,3,4,6,8

 (う)1,2,3,5,6,7

(あ)の場合

1~5については、必ずペアの2数の小さい方の数となりますね。

9がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが10か11か12の3通りの場合だけですね。

あとは、1~5のパートナーがどの数になるからで、5×4×3×2×1=120通りあるから、この場合は、3×120=360通りあります。

(い)の場合

1~4については、必ずペアの2数の小さい方の数となりますね。

8がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが9か10か11か12の4通りで、6がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが9か10か11か12のうち8のパートナー以外の数か7の4通りの場合ですね(条件の厳しい大きい数のパートナーから考えるのがポイントです(以下同様))。

あとは、1~4のパートナーがどの数になるからで、4×3×2×1=24通りあるから、この場合は、4×4×24=384通りあります。

(う)の場合

1~3については、必ずペアの2数の小さい方の数となりますね。

7がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが8か9か10か11か12の5通りで、6がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが8か9か10か11か12のうち7のパートナー以外の数の4通りで、5がペアの2数の小さい方の数となるのは、ペアのパートナーが8か9か10か11か12のうち7と6のパートナー以外の数の3通りの場合ですね。

あとは、1~3のパートナーがどの数になるからで、3×2×1=6通りあるから、この場合は、5×4×3×6=360通りあります。

(あ)、(い)、(う)より、条件を満たす方法は全部で

  360+384+360

 =1104通り

あります。

 

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 図のように、すべての辺の長さが同じである正四角すいA-BCDEがある。
 BD=10であるとき、次の問いに答えよ。
(1)省略
(2)正四角すいA-BCDEの体積を求めよ。
(3)辺AC上にAP:PC==3:2となる点Pをとる。
(ア)Pを通り、△ABEに平行な平面で正四角すいA-BCDEを切断するとき、(以下略)
(イ)(ア)で2つに分けられた立体のうち、頂点Bを含む立体の体積を求めよ。

小学生でも解ける問題です。
因みに、洛南高等学校附属中学校では、この問題よりもっと難しい立体図形の問題が出されています。
(1)と(3)の(ア)は√が絡みますし、メインの問題を解くにあたっては不要なので、省略しています。
また、問題文の正四角すいの図も使わないので省略しています。
さて、洛南高校の問題を解いていきましょう。
(2)
正四角すいA-BCDEを2つ組み合わせた図形は正八面体となりますが、この正八面体は、一辺の長さが10の立方体の中にぴったり入ります(日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)2006年第6問大阪星光学院高等学校2024年数学第5問の解説を参照)。
したがって、正四角すいA-BCDEの体積は
  10×10×1/2×10×1/3×1/2
 =250/3
となります。
(3)(イ)
切断した立体を真横から見た図で考えます。

 
図のM、Nはそれぞれ辺BE、CDの真ん中の点です。

また、( )の中の数字はBEの長さを5としたときの、高さを表します。

四角すいA-BCDEと切断後の2つの立体のうち小さい方の体積を比べます。

 底面積の比 (5×5):(2×2)=25:4

 高さ(平均)の比 (0+5+5)/3:(3+5+5)/3=10:13

だから、

 体積の比 (25×10):(4×13)=125:26

となります。

したがって、求める体積は

  250/3×(125-26)/125

 =66

となります。

因みに、仮に三平方の定理を知っていて、ルートの計算ができるとしても、上のように解いたほうが計算が楽になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (1-1/22)(1-1/32)(1-1/42)…(1-1/9992)を計算すると、□となる。

(注)

(1-1/22)(1-1/32)(1-1/42)…(1-1/9992)→(1-1/22)×(1-1/32)×(1-1/42)×…×(1-1/9992

2→3×3(他も同様)

 

小学生でも解ける問題です。

実際、この問題が塾高で出された年の20年前に同じような問題が中学入試で出されていますからね(関西学院中学部1996年算数2日目第1問(4))。

和と差の積が2乗の差となることを利用して約分すれば簡単に解けます。

詳しくは、下記ページで。

 慶應義塾高等学校2016年数学第1問(1)(問題)

 慶應義塾高等学校2016年数学第1問(1)(解答・解説)

 

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 次の式と2つの□に同じ整数をあてはめて、正しい式になるようにします。
  □/30+30/□=2.9
①あてはめた数が1以上30以下であることが分かっているとき、その整数を答えなさい。
②あてはめた数が31以上であることが分かっているとき、その整数を答えなさい。

 

今から30年弱前に神戸女学院中学部で同じような問題が出されています。

神戸女学院の問題は、□+378/□(□は整数)が整数となるもので答えが異なるものが何通りあるか求める問題などでしたが、名古屋中学校の問題のように小数があっても同じことです。

何倍かして整数にすればいいだけのことですからね。

約数のペアに着目するのが本質的な解法だから、問題の誘導(らしきもの)は無視して解いています。

因みに、上の神戸女学院の問題は、378の約数のペアが何組あるか求める問題にすぎませんね。

詳しくは、名古屋中学校2025年算数第1問(3)の解答・解説で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の□の中に適当な数を入れなさい。
 7/13+6/13×7/12+6/13×5/12×7/11+6/13×5/12×4/11×7/10=□

 

ジュニア数学オリンピック(JJMO)で同じような問題が過去に出されています。

 

 

上のJJMOの解説では、今回取り上げた甲陽学院の問題の2つ目の解法と同様の方法で解いていますが、1つ目の解法でもJJMOの問題を解くことができるのでやってみるとよいでしょう。

ただ、1つ目の解法のほうが気付きにくいかなとは思います。

詳しくは、甲陽学院中学校2012年算数1日目第1問(1)の解答・解説で。