灘中学校2011年算数1日目第5問

 1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨と50円硬貨がそれぞれたくさんあります。これらから必要な枚数だけ取り出して、合計金額を10円にする方法は4通り、合計金額を50円にする方法は[① ]通り、合計金額を100円にする方法は[②]通りあります。

表を利用して書き出していけば規則性に気づくはずです。
表をかく際、1円硬貨を無視してもいいことに注意しましょう。
この問題に関して、「灘中なら150円や200円の場合を出題してほしかったなあと思います。なお、50円硬貨を除外して0円(支払わないということですね)、10円、20円、30円、40円、50円、・・・を支払う方法が何通りあるか考えて(規則性があるので、ぜひやってみましょう)、それを利用して解くこともできます(問題文の例から判断すると、灘中の想定した解法はこちらのような気がします)」とずいぶん前にコメントしていますが、それは、灘中の問題を一般化した次の阪大の問題が頭の中に思い浮かんでいたからです。

詳しくは、灘中学校2011年算数1日目第5問の解答・解説で。

大阪大学1988年B文系(法・経済)数学第1問
 nは正の整数とする。
(1)10円玉と50円玉を組み合わせて合計50×n円にするには(n+1)通りの方法があることを示せ。
(2)10円玉、50円玉、100円玉を組み合わせて合計100×n円にするには何通りの方法があるか。
(3)10円玉、50円玉、100円玉、500円玉を組み合わせて合計1万円にするには何通りの方法があるか。

(解説)
「正の」というのは0より大きいということです。
金額が全部1/10になったと考えると、問題は次のようになります。
(1)1円玉と5円玉を組み合わせて合計5×n円にするには(n+1)通りの方法があることを示せ。
(2)1円玉、5円玉、10円玉を組み合わせて合計10×n円にするには何通りの方法があるか。
(3)1円玉、5円玉、10円玉、50円玉を組み合わせて合計1000円にするには何通りの方法があるか。
因みに、今年のキッズBEEトライアル第7問は、1円玉、5円玉、10円玉を組み合わせて合計35円の支払い方と1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、100円玉を組み合わせて合計100円の支払い方がそれぞれ何通りあるか求める問題でしたが、阪大の問題の類題であることがわかるでしょう。
さて、阪大の問題を解いてみましょう。
(3)の問題は高校で習うシグマkの2乗の公式を知らないと(計算が)きついですが、(1)、(2)の問題は小学生でも解けます(低学年の子には少しきついでしょう)。
硬貨の組み合わせ方を支払い方と表現します。
1円玉の枚数を無視してもよい(残金は自動的にすべて1円玉で支払うと考えます)のは灘中の問題と同じです。
(1)
5円玉の枚数として考えられるのは、0枚、1枚、2枚、3枚、・・・、n枚の(n+1)通りあるから、支払い方は全部で(n+1)通りあります。
(2)
(1)で作成した「公式」を利用して解きます。
なお、(1)で作成した「公式」は、nが0のときも成り立ちます(支払わないという1通りと考えます)。
 10円玉の枚数 残金
    n    10×0=5×0 1通り
  (n-1)  10×1=5×2 3通り
  (n-2)  10×2=5×4 5通り
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    1    10×(n-1)=5×(n×2-2) (n×2-1)通り
    0    10×n=5×(n×2) (n×2+1)通り
したがって、支払い方は全部で
  1+3+5+・・・+(n×2-1)+(n×2+1)
 =(n+1)×(n+1)通り (1から連続する(n+1)個の奇数の和の公式を利用しました(西大和学園中学校1995年算数第5問の解答・解説を参照)。等差数列の和の公式を利用してもよいでしょう)。
あります。
(3)
(2)で作成した「公式」を利用して解きます。
なお、(2)で作成した「公式」は、nが0のときも成り立ちます(支払わないという1通りと考えます)。
 50円玉の枚数 残金
   20    10×0 1×1(通り)
   19    10×5 6×6(通り)
   18    10×10 11×11(通り)
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    1    10×95 96×96(通り)
    0    10×100 101×101(通り)
したがって、支払い方は全部で
  1×1+6×6+11×11+・・・+96×96+101×101
 =73871通り (高校で習うシグマkの2乗の公式を使うと、(5kー4)×(5k-4)をk=1から21まで足し合わせることになるので、25×21×22×(21×2+1)/6-40×21×22/2+16×21を計算することになります。)
あります。

キッズBEEの35円の支払い方の問題は表をかいていけばいいでしょう。
 10円玉 3   2       1   0
  5円玉 1 0 3 2 1 0 5~0 7~0
表を書く際、10円玉1枚を5円玉2枚と交換することをイメージすると理解しやすいでしょう。
また、表で書き出していくうちに規則性が見いだせるでしょう。
支払い方は全部で2+4+6+8=20通りあります。
キッズBEEの100円の支払い方の問題は、上で紹介した灘中のメインの問題とほぼ同じで、100円玉1枚で支払う1通りが加わるだけです。
この問題はキッズBEEのトライアルとしては難しく、キッズBEEのファイナルで出されても何の不思議もない問題だったと思います。

 

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